サンコーテクノ Media-IRフェア(日本インタビュ新聞社)

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建設現場支えるサンコーテクノ、『オールアンカー』で飛躍

■ 事 業

ファスニング事業主力にセンサー事業も拡大

 同社の事業は、ファスニング事業、リニューアル事業、センサー事業の3事業に分かれている。

ファスニング事業リニューアル事業センサー事業

 ファスニング事業は、同社の創業以来からの主力事業。特に、草創期に開発したオールアンカー(商品名)は現在でも主力製品として売上の中核をなしている。オールアンカーの登場で、建設現場の施工環境は大きく改善。工事の短縮化や安全施工が実現するなど、画期的な商品として業界に一気に広まった。

 同社のアンカーは、コンクリートの建造物ができた後、建造物にモノを取り付ける際に使用されるアンカーであることから、前述したオールアンカーを含め一般的に「あと施工アンカー」と呼ばれている。同社では、この他にアンカーを施工するためにコンクリートに孔をあけるドリルビット、電動油圧工具等を製造・販売している。

 リニューアル事業は、主にあと施工アンカーを活用した工法を開発している。具体的には、橋脚、学校の校舎、病院などの耐震補強工事に活かされている。

 センサー事業では、主に呼気アルコール測定器等の製造・販売を行っている。同事業を立ち上げた背景には、11年5月1日より施行された事業用自動車(緑ナンバー)ドライバーへのアルコール測定の義務化が挙げられる。運送会社、タクシー会社等は、出庫・帰庫点呼のときドライバーの酒気帯び確認を実施せねばならず、こうした業界ニーズに対応するため10年4月より、事業を開始した。


開発力に圧倒的な強さ誇る

 創業以来、開発力が強み。現場のニーズを汲み上げ、より実用的な新製品を開発している。最近の例を挙げると、クリーンエネルギーとして注目されている太陽光市場では、太陽光パネルの架台を簡単かつ効率的にビルの屋上に取り付けることが出来る、「あと基礎アンカー」。このアンカーが出来たことで、構造物にできるだけ負荷をかけないで太陽光パネルの架台取付けが可能となっている。

 また、地上に太陽光パネルを取り付けるために開発した、「ディー・アーススクリュー」は、スクリュー状で地盤に直接打込み、簡単に施工することが出来る。両製品ともに従来のコンクリート基礎と比べ、工期・工程を大幅に短縮できるのが特長で、更に打込み後すぐに架台の設置に取り掛かれる。またディー・アーススクリューにおいては、設置だけでなく、撤去も容易で原状回復も可能である。

サンコーテクノ:第2四半期連結は増収大幅増益

■補修関連の売上が大きく伸びる

 あと施工アンカーメーカー最大手のサンコーテクノ<3435>(JQS)は22日、今期13年3月期第2四半期決算説明会を開催した。

 代表取締役社長洞下英人氏は、第2四半期業績概要、通期業績予想、中期経営ビジョン・戦略の順で説明した。

 第2四半期連結業績は、売上高68億14百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益3億54百万円(同55.1%増)、経常利益3億40百万円(同65.8%増)、純利益1億14百万円(同44.2%増)と増収大幅増益。

 「思いのほか前半は苦しみましたが、売上が伸びてきているのは、あと施工アンカーの受注が堅調に推移してきたためです。特に、耐震工事ではなく、細かい補修関連の部分が大きく伸びてきたことが挙げられます。それと営業利益の部分を見てもらうと分かりますように、販管費や原価削減を行ったことで大幅な増益となりました。これは、当社の主力製品であるあと施工アンカーの部分で、タイ工場(サンコーファステムタイランド)、協力工場の協力の元、原価削減が出来たことによります。それからTPPを見越し、日本での生産と、海外での生産の比率をうまく勘案しながら、日本でのモノづくりを大事にしていきたいと思っています。そのため、工場改革、並びに製造改革を行っているところでございます」(洞下英人社長)とこれまでの状況を説明した。

 同社の製品開発力は、今やあと施工アンカーの代名詞とも言われている「オールアンカー」(商品名)の開発に代表されるように、業界では定評がある。今期も上半期に4種類の新製品を発表している。まず、7月にL150シリーズのコアドリルビット、同月にオールアンカー用防食保護キャップのジンクハット、9月には、耐震工事向けドリルビットのオールドリル パワージェックス、同月にアルコール測定器勤怠管理システムのALCガーディアンforタブレット、スマートフォンを開発している。

■ファスニング事業はタイ工場、協力工場による原価低減の実現で大幅増益

 セグメント別の売上構成比は、ファスニング事業79.0%(前年同期78.7%)、リニューアル事業17.1%(同16.6%)、センサー事業3.9%(同4.7%)とセンサー事業の比率が下がっている。

