中国の景気対策関連特集
総額4兆元(約57兆円)と大規模な景気対策を打ち出した中国
最大規模の景気対策を打ち出した中国

総額4兆元(約57兆円)と大規模な景気対策

中国景気対策 景気後退や企業業績悪化に対する警戒感が強い一方で、景気対策に対する期待も大きい。これまで日本、米国、EU、中国など世界の主要国が打ち出した景気対策の総額は、円換算で100兆円を超えている。これは、世界的な景気後退に対する各国の強い危機感の表れと解釈することができる。この中でも特に注目されるのが、最大規模の景気対策を打ち出した中国である。

 中国の成長率は08年7〜9月期に前年同期比9.0%まで低下し、減速感を強めている。そして一段の輸出減速や消費者心理悪化などで、09年の成長率は8%を割り込むと予想されていた。これに対して中国共産党・政府は9月以降、金融緩和策に転じた。さらに11月9日には、雇用確保に必要な成長率とされる8%成長の維持を目指し、10年末までに総額4兆元(約57兆円)を投じる大規模な景気対策を発表した。

 総額4兆元というのは、中国の07年の国内総生産(GDP)の16%に相当し、日本の景気対策27兆円と比べても2.1倍という大規模な景気対策である。検討中の個人所得税減税などと合わせて内需拡大に全力を挙げる構えであり、世界経済の下支え効果としても期待されている。

インフラ整備を中心とした需要増に期待

 総額4兆元の景気対策の内訳は、@安価な住宅の建設、A農村のインフラ整備、B鉄道や道路など重要なインフラの整備、C医療・衛生と文化・教育事業の発展、D環境対策、E技術革新と構造調整、F震災被災地の復興、G食料買い入れ価格の引き上げや社会保障の拡充、H増値税(付加価値税)改革による企業減税、I銀行貸し出しの拡大、の10項目である。いずれの項目も詳細な内容は不明だが、中国政府がこれまで打ち出してきた重要な政策を加速、拡充させるものと推測されている。

 基本的には社会インフラ整備が中心になるため、関連セクターとしてはセメント、鋼材、塩ビ管(水道管などに使用する塩化ビニール樹脂)、建設機械、農業機械など建設や農業の資材・機材関連、電力設備や水処理設備関連、総合商社などが注目されるだろう。また中国市場における需要増加という直接的な効果だけでなく、アジア地域における市況引き締めという間接的な効果も、日本の企業業績にとってはプラス要因として期待できるだろう。

>>中国関連銘柄特集:中国向け需要急増で日本株に脚光! 2009.04

●中国の景気対策関連特集(順不同)

銘 柄 記 事
・東レ<3402> 東レは材料性見直しで戻り歩調の展開に期待
・トクヤマ<4043> トクヤマは急反発してトレンド転換に期待
・積水化学工業<4204> 積水化学工業はライフライン事業にメリット
・太平洋セメント<5233> 太平洋セメントは景気対策のメリットに期待
・コマツ<6301> コマツは中国関連の主力株で材料性も考慮すれば出直り期待大
・クボタ<6326> クボタはインフラ整備関連の事業多彩で戻り歩調の展開も

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.12 |特集