円高進行 厳選・円高メリット享受銘柄
『急激』円高進行−厳選円高メリット銘柄特集

内需系のセクターに注目

 外国為替市場で円が上昇傾向を強めている。これは、米国と欧州における金融不安、景気後退懸念、利下げ観測などを背景に米ドルやユーロが急落する一方で、金融不安の影響が比較的少ない日本の円が買われているためだ。消去法的に円が買われている面もあるが、円高は輸入依存度の高い企業にとっては、原材料や製品などの仕入れコストが低下するため、業績押し上げ要因となる。もちろん波乱要因が多く、一本調子の円高進行も考えにくいが、円高メリットという切り口を当面の買い材料とすることも可能であろう。

低位厳選銘柄 
エービーシー・マート<2670>(東1)
セブン&アイ・ホールディングス<3382>(東1)
日本製紙グループ本社<3893>(東1)
サイゼリヤ<7581>(東1)
ニトリ<9843>(東1)
 原材料や製品の輸入依存度が高く、円高メリットを受ける代表的なセクターと言えば、紙・パルプ、電力、小売、外食、輸入商社など、内需系のセクターである。国内景気の減速で需要面には懸念が残るものの、為替の円高が仕入れコストの低下につながり、採算改善が期待される。また、原油や非鉄金属などの資源価格が下落していることも、採算改善に追い風となりそうだ。

■厳選・円高メリット銘柄 (順不同)

エービーシー・マートは業績上振れも期待


■エービーシー・マート<2670>(東1)
 株価2,990円(10月7日終値) 単位株数=100株

エービーシー・マートのホームページ 靴の小売り専門店「ABCマート」を全国にチェーン展開し、レディース分野も強化している。09年2月期は高単価商品が好調なことに加えて、期初計画を上回る新規出店、円高や値引き抑制による採算改善、販促費削減などの効果で増収増益の見込みだ。既存店売上高伸び率を見ると上期(2〜8月)合計が3.5%増で、9月も1.2%増と好調を維持しており、通期業績の上振れも期待される。

【株価診断】 市場全体が軟調な地合いの中でも、好業績を評価して10月3日には年初来高値3,260円をつけた。PERなど指標面の割安感は薄れたが、需給面では上値圧迫要因が小さく、短期調整を挟みながら上値追いも期待できそうだ。月次売上高の動向に注目しておきたい。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.10 |特集

セブン&アイ・ホールディングスは好業績に注目


■セブン&アイ・ホールディングス<3382>(東1)
 株価2,955円(10月7日終値) 単位株数=100株

セブン&アイ・ホールディングスのホームページ セブン・イレブン、イトーヨーカ堂、ミレニアムリテイリング(西武百貨店とそごうの持ち株会社)、デニーズ、セブン銀行などを傘下に置く持ち株会社で、国内最大の流通グループを形成している。食品主体のディスカウント業態も開始した。09年2月期の業績は百貨店事業がやや不振だが、セブン・イレブンやセブン銀行が好調で、デニーズの赤字縮小も寄与して増収増益の見込みだ。

【株価診断】 8月に年初来高値を更新した後は、3,000円近辺でモミ合う展開となっている。だが輸出関連の主力銘柄の株価が急落する地合いの中で、底固い展開である。PERなど指標面では割安な水準とは言えないが、中間決算の発表で好調な業績が確認されれば、買い安心感が増し、上値を試す展開も期待できそうだ。

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日本製紙グループ本社は円高と原油安が追い風


■日本製紙グループ本社<3893>(東1)
 株価287,100円(10月7日終値) 単位株数=1株

日本製紙グループ本社のホームページ 王子製紙と並ぶ業界2強の一角で、洋紙首位の製紙メーカーである。09年3月期の業績は、子会社化した旧三島製紙の上乗せや、段ボール原紙値上げ効果による板紙事業の営業黒字化などが寄与して、増収増益の見込みだ。1Q(4〜6月)は原燃料高が想定以上だったが、2Q(7〜9月)以降は円高と原油安が利益押し上げ要因となり、一転して通期営業利益上振れの可能性も高まっている。

【株価診断】 9月に年初来高値となる35万円台をつけた後は、やや調整局面となっている。しかし、日経平均株価が連日で安値を更新する軟調な地合いの中でも、3月の安値21万円台を大きく上回る水準を維持している。PERの割安感に欠けるが、PBRは1倍割れ水準で下値を支える。26週移動平均線を回復すれば上値を試す展開も期待できそうだ。

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サイゼリヤは好業績を評価して上昇トレンド


■サイゼリヤ<7581>(東1)
 株価1,280円(10月7日終値) 単位株数=100株

サイゼリヤのホームページ 低価格のイタリア料理店をチェーン展開している。全国1,000店舗を目標に積極出店を進めるとともに、オーストラリアの工場で食材を生産している。10月7日に発表した08年8月期の業績は前期比3%増収、1%営業増益だった。09年8月期は2%増収、7%営業増益と増収増益の計画だ。消費者の低価格志向も追い風で、9月の既存店売上高が0.9%増となった。3か月連続の前年比プラスで、好調を維持している。

【株価診断】 7月に1,000円台を回復した後は、13週移動平均線がサポートラインとなる形の上昇トレンドとなった。また足元では、市場全体の軟調地合いに逆行するかのように上げ足を速めている。PERなど指標面の割安感は薄れたが、好業績を評価し、短期調整を挟みながら上値を切り上げる展開も期待できそうだ。

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ニトリは円高メリットで採算改善


■ニトリ<9843>(東1)
 株価6,250円(10月7日終値) 単位株数=50株

ニトリのホームページ 家具・インテリアの大型専門店を全国にチェーン展開している。製造小売り業態が特徴で、海外に自社工場を持ち開発輸入品が7割を占める。09年2月期は増収増益の見込みで、増配の予定だ。新規出店効果に加えて、円高メリットで輸入商品の採算が大幅に改善する模様だ。9月の既存店売上高は4.2%増となり、4か月連続で前年比プラスと好調だ。さらに円高メリットを活用した値下げ戦略で集客増を図る計画だ。

【株価診断】 好業績を評価して上昇トレンドを維持している。26週移動平均線がサポートラインとなり、市場全体が軟調な地合いの中でも、10月6日には年初来高値6,540円をつけた。PERなど指標面の割安感に欠けるが、需給面では大幅な信用売り長である。06年1月の高値6,740円を上抜ければ、一段高の期待も高まる。

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