価格比較サイト銘柄特集
価格比較サイト銘柄特集
社会全体のコスト削減の動きに連動

景気不透明感増大により高まる家計・企業のコスト意識

 日本国内の景気が再不透明感を増してきている。各製品の販売・店頭価格やサービス価格の上昇が進む一方で、今夏のボーナス支給額が前年割れするなど、所得の伸び悩み傾向が鮮明になってきている。

 一例を挙げれば、総務省が発表済の6月の完全失業率(季節調整値)は4.1%と、前月より0.1ポイント上昇し、2006年9月以来の高水準に達した。さらに厚生労働省が発表済の同じ6月の有効求人倍率(同)も前月から0.01ポイント下がって0.91倍と7ヶ月連続の減少。新規求人数も前年同月に比べて17.9%減少した。特にサービス業が29.5%減を記録するなど、雇用環境の悪化は、個々の家庭において家計の引き締め強化を余儀なくされる事態に直面している。
 さらに法人を見ても、今4〜6月決算で東証1部上場企業の約60%が経常減益・赤字転落を余儀なくされた。東証1部上場企業全体の売上高は前年比増収となったが、経常利益は15.8%減、最終利益も21.3%減と今1〜3月期より減益幅拡大を余儀なくされた。アーバンコーポレイション<8868>(整理)の民事再生手続きに伴う上場廃止決定など、金融機関の貸し渋りによる倒産は今後も現れるものと予想され、メーンバンクの圧力も加わって、企業の販管費削減も大きな命題となってくるであろう。

 そこで今後ニーズが高まっていくと見込まれるのが、「価格比較サイト」である。複数の販売店の商品価格やラインナップを一括して検索・比較できる情報サイトのことであり、複数の販売店の販売価格を検索することで価格相場を的確に把握し、効率的なコストパフォーマンスを追及出来る点が大きなメリットである。最近では価格比較だけでなく、各メーカー比較やエリア別比較など検索方法も多岐に亘り、利便性も向上してきている。ネットオークションでの入札額設定などにも役立つ。比較できる商品も電気製品や自動車といった完成消費財だけでなく、保険や引越しサービスなど無形商品にも亘り、家計・企業会計とも、コスト削減の強まりに比例してニーズの高まるサイトと言える。そうしたサイトを開発、運営する主な企業をピックアップしてみたい。

<価格比較サイト運営企業>

カカクコム

価格.com - 「買ってよかった」をすべてのひとに カカクコム<2371>は、パソコン・家電から自動車、新築マンションなどの有形商品から、証券保険などの金融商品、旅客・宿泊サービスなど無形サービスの価格情報、商品情報を幅広く網羅する「価格.com」を運営する。元々、パソコン及びその周辺機器が急速に普及し始めた時期に創業したこともあり、同分野の情報に大きな強みを持つ。
 平成20年7月31日現在の1日の総ページビューは約1645万、ユニークユーザー数は月間約1350万人を誇り、同種のサイトとしてはトップクラス。8月7日発表済の09年3月期第1四半期は大幅な増収増益を達成。同サイトの掲載内容の充実で利用者が順調に増大し、広告収入や掲載店舗への誘導に伴う手数料収入などが増加したことが寄与した。
 特に、比較サイトに登録する店舗に訪問者を誘導することで成功報酬を得る「クリック課金」の料金体系を変更し、サイト訪問者が各店舗のサイトを訪れるごとに報酬の単価を引き上げたことも利益の大幅な向上につながった。元来から強みを発揮しているパソコンメーカーや家電メーカーを中心としたクライアントからの広告出稿に加え、リスティング広告などが堅調に推移し、この部門の売上高は前年同期比86%増と大幅に拡大、今第1四半期の営業利益は9月中間期営業利益予想に対して進捗率69%に達しており、上方修正も視野に入れる。

比較.com

ウェブ比較.com - あらゆる商品・サービス・価格の総合比較サイト 比較.com<2477>は、価格比較サイト「比較.com」を運営する。時系列に並べた閲覧、検索しやすいサイトデザインが魅力。
 とくに、金融・旅行系サービスに注力しており、格安航空券・ツアーの検索をはじめ、パソコンや家電の価格比較、プロバイダー、引越し、自動車保険、証券会社、FXなど、生活に必要なサービスから資産運用まで、あらゆる商品・サービスを比較・検討できる総合比較サイトを運営している。
 また、情報の集約サイト『まとみ』http://matomi.jp/のコンテンツ拡充を進めており、サービスの強化を視野に準備中である。

GMOインターネット

ポイントタウン クチコミでポイントが貯まるサイト GMOインターネット<9449>は、グループ会社が会員制ショッピング・情報サイト「ポイントタウン」を運営する。単なる価格比較機能だけでなく、購入毎にポイントが溜まるシステムで希望商品と交換出来るなど、リピーター率の高いことが強み。カテゴリーも充実しているほか、人気店舗・ブランドショップに直接アクセス可能な点も利便性が高い。因みに08年6月期中間決算は前中間期の赤字から大幅黒字に転じ、業績環境も改善。「ポイントタウン」が属するネットメディア事業が特に好調で、今後の更なるサービスの充実・拡大が期待される。

インタースペース

ウェブベストプライスホームページ インタースペース<2122>は、PCやモバイルのアフィリエイト事業を中心展開しており、メディア事業として、価格比較サイト「ベストプライス」も運営する。主婦層を主要ターゲットと定めており、ベビーカー・キッズ商品や美容・コスメ分野に強みを発揮している。また主要通販サイトに直接アクセス可能である点も特徴的なポイントである。



ベンチャーリパブリック

ベンチャーリパブリックは、比較サイト・ポイントサイト・クチコミサイト ベンチャーリパブリック<2177>は、商品・サービス別に4つの価格比較サイト(商品全般、旅行・航空券、金融サービス及びカタログ通販)を運営するほか、ポイントシステムに特化したサイトや、商品・サービスに関する口コミサイトを運営する。サイトをセグメント化することで、目的に対する迅速な到達を可能にしたほか、各セグメントのメニュー・コンテンツの豊富さに定評がある。


MonotaRO

MonotaROホームページ MonotaRO<3064>は、切削工具、作業工具、安全用品やFA・配管など工事業者向けに特化した価格比較・購入サイトを運営する。一般家庭では馴染みが薄いものの、業者間では定評のあるサイトで、製品のバリエーションも随一。また現場、いわゆる外出先に出ていることも多い作業員の利便性向上のため、今年7月にはモバイルサイトもオープン。さらなる利用顧客拡大を目指す。


サイバーエージェント

価格比較サイト/ECナビ サイバーエージェント<4751>は、Ameba(アメーバブログ)で既に著名な企業であるが、グループ会社が運営する価格比較サイト「ECナビ」も有名。豊富なカテゴリーと各カテゴリーの充実したスペック検索機能に定評がある。ポイントシステムも採用しており、現金や電子マネーと交換出来る点もリピーター率向上に貢献している。尚、モバイルにもサービス対応している。



消費者と企業の橋渡しをする情報サイトとして発展

 景気の不透明感が増す中、家計・企業会計とも再び引き締め傾向が強まっており、商品・サービスに対して如何に適正な価格・付加価値を見出すかがいっそう重要になっている。
 また商品・サービス提供先の企業も、如何にライバル他社と比べ、価格競争力を持つ自社商品・サービスを顧客に認知・浸透させるかがいっそう重要なテーマとなっている。そうした消費者と企業の橋渡しをする情報サイトとして「価格比較サイト」のニーズはネット環境の向上に比例して高まっていくであろう。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.08 |特集