| 日本では46年ぶりの皆既日食 |
■肉眼での太陽直視に注意
日本の陸地に限ると、皆既日食が観察できるのは、1963年7月21日の北海道東部で見られた皆既日食以来、実に46年ぶりである。次に日本で観察できる日食は、金環日食が2012年5月21日と2030年6月1日に観察できるが、皆既日食はというと、2035年9月2日に北陸や北関東などで見られる皆既日食まで26年間待つことになる。このため今回の皆既日食は「世紀の天文ショー」と言えるだろう。
なお国立天文台のホームページでは、日食を観察する際の注意事項として、肉眼で直接太陽を見ると、たとえ短い時間でも目を痛める危険性があり、下敷き、CD、ススを付けたガラス板、サングラス、ゴーグルなどを使って太陽を見ることも危険だとしている。また望遠鏡や双眼鏡は、太陽の光や熱を集めて強くするため、肉眼で太陽を見る以上に危険だとしている。ただし、専門家によって適切な減光を施された望遠鏡や双眼鏡については、日食観察に用いることができるとしている。
| 「世界天文年2009」で関連需要も拡大 |
■今年は「世界天文年2009」で関連需要拡大も期待
今年は「世界天文年」である。イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが、初めて自作の望遠鏡で天体観測を始めた1609年から、400年の節目の年となるのを記念して、国連、ユネスコ、国際天文学連合が、2009年を「世界天文年(IYA)2009」と定めた。日本を含めて世界142の国と地域が参加を表明しており、世界各地で関連イベントが開催されている。「世界天文年2009」に、7月22日の「世紀の天文ショー」が重なったことで、各地のプラネタリウムが賑わうなど、国内でも天文ブームが起こっているようだ。特に、全国各地で日食を観察できる7月22日は夏休み期間中ということもあり、天文ファンだけでなく、家族で観察を楽しみたいというニーズも強い模様だ。
7月22日の日食用の関連グッズとしては、家電量販店などでは、日食観察用として、専門家から一定の遮光性能を評価されている「日食グラス」の販売が好調だ。一部の店舗では品薄の状態だという。なお、世界天文年2009日本委員会が推奨している太陽観察用「日食グラス」は、光学機器メーカーの株式会社ビクセンの製品である。
■天文に対する関心高まる
また、各地で開催される日食観察会や関連イベントも盛り上がりを見せている。皆既日食を国内最長の6分前後観察できる鹿児島県・トカラ列島への皆既日食観察ツアーは、申し込みが定員を超えるなど盛況な模様だ。また、トカラ列島周辺で、船上から皆既日食を観察するツアーも販売されている。海外旅行関連では、中国・上海への皆既日食観察ツアーも好調な模様だ。皆既日食を観察できる時間はトカラ列島より若干短いが、中国旅行も楽しめる利点が人気のようだ。
KNT(近畿日本ツーリスト<9726>)は、鹿児島県十島村から、トカラ皆既日食受入対策業務を受託して「2009年トカラ皆既日食観測ツアー」を独占的に販売した。参加者は千数百名を超える模様だ。また、日本郵政グループの郵便局会社と共同で、日食観測用グラス付フレーム切手を7月3日から発売した。
ダイエー<8263>は、7月22日の皆既日食を、鹿児島県奄美市のダイエープラザ大島店の屋上で撮影し、全国約100店舗の店頭でライブ中継するため、店舗への映像配信システムを構築した。当日は集客を目的に中継し、イベント終了後は販促などに活用する計画だ。この映像配信システムおよび受信装置については、トランスコスモス<9715>が受注した。
天文に対する関心の高まりを背景に、家庭用の天体望遠鏡も、子供、サラリーマン、OLなどの間で人気化している模様だ。都会のマンションのベランダでも取り扱えるような小型・卓上型の人気が高い模様で、小型望遠鏡メーカーやレンズメーカーなどにとってプラス効果となりそうだ。なお日本望遠鏡工業会には、上場企業ではニコン<7731>、オリンパス<7733>、HOYA<7741>などが加盟している。また玩具メーカーも、天体望遠鏡や関連製品を開発・販売している。セガトイズ<7842>は家庭用プラネタリウムを拡販する模様で、タカラトミー<7867>も日食観察用の望遠鏡を発売している。


7月22日、日本の各地で日食を観察することができる。特に鹿児島県の離島付近では、今世紀最長と言われる皆既日食を観察することができるため、各地で「世紀の天文ショー」への関心が高まっている。また、今年は「世界天文年」と定められた年であり、家庭用望遠鏡など天文関連製品の需要拡大への期待も高まっているようだ。