京写 Media-IRフェア(日本インタビュ新聞社)

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【事業】

 1959年に京友禅の捺染用スクリーン型の製造・販売会社として発足し、その技術を活かして1967年にプリント配線板の製造開発に着手。以来、顧客のニーズの多様化、品質、納期面と様々な要求に応えて片面プリント基板、両面プリント基板、多層プリント基板を生産して、今日まで着実に成長を続けている。
インドネシア工場インドネシア工場 海外進出には積極的で、94年に中国、インドネシアに現地法人を設立している。ターゲットとして、ボリュームゾーンで売上の拡大を目指している。
 片面プリント基板のシェアは、世界で10%、国内で30%と世界でトップのシェアを持っている。また、日系企業だけでなく、グローバルユーザーへの販売も始まり、外資系への前期の売上は、5%から7%と拡大している。更にシェアを拡大することで、原料価格が上昇しても、対応できる体制を目指している。
 新興国への売上を伸ばすため、10年12月にタイに法人を設立しタイでの営業をスタートし、順調に顧客の開拓が進んでいる。また、インド企業との取引も開始している。その様な状況で、今期は海外での新しい生産拠点の設立を計画するなど益々活発な事業活動により、海外での売上拡大に注力している。

本社


 同社の強みは、技術力と共に、事業戦略が正確である事が挙げられる。市場動向を分析して、今後の方向性を出し、それに沿った中期経営計画を立案し、確実に実行していて、その戦略が的中していることから、業績は安定している。現在の中期経営計画では、環境対応戦略、ボリュームゾーン戦略、グローバル戦略、収益力強化戦略、新規事業戦略と5つの重点戦略を掲げている。

 その中で、環境対応戦略を取り上げると、LED関連市場の急速な増加、省エネ家電の普及、電気自動車の増加という市場の流れに沿って、片面基板、両面基板ともに研究開発を行っている。前期にLEDの販売が好調に推移したのも、先駆けて基板の開発を進めていたことの成果による。前期の照明機器売上は67%増と大幅に伸びている。また、省エネ商品としてLEDの需要が伸びたことから、LEDの売上高は約8億円と大幅増収となった。

 一方で、今後のニーズが高くなると予想される、放熱性の高いインクの開発、ソリ対策、ファイン化等の研究が引き続き進んでいる。半導体の機能が良くなっていることで、受け皿である基板の高性能化も要求されることからファイン化の技術開発を進めている。

 今期は、電気自動車向けの大電流に対応した厚銅箔基板対応のための設備を京都工場に導入した。LED照明向けに関しては、中国でも生産できる体制を構築する計画。その他の、4つの戦略に対しても、成果を出している。

 1月31日に発表された今期13年3月期第3四半期連結業績は、売上高116億6百万円(前年同期比2.7%減)、営業利益5億27百万円(同17.6%増)、経常利益6億7百万円(同17.9%増)、純利益2億96百万円(同16.0%減)と減収ながら営業・経常利益共に2ケタの増益を確保している。

 売上高に関しては、国内外で片面プリント基板は自動車関連が順調に推移し、電子部品、アミューズメント関連も回復が見られたものの、国内での家電製品分野の需要減と、海外で映像関連分野の低迷が続いたこともあり減収となった。

 利益面では、香港国際調達拠点(IPO)の活用により、原価率が低減したことと、海外工場の省人化が進んだことで、減収にもかかわらず増益を達成している。

 一方、投資有価証券の減損処理48百万円と実装事業の子会社の固定資産減損損失75百万円を特別損失として計上したことに加え、同事業の回収が見込めない繰延税金資産56百万円を取り崩したことにより、最終利益は減益となっている。

 第4四半期(1月から3月)はこれまで堅調に推移していた国内においても、自動車関連分野や家電製品分野を中心に需要の減速が見込まれることから、通期連結業績予想は、売上高150億円(前期比7.2%減)、営業利益5億50百万円(同23.2%減)、経常利益6億50百万円(同18.3%減)、純利益3億20百万円(同47.9%減)を見込んでいる。

■タイ、ベトナムに進出している日系企業との取引は急増、今後も東南アジアへ進出する日系企業は増加

 映像関連の売上が減少していることもあり、今期は減収を見込んでいる。その様な状況の中で、今後利益を確保できる筋肉質に改善する取組みに注力している。

 例えば、香港国際調達による資材の一括購入により、原価率の低減が進んでいる。また、中国では、上昇している人件費に対応して、1億円を投資して、工場の省人化を進めている。インドネシアの工場については、これまで5ラインで生産していた片面プリント基板を従来の生産量を保ちながら3ライン体制に変更し、残った2ラインを両面プリント基板の生産に切り替えることで、生産の効率化を目指している。

 全体では減収となっているが、タイ、ベトナムに進出している日系企業との取引は急増している。12年12月時点で、タイ向けの売上高は3億57百万円(前年同期比614.0%増)、ベトナム向け2億31百万円(同171.7%増)と一挙に急拡大している。今後も、チャイナプラス1で東南アジアへ進出する日系企業が急増していることもあり、インドネシア工場の重要度は更に高まっている。

