2009年12月08日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

ニッポ電機:厳しい環境の継続を前提に新販売会社を中心に販売体制の充実図る


■最大顧客の百貨店、ショッピングセンターが消費低迷で改装の延期・縮小・中止で減収

ニッポ電機のホームページ 照明機器の製造・販売のニッポ電機<6657>(JQ)は、12月2日に東京証券取引所のアナリスト協会で、今10年3月期第2四半期決算説明会を実施した。
 同社の第2四半期連結業績は、売上高32億4100万円(前年同期比23.8%減)、営業利益△1億2600万円(前年同期1億3400万円)、経常利益△1億2300万円(同1億1200万円)、純利益△6400万円(同7100万円)と同社の最大の顧客である百貨店、ショッピングセンター等が消費の低迷により改装の延期、規模の縮小、中止が目立ったことから、同社の業績は大幅減収減益で赤字転落となった。
 部門別の売上は、店舗照明部門20億1200万円(前年同期比25.7%減)、建築化照明部門10億300万円(同18.8%減)、紫外線部門(UVランプ)1億9500万円(同23.8%減)、新規事業2900万円(同39.8%減)と各部門とも大幅な減収。
 売上減少による売上高総利益の減少が業績に影響を与え、昨年行った値上げや経費削減ではカバーしきれなかった。それに加え、製品在庫圧縮のため平塚工場では41%、秋田のニッポ電工では34%稼働率を落としたことで、製造原価が上昇したことも影響している。下期も景況感の底打ち感はあるものの、本格回復の兆しは全く見えないのが現状である。
 通期業績予想は、売上高83億円(前期比1.5%減)、営業利益9000万円(同78.0%減)、経常利益1億3000万円(同63.2%減)、純利益1000万円(同94.6%減)と減収大幅減益を見込む。
 今期予想を実現するための部門別の売上高は、店舗照明52億円(同0.7%減)、建築化照明26億4000万円(同0.2%増)、紫外線部門(UVランプ)4億円(同15.6%減)、新規事業6000万円(同25.0%減)となっている。
 同社では、当面の課題として、内部統制体制の充実、厳しい環境の継続を前提として新販売会社(DNライティング)を中心とした体制の早期充実、海外戦略の再構築、環境適応型製品の本格的市場投入の4点を取り上げ、改善策を実施している。

■安定器、器具だけでなく、ブランド名をDNLに統一して、ランプについても両社で生産をタイプ別に分担

 新販売会社としてダイア蛍光と共同出資でDNライティングを設立し、営業所を統合したことで、同一顧客への配送料金、営業所への配送料金等運送料金の大幅削減が見込まれており、同社とダイア蛍光の合算運送料金は年間約3億円であるが、約1億円の削減を見込んでいる。
 また、同社とダイア蛍光の顧客は相当部分で重なっているため、営業員に余裕が出てきたことから、新分野にも注力できるようになっている。更に、ダイア蛍光が従来外部から購入していた安定器、器具を子会社のニッポ電工が受注することから、生産増・売上増が見込める。加えて、同社の稼働率アップによる単位当たり製造コストの低減につながる。加えて、安定器、器具だけでなく、ブランド名をDNLに統一して、ランプについても両社で生産をタイプ別に分担することにより、コストの低減を図る。また、将来の人員増加の抑制にもつながることから、より効率的経営が進むことになる。
 環境適応型製品の本格的市場投入については、具体的に上がっているのがLED照明である。同社でもLEDランプは開発済みであり、棚下照明としての需要を見込んでいる。
 現在の状況は、韓国、台湾、中国から安い蛍光灯型のLEDが入ってきている。ところが、日本の大手メーカーは蛍光灯型ではなく、電球型の販売を行っている。LEDは寿命時間4万時間、年に換算すると10年ということで、店舗用照明に使われると思われがちであるが、実際は使用されない。というのは店舗は3年周期でリニューアルしないと客足が途絶えがちであるため、リニューアルを行うが、その際、照明機器も入れ替えるため高価なLED照明器具は不経済となるためである。また、省電力を実現できるとして、工場等で蛍光灯型のLEDの使用を進めるビジネスもあるが、まだ、明るさの面で、実用段階までは至っていないのが実情。
 しかし、一般照明用白色LEDの発光率は予想より早まっている。08年発表された資料によると09年100lm/Wを予想していたが、既に150lm/Wを実現している。また、世界の市場規模は、08年1347億円であるが、12年には4782億円と年率37%で拡大すると見ている。日本の08年の市場は133億円と全体の3%であるが、12年には国内の12%まで成長し、578億円になると予想している。
 リーマンショックの影響で、今期業績は低迷するが、厳しい環境下でも効率的な経営を確実に実現していることから今期は再成長のための準備期間といえる。LED照明でもシームレスラインランプのような画期的な製品を期待したい。