燃料電池関連特集 中長期的な大規模市場へ発展
燃料電池関連特集 中長期的な大規模市場へ発展

燃料電池関連メーカーによる開発が加速


燃料電池のしくみ次世代エネルギーの本命

 燃料電池は、燃料にメタノール、エタノール、水素ガスなどを使用して、水素(H2)と酸素(O2)を化学反応させた際に発生する電気エネルギーで発電する装置のこと(図:資料=燃料電池実用化推進協議会(FCCJ))。
 発電の際には、二酸化炭素(CO2)の排出量も少なく、水と熱しか排出しないためエネルギー効率が高く、次世代エネルギーの本命と言われている。すでに自動車用や家庭用での開発が進んでおり、市場規模は富士経済の予測によると、平成20年度には1兆2799億円(うち自動車用が9000億円、家庭用が2575億円など)に達する見込みとしている。

 実用化に向けて着々と研究開発が進む燃料電池は、自動車用、一般家庭やビルで使用する定置用、携帯電話やノートパソコンなどで使用するモバイル用と、広範囲な分野で利用することが可能で、水素の取り出し方や電解質の違いになどによって、様々な方式が開発され、現時点では自動車用は水素ガスを燃料とする方式、家庭用は液化石油ガス(LPG)や灯油を燃料とする方式、モバイル用はメタノールを直接燃料とする方式が開発の主流で、究極の地球温暖化防止策として、今後の開発成果が期待されている。


自動車用燃料電池低コスト・軽量化がカギ

JHFC 有明水素ステーション(資料:JHFC水素・燃料電池実証プロジェクト) しかし、自動車用の開発においての課題は、コストを普及価格に下げるため、電極触媒に使用する白金の使用量削減や代替材料品の開発、安価な電解質膜の開発、水素を充填するための車載用高圧タンクの性能向上や軽量化など克服することは多い。また、水素は可燃性のため、安全性の確保も重要。さらに水素を供給するための製造から貯蔵、輸送、充填に至る流通インフラの構築も重要な課題で、ガソリンスタンドに相当する水素ステーション等も必要となる。

 すでに新日本石油<5001>日立製作所<6501>は、水素発生装置を小型化できる技術を開発した。軽量で車載用に適しているため、ガソリンなどのロータリー車や給油所設備など、既存のインフラ網を利用した輸送、供給が可能で、インフラ構築という大きな課題克服に向けた開発が相次いでいる。

FCV(燃料電池自動車) 経済産業省が実施するプロジェクト「JHFC水素・燃料電池実証プロジェクト」(http://www.jhfc.jp/)では、発電の原理やしくみなどをネット上で解りやすく解説。すでに実用化発売されているFCV(燃料電池自動車)8社がプロジェクトに参加しており、トヨタ自動車<7203>日産自動車<7201>ホンダ<7267>日野自動車<7205>スズキ<7269>マツダ<7261>栗本鉄工所<5602>や外資系ではダイムラーAG、GM・アジア・パシフィック・ジャパン、BMW、などの企業が名を連ねている。また、2030年までに1500万台を普及させる長期目標を掲げており、燃料電池は中長期的な拡大が期待される市場となっている。

家庭用燃料電池発電効率世界最高の家庭用燃料電池を松下電器産業が開発

 松下電器産業<6752>は、発電効率が約39%と世界最高の家庭用燃料電池を開発したと発表。2009年に世界初の量産に乗り出し、一般家庭の6割の電力をまかなえる機種(出力1キロワット)を発売。15年までに価格を50万円台に引き下げて年間10万台超の販売を目指すという。また、積水ハウス<1928>は、燃料電池や省エネ機器を標準装備した『エコ住宅』を発売し、太陽光発電などと合わせれば、電力使用量の大半を自家発電で賄え、家庭のCO2(二酸化炭素)排出量を大幅に減らせるとしている。TOTO<5332>は、装置価格も従来の3分の1を実現。白金など高価な触媒自体を使わない発電用セルの心臓部にセラミックを用いた家庭用燃料電池を開発し、2011年度の発売を目指している。

携帯端末用超小型燃料電池携帯電話やパソコンなど携帯端末電源も商品化

 ユビキタス時代を迎えて、携帯端末やノートパソコンなどの高機能化に伴って電力消費量が大幅に増加しているため、超小型燃料電池も開発が加速している。日立製作所<6501>は白金の粒子を微細化した発電材を開発し、白金の使用量を削減するとともに、寿命も1万時間を達成した。1回の燃料充填当たりの連続作動時間が増えて、燃料容器を持ち運ぶ事ができれば、携帯端末の利便性が大幅に高まることになる。
 携帯端末用の開発は、現時点では直接メタノール型と水素ガス型が主流となっている。直接メタノール型は日立製作所<6501>東芝<6502>NEC<6701>松下電器産業<6752>KDDI<9433>などが開発を進め、水素ガス型はカシオ計算機<6952>日立マクセル<6810>NTTドコモ<9437>などが開発を進めている。
 また、日米韓の電機大手メーカーは、国際規格を策定して燃料成分や安全基準の統一を図り、部品調達の大口化も進めて開発・製造コストの低減を図る方針だ。燃料交換には、メタノール入り小型容器を注入口に差し込む仕組みを採用する。この規格を採用して東芝、日立製作所、松下電器産業などが、携帯電話やパソコンなど携帯端末の電源に使う小型燃料電池を順次商品化する見込みだ。

オフィス機器用燃料電池オフィス機器用電池で安全性や携帯性が向上

 リコー<7752>ではオフィス機器用としてエタノール型を試作。水素ガス型では、キヤノン<7751>日本製鋼所<5631>と共同で、デジタルカメラ用に水素吸蔵合金で水素を蓄える燃料電池を試作した。また、カシオ計算機<6952>は、メタノールを触媒に通して水素ガスを発生させる方式を開発した。
 栗田工業<6370>は固体状メタノールを使い、カード状のカートリッジで構成した燃料電池を開発し、液体メタノールに比べて揮発性を抑えることができ、安全性や携帯性を格段に向上させることができる模様だ。

 第一稀元素化学工業<4082>(東2)田中化学研究所<4080>(JQ)は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の電極材料の開発について業務提携を行い、電極の導電性(電流の流れやすさ)を大幅に向上する新製品を開発している。
 今後、本格普及に向けて新技術開発が進めば、素材である電解質膜の研究で、東レ<3402>クラレ<3405>旭硝子<5201>。セパレーター材では、東海カーボン(5301)日本カーボン(5302)東洋炭素<5310>などの関連銘柄も注目される。電極を薄くするための炭素繊維ナノファイバーの活用も期待されている。

  関連銘柄 燃料電池関連銘柄一覧
  関連銘柄 リチウムイオン電池関連銘柄一覧
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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.04 |特集