 ファスニング事業(あと施工アンカー、ドリルビット、電動油圧工具等の開発・製造・販売)の業績は、売上高54億14百万円(同4.3%増)、セグメント利益3億64百万円(同44.3%増)と増収増益であった。増収の要因としては、首都圏における再開発需要が好調に推移したことと、電動油圧工具の売上が好調だったことが挙げられる。利益については、タイ工場、協力工場において、主力商品の原価低減が実現したことにより、大幅な増益となった。一方、建設資材や人員の不足により工事の着工に遅れが生じたことと、米国、欧州において、円高の影響もあり海外での電動油圧工具の販売が減り、前年同期比で約15%の売上減となっていることがマイナス要因として挙げられる。

 リニューアル事業(各種構造を守る工法を開発、外壁補修関連、FRP関連製品等の製造・販売)の売上高は、11億73百万円(同7.4%増)、セグメント利益7百万円(前年同期△29百万円)と増収増益で黒字転換となった。売上に関しては、西日本での売上が10%減となったものの、ガソリンタンク補修用紫外線硬化型FRPシートの出荷が2倍増となったことに加え、太陽光関連製品の受注が本格化したことから、増収となった。また、外壁補修関連製品や二重床関連商材の売上も好調であった。

 センサー事業(車両の表示板、観測機向け等の電子プリント基板や各種測定器の製造・販売)の売上高は、2億69百万円(同12.7%減)、セグメント損失△31百万円(前年同期△2百万円)と減収減益で、赤字幅拡大。プラス要因としては、医療機器向けの電子基板関連製品が好調であった。しかし、アルコール測定器の需要が一巡したこともあり、売上が伸び悩んだ。今後、新商品の開発や、商品の入れ替えで対応する方針。

■昨年に引き続き、主力製品オールアンカーの売上の一部を被災地に寄付

 第2四半期は復興関連の売上は無かったものの、補修関連工事向けにあと施工アンカーの売上が伸びたことで、11月8日に第2四半期の上方修正を発表する程順調であった。通期連結業績予想については、上方修正を発表していないが、当初予想通りの売上高149億50百万円(前期比7.9%増)、営業利益6億60百万円(同13.2%増)、経常利益6億円(同2.9%増)、純利益3億50百万円(同22.8%増)と増収増益を見込んでいる。

 昨年に引き続き、主力製品であるオールアンカーの売上の一部を被災地に寄付する「がんばろう 日本!」復興キャンペーンを実施している。寄付金の目標金額は、1,000万円。

 更に、ファスニング事業では、新製品のクロスタイト(非構造用ワンサイドボルト)のテスト販売を行うと共に、高いせん断剛性を要求する機械器具、設備機器の固定に最適な「めねじアンカー」のディスクインサートと、太陽光発電の架台の基礎となるディー・アーススクリューの専用打込み機の販売を強化する。第2四半期の販売実績として、ディー・アーススクリューの売上高155万円、その他の関連製品927万円となっている。メガソーラークラスの受注を獲得していることから、下半期には更に売上の拡大が期待されている。

 耐震補強工法として、JRと共同特許を取っている一面補強工法は、第2四半期までに4件を受注し、売上高2,560万円となっている。大手鉄道事業者は当初1,000億円の予算を更に2,000億円増やし、5年かけて耐震補強対策(橋脚補強や地盤が弱い所の盛土、駅の天井落下防止策)を実施するとしていることから、一面補強工法のニーズは高まっている。

■中期経営計画「PLAN2014」で2014年まで200億円企業となることを目指す

 同社は、中期経営計画「PLAN2014」を発表し、安全・安心・環境をキーワードとして事業領域を拡大し、2014年までに200億円企業となることを目指している。

 「年間売上高5%増で、2014年に売上高200億円」、「新製品売上5%増で、2014年に34億円(サンコーテクノ単体)」、「2014年に営業利益率5%確保」と3つの目標を掲げている。

 年間売上高5%増については、11年3.7%増、12年1.7%増といずれも下回っている。しかし、今期は7.9%増を計画している。今期第2四半期の進捗率は45.6%となっていることから、ほぼ計画通りといえる。

 新製品売上5%増に関しては、11年136.7%増、12年7.3%増と計画を上回っている。今期の計画は19億50百万円(前期比80.2%増)を見込んでいる。今期第2四半期の進捗率は34.5%。

 営業利益率5%確保については、11年3.5%、12年4.2%となっている。今期の計画は4.4%であるが、第2四半期の実績は5.2%と上回っている。

 最後に東北の復興需要について、「12月を過ぎてから少しずつ出てくるのではないかと思っています。ただ、現状は、見積もりの段階で進んでいます。また、政局の行方にも左右されますので、政権が安定してこないとこの予算はなかなか下りてきません。しかし、民間の方は耐震に向けた取り組みが進んでいます。特に首都圏では着々と進んでいます。しかし公共については、耐震工事が遅れているのは現状であります」(洞下英人社長)と答えている。

