2008年11月17日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アーバネットコーポレーションは新規事業を立ち上げ事業基盤は益々強固


アーバネットコーポレーションのホムページ 今年に入って、倒産した上場企業は28社ある。そのなかの12社は不動産会社である。不動産会社に倒産が集中する理由は、最大の顧客であった海外の不動産ファンドがサブプライム問題の表面化とともに、一斉に日本を脱出したため、販売先が少なくなくなったことによる。
 不動産デベロッパーのビジネスモデルは、金融機関から出資してもらい、土地を仕入れ、ゼネコン等にマンション、オフィスビル、テナントビル等の建設を依頼するとともに販売活動を行い、完成と同時に購入先に12%から15%の利益を乗せて顧客に販売し、販売金額のなかから借入金の返済、建設費用の支払いを済ませる。しかし、金融機関からの借入金は土地代の7割から8割で、残りの着手金、建設費用、販売費用、広告宣伝費用、運転資金は自社でまかなっているため、建設期間である1年半から2年間はギリギリの資金で行っている場合がほとんど。販売が遅れたり融資が止まると資金繰りがつかず、金融機関の融資は見込めないため、倒産に至る。
 ところがアーバネットコーポレーション<3242>(JQ)の場合は、金融機関から土地代全額と建設費用の1割から2割を融資してもらうことを決定してからプロジェクトを立ち上げている。同業他社と比較するときわめて有利な条件で事業を進めているといえる。
 13日に発表された同社の09年6月期第1四半期業績は、売上高19億1400万円(前年同期比13.5%減)、経常利益1億4100万円(同62.9%減)、純利益7900万円(同62.0%減)と2ケタ減収大幅減益であった。しかし、今第2四半期業績予想と比較すると、既に経常利益5500万円、純利益3000万円をともに大きく上回っていることから、第1四半期の事業展開が好調に推移したことが窺える。
 同社は、投資用ワンルームマンションの設計・開発だけを行い、販売は他社に委託していた。ところが先述したように最大の顧客であった海外のファンドが撤退したことから、同社の事業環境も極めて厳しくなった。そこで、新規事業としてこれまで行わなかった新築残戸物件の買取分譲事業に進出し、新たな収益源を確保し、当初予想を上回る業績を達成している。
 新築マンションの売れ残りを4割引で買取り、2割引で販売するというビジネスモデル。優秀な販売部員を12名採用し、今年春に建てられた「グランノエル美しが丘」の4戸を買取り、第1四半期の業績には含まれないが、9月6日から販売開始し、10日間で完売するという予想以上の結果を残した。また、10月18日に昨年5月完成の「エンゼル相模大野マナーハウス」の15戸を買取り、17日間で完売している。現在、売れ残りのファミリーマンションは1万680戸といわれているが、実際はもっと多く2万戸から3万戸あるという。しかも、現在のマンション価格の2割引であれば人気が高いことから、今後更に売上拡大が見込める。
 したがって、多くのデベロッパーが参入すると予想されがちであるが、デベロッパーの多くは自社物件の販売に追われていて、他社の売れ残り物件を買取り、販売する余裕も資金もない。また、自社物件を2割引で販売すると既に購入している入居者との間で、裁判になる可能性も出てくるため、値引き販売が出来ない。また、新規に参入するには、キャッシュが必要となるので、参入障壁は高いといえる。今後、同社では、新築残戸物件の買取分譲事業に経営資源を集中して、事業の拡大を図る計画。
 また、主力事業である投資用ワンルームマンションの1棟販売事業も、10月8日に発表している武蔵小杉プロジェクト(136戸)に関して伊藤忠都市開発と受益権譲渡契約を締結するなど順調に進んでいる。伊藤忠都市開発は他社物件を購入せずに自社開発にこだわるほど高品質物件のみを対象としていたが、同社開発物件を購入したことで、同社の実力が認められたことになる。
 限られたスペースで、最高の住環境を作り出すために、同社はアンケートを実施している。その中から不満の原点を探し出し解消することで、差別化を図っている。これまでのアンケートの結果、1番不満が多かったのは収納スペース。そこで、洗面台の上など空中にあるスペースに収納場所を作り、ティッシュペーパーの箱800個分の収納スペースを設けた。2番目は、お風呂で足を伸ばせないことであった。そこで、100ミリメートル風呂場を大きくするだけで、足を伸ばして入れるユニットバスを開発設置するなど、住環境の改善に努めている。
今第1四半期間の販売物件は、ワンルームマンション1棟、戸建住宅2棟、事業用地1件、中古マンションのリノベーションを販売している。
 財務面では、資金に不安要因が少ないことから、長期借入金16億3400万円を返済している。キャッシュ・フローを見ると、営業キャッシュ・フロー5億4900万円、投資キャッシュ・フロー△3800万円、財務キャッシュ・フローは先述しているように長期借入金を返済していることから△17億5800万円となっている。
 通期業績予想は、売上高125億円(前期比33.6%増)、経常利益3億7000万円(同18.7%増)、純利益2億円(同31.4%増)、1株当たり純利益1万1423円35銭を見込んでいる。
 厳しい環境の中で、新規事業を立ち上げ、収益源を確保したことから、事業基盤は益々強固になっている。

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