■LED照明向け放熱基板「Kyosha Nacora」の売上は順調に拡大

 また、LED照明の売上は前期比で横ばいであるが、前期第3四半期から販売を開始したLED照明向け放熱基板「Kyosha Nacora」の売上は9カ月間で1億20百万円と順調に拡大している。既に、性能を向上させた第2世代の開発が完了していることから、今後の売上拡大が期待されている。

 これまでは、円高の影響で、日本の家電メーカーの売上の不振が目立っていたが、3月10日には1ドル96円と昨年の1ドル80円台と比較すると大幅な円安となっている。円高で苦しんできた顧客である日系メーカーにとっては追い風となっている。その様な状況下で、既に生産性の向上、仕入れの低減化を実現していることから、同社にとっても今後の好業績は大いに期待できる。

 株価は、1月31日に250円の年初来最高値を付けていたが、同日引け後に発表された下方修正により、2月13日には178円まで下げたが、その後は徐々に回復して、3月8日には201円まで回復している。株価指標は、予想PER9.0倍、PBR(実績)0.84倍、配当利回り2.49%と割安。

 既に、片面プリント基板では同社の寡占状態であることから、価格競争は無く、利益の確保が見込めるうえに、環境対応のLED照明向け放熱基板「Kyosha Nacora」、電気自動車向けの大電流対応厚銅箔基板を開発済みであることから競争力はさらに強化されたといえる。



京写<6837>(JQS)

 株価の動きを見ると、11月中旬の安値圏150円近辺から急反発して、1月31日には昨年来高値となる250円まで上昇していたが、今期業績見通しの減額修正を嫌気して急反落した。2月13日には178円まで調整する場面があった。2月18日の終値182円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS22円33銭で算出)は8〜9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.8%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS224円52銭で算出)は0.8倍近辺となる。

 昨年来高値圏から急反落して調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が14%を超えており、売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると、3週連続で長い陰線を引いたが、26週移動平均線近辺で下げ止まり感を見せ始めている。失望売りはほぼ一巡した可能性があり、反発のタイミングが接近しているようだ。

1951年5月
京都市中京区にて、捺染用スクリーン型の製造と販売を開始
1959年2月
京都市伏見区株式会社京都写真型を設立
1967年12月
現在の本社、工場の京都府久世郡久御山町森300へ移転、プリント配線板の製造開発を始める
1974年6月
熊本県玉名市にプリント配線板専用の九州工場完成
プリント配線板自動化ラインを導入
1982年11月
現在の商号である株式会社京写に社名変更
京都工場を増設し、産業用の両面プリント配線板専用設備を設置
1993年12月
香港に合弁会社を設立。(現京写香港)
1994年6月
中国広州に合弁会社を設立。(現京写広州)
1994年7月
インドネシアに合弁会社を設立(現京写インドネシア)
1999年11月
株式を日本証券業協会に店頭登録(現JASDAQ市場)
2007年8月
米国カルフォルニア州サンディエゴ市に京写ノースアメリカを設立
2008年5月
電子部品実装会社の三和電子株式会社を子会社化
2010年2月
埼玉県坂戸市に実装治具製造会社の京写プロセス・ラボ・ミクロンを設立
2010年3月
新潟市に両面プリント配線板製造の新潟工場を開設
2010年12月
タイ王国バンコク市に京写タイを設立

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上期の落ち込みをカバーし
過去最高に近い売上を計上

代表取締役社長 児嶋 一登代表取締役社長 児嶋 一登

 前期を振り返りますと、まず震災の混乱から始まりまして、円高、タイの洪水、ヨーロッパの金融不安と我々企業を取り巻く環境は非常に激しく動き、また、厳しい状況でありました。
 当社も、上期は、特に国内においては、車関係、海外においてはOA関係機器のサプライチェーンの寸断によって、我々自身は震災による影響はございませんでしたが、やはりお客さんのところに部品が集まらないとう状況になりました。
 また、生産調整がありましたので、上期は苦戦した状態で推移しました。唯、下期に入ってから、国内においては特にLED関連が大幅に急増したことで、当初予想を上回りました。
 また、タイの洪水は、当社にとりましては、丁度その時期にタイの営業所を設立し、拡販作業を行っていましたので、逆にプラスに働いて、インドネシア、中国、日本の新規顧客を獲得することが出来ました。そういう意味では、上期の落ち込みをそれなりにカバーしました。そのため、下期は、過去最高に近い売上を計上することが出来ました。
 これまで、私達のメインのお客様は、どちらかというと、TV関係の方が中心でございましたが、やはり、TV関係については海外企業が優位でありますので、ここ数年間、車載関係の拡販、家電製品の拡販に力を入れてきました結果、それほど大きな影響を受けずに済みました。

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