2008年06月04日
ガソリン高騰で軽自動車業界に異変
ガソリン高騰で軽自動車業界に異変

ガゾリン高騰は軽自動車に有利なはずだが、なんだか事情が変わってきたようだ

◆自動車を手放す動きも

 軽自動車の販売は、2006年度に初めて203万台と200万台に乗せた。今年3月末までの2007年度は189万台と200万台を割る水準に落ちたが、今2008年度は再び200万台を回復するのではないかと期待されているが、今年1〜5月累計では前年比3.9%減少している。「ガソリン高は軽に有利」の法則は通用しなくなったのか。

 本来、軽自動車の販売は、景気の良い時は伸びなくて、ガソリン価格が上昇する時に増える傾向がある。景気が良いと、排気量の大きい大型車に目が向く反面、ガソリン価格の上がる時には「燃費のいい」軽に目が向くからだ。

 実際、2002年2月から上昇に転じた景気は、今年2月で拡大6年。この間は、比較的、ガソリン価格が安定していたこともあってトヨタのクラウンなど大型乗用車や2000ccクラスのワンボックスファミリーカーが人気となって、軽自動車は180万台の横ばいが続いていた。

●快走する軽自動車 年度販売推移  (単位:千台)
年度 合計  スズキ ダイハツ 三菱 スバル ホンダ マツダ 日産
1997 1533 495 389 231 145 226 39
1998 1660 526 424 261 160 239 40 -
1999 1908 585 516 275 178 300 45
2000 1861 569 517 249 175 302 39 -
2001 1844 570 508 260 166 290 41 -
2002 1824 576 501 228 148 270 44 47
2003 1861 569 540 230 143 269 44 56
2004 1880 600 567 154 162 252 52 88
2005 1948 625 591 170 140 242 52 123
2006 2030 605 616 170 157 283 53 143
2007 1893 587 612 135 135 223 57 141

 つい、数年前まではリッター90円台だった「ガソリン価格」は今や177円と200円時代も間近な状況となっている。本来、軽自動車には有利なはずだが、「ここまでガソリンが上がってくると、軽自動車も含めて、自動車自体を手放す動きが出る」(中堅証券アナリスト)。したがって、「今年度は軽の販売台数が200万台に行くかどうかは断定できない。しかし、地方を含め、車は必需品なので、軽自動車の中でも選別の動きがでる」(同)とみられている。

◆ヒット出した「ダイハツ」の一人勝ち様相強まる

 注目はダイハツ工業<7262>(東1)。2006年度に初めてスズキ<7269>(東1)を上回り、2007年度もスズキが台数を減らしたのに対し、ダイハツは逆に増やした。ダイハツの2007年度の全体に占める比率は32.3%に向上した。今年5月・単月でもスズキが前月比1.9%の減少となったのに対し、ダイハツは3.7%の増加だった。ここに来てダイハツの一人勝ちの様相が強まっている。
ダイハツのTANTO
 これは、若者や若い母親層を意識した開発が効果を表しているためで、たとえば、昨年ダイハツが投入した「TANTO(タント)=写真」は、小さい子供が傘を差したまま乗ることができる点が受けて、若い母親に受けている。注文して2ヶ月待ちの状態といわれる。

 スズキの株価は高値が2007年11月の3790円、6月3日現在では2865円と高値から24.4%下にある。一方のダイハツは昨年の高値1294円に対し3日は1247円と高値圏にある。

ダイハツ工業とスズキの株価(週足)

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.06.05 |特集