 タイ工場の建設により、2〜3%の原価低減が実現されているうえに、国内向けだけでなく、インドネシア、ベトナム向けアンカーの販売が増えている。また、復興需要の売上が無くても、第2四半期で増収大幅増益を達成していることから、来期以降の売上高は更に拡大するものと予想される。

3つの改革

☆ヒューマン改革(人材育成・人事制度)
☆システム改革(IT・インフラ)
☆組織改革(採算性の重視)

5つの施策

☆売上年間5%UP
☆新商品の売上比、年間5%UP(単体)
☆原価5%削減
☆営業利益率5%確保
☆成果報酬(賞与)の倍増



サンコーテクノ<3435>(JQS)

上値追いの展開に期待

 今期(13年3月期)連結業績見通しについては、売上高が前期比7.9%増の149億50百万円、営業利益が同13.2%増の6億60百万円、経常利益が同2.8%増の6億円、純利益が同22.6%増の3億50百万円としている。ただし通期会社予想に対する第3四半期累計(4〜12月期)の進捗率は売上高が72.6%、営業利益が103.5%、経常利益が110.3%、純利益が97.4%に達している。下期偏重の収益構造であることも考慮すれば大幅増額修正の可能性が高いだろう。

 主力の金属系アンカー(あと施工アンカー)の需要が震災復興関連や耐震補強関連などで好調であり、全国的にメガソーラー事業に参入する企業が相次いでいるため、太陽光発電の架台設置用に使用される金属系アンカーの需要に追い風となる。来期(14年3月期)も収益拡大が期待されるだろう。

 株価の動きを見ると、1月末に2000円台に乗せて上げ足を速め、水準を切り上げている。第3四半期累計の大幅増益や通期予想に対する高進捗率を好感する動きのようだ。3月4日には2555円まで上昇する場面があった。3月8日の終値2520円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS172円01銭で算出)は14〜15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間35円で算出)は1.4%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS3260円88銭で算出)は0.8倍近辺となる。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。強基調の展開を継続しているようだ。今期業績増額の可能性に加えて、老朽化インフラ補修・更新需要という息の長いテーマ性も支援材料であり、上値追いの展開が期待されるだろう。11年5月の2558円は射程圏であり、07年3月の2750円が視野に入るだろう。

1964年(S39)
東京都台東区根岸に、三幸商事株式会社設立
1965年(S40)
オールアンカー実用新案出願、製造体制に入る
1966年(S41)
オールアンカー製造開始(本社工場:流山)
1967年(S42)
名古屋営業所、大阪営業所設置
1968年(S43)
オールアンカー全国販売開始
1970年(S45)
オールアンカー代理店体制を導入
1975年(S50)
仙台営業所、札幌営業所設置
1976年(S51)
福岡営業所設置、本社工場新築、操業開始
1985年(S60)
東京都荒川区東日暮里1丁目へ本社移転
1988年(S63)
関宿工場(現・野田工場)新築落成、タイ工場設立
1933年(H5)
西部物流センター設置
1996年(H8)
サンコーテクノ誕生(三幸商事と三幸工業が合併)
2001年(H13)
「テクノL&Iセンター」(ショールーム)を流山にオープン
2005年(H17)
6月、ジャスダック証券取引所に上場
2007年(H19)
千葉県流山市東初石へ本社移転
2008年(H20)
南流山事業所開設・洞下実氏社会教育功労者表彰
2010年(H22)
洞下実氏から洞下英人氏へバトンタッチ

現在、国内に販売拠点16、製造拠点2、物流拠点2
   海外にはタイ、台湾、ベトナムに現地法人の子会社を構えている

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東日本復興キャンペーンを継続、売上の一部を義捐金に

代表取締役社長 洞下 英人代表取締役社長 洞下 英人

 昨年は「東日本復興キャンペーン」を展開し、東日本大震災で被災された方の一助となるように、日本赤十字社を通じて売上の一部を義捐金として寄付いたしました。

 今年も同キャンペーンを継続する構えです。当社グループは、事業の拡大と共に社会への貢献を積極的に行い、『人のお役に立てる』企業であり続ける姿勢を、全社員が共有し実践してまいります。

 創業メンバーの一人であり、長らく当社グループのCEOに就いていた、洞下実・前会長が常々申していた『人のお役に立つために・・・』の精神をしっかりと引継ぎ、経営に当たってまいります。

 まずは、中期経営計画(チャレンジ35)の達成に向けて、今期も全力で取り組んでまいりますので、株主・投資家の皆様におかれましては、長期的な視野において、当社グループの成長を見守ってくださいますよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

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