2008年04月 株主優待特集

高齢化社会で「株主争奪」の時代迎え、株主優待の重要性強まる

『将を射んとすれば馬を射よ』の諺からもまず家族をファンにする

 「お母さん、今年もまた、お花が送られてきたわ」と娘の嬉しそうな声。母親が、「よかったわね。お父さん、株を売らないでほしいわね」――。3月期決算会社から7月と11月の年2回、家庭にプレゼントが届く。「株主優待」というプレゼントだ。鉄鋼関連のこの会社は、何を優待にするか悩んだ末に「花」に決めた。娘さんや母親、おじいちゃん、おばあちゃんにも間違いなく喜ばれる。「鉄」と「季節の花」という意外な組み合わせに株主数は株価変動の影響をほとんど受けることなく安定しているという。もちろん、優待品のほかに配当も継続している。
 また、自動車部品を手がける東証1部の企業は07年3月期から株主優待制度を導入し年2回、コシヒカリ3キロを送ることにしたら株主数が導入前に比べ5倍に急増した。あまりの反響の大きさに事務が大変となったため年2回の優待を秋の1回に変更したほどだ。

 このように「株主優待」に対する個人投資家の反応は非常に高い。一般には、「株式投資をする人はお金持ち。品物をもらっても喜ばないのではないか」と思われているが、2つの例でも示されているように、お金持ちほど優待に敏感だ。もうひとつの理由もある。これも、一般的には、「配当金を出しているのだから優待品は不要」という考えだ。実は、この点については、「配当金は基本的にはお父さんのもの。優待品は娘さん、母親など家族のもの。株主を安定化させようと思えば家族を味方にしなくてはいけない」ということだ。

 上場会社数はまもなく4000社になろうとしているが、このうち株主優待を実施しているのは1000社を超える。少子高齢化時代を迎え、これからの社会は人手不足だけではない。株主争奪戦の時代でもある。「将を射んとすれば馬を射よ」の諺のごとく、家族を味方にする株主優待の存在はますます重要になっている。

■これから狙える株主優待銘柄 (順不同)

アスカネット 一冊からの本格的写真集をインターネット受注するサービスに注目

●アスカネット<2438>(東マ) 売買単位=1株
 同社2009年4月期業績は、葬儀社や写真館との間にネットワークを構成、葬儀に使用する遺影写真の合成・加工などを行い配信するサービス、メモリアルデザインサービス事業は、同社の画像処理の高い技術力、充実した自社サポート体制の強化で顧客開拓が進み、西日本エリアを中心に新規顧客を獲得。また、動画を用いた葬儀演出ツールが好調に推移している。
 一冊からの本格的写真集をインターネットから受注し製作するサービス、パーソナルパブリッシングサービス事業は、従来の写真プリントを印刷・写真集に置き換える新しい写真文化として注目され、特に前期広告宣伝投資を重点的に行った。アメリカを中心とした海外市場およびマイブックサービスを中心としたBtoC市場が好調に推移している。
 同社は、当初の業績見込みを上方修正し、売上高4085百万円(前期比24.6%増)、経常利益660百万円(同260.1%増)、当期純利益375百万円(同278.8%増)の大幅増益を見込んでいる。

☆決算期(4月)
年間配当=1700円  配当利回り=1.25%
☆株主優待
1株以上4株まで 同社「AutoAlbum」サービスの 1000円割引利用券2枚
5株以上     同社「AutoAlbum」サービスの 2000円割引利用券3枚
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.04 |特集

ロック・フィールド 食の品質に対する見直しから2000円相場も

●ロック・フィールド<2910>(東1) 売買単位=100株
《業績・株価展望》
ロック・フィールドホームページ 同社の岩田弘三社長は、「健康・安心・安全という価値観を掲げ、日本の食の未来を担う企業としてお客様の声に耳をすましながら美味しさをお届けしています」ということに裏打ちされた品質の確かさに定評がある。08年4月期も増収増益で予想1株利益は97.1円、配当は10円増配の年40円とする予定。
 配当利回りは2.4%と高く、優待を加えればなお妙味十分。PERは14倍程度、食の安全が求められている時だけに同社の強さは注目だ。株価は2005年12月の2645円を高値に下降相場だったが、今年3月に1398円まで下げ、直近では1600円台へボトムから17%上昇したことで底打ち反転を確認。食の品質に対する見直しから2000円相場が見込まれる。

☆決算期(4月)
株価=08年の高値1641円(4月2日)、安値1398円(3月18日)、4月2日終値1638円
1単位投資金額=16万3800円(手数料等別)
設立=1972年6月、上場=1991年3月
事業=惣菜の製造販売。ブランドは「神戸コロッケ」「RF1」「いとはん」「そうざいや健康家族」などで百貨店での販売が中心。

☆株主優待
 100株以上=1000円分おそうざい券
 300株以上=2000円分そうざい券
 500株以上=3000円分そうざい券
1000株以上=5000円分そうざい券
5000株以上=1万円分そうざい券
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.04 |特集

巴工業 PER7倍弱、利回りは3.5%、PBRも0.5倍と割安

●巴工業<6309>(東1) 売買単位=100株
《業績・株価展望》
巴工業ホームページ 本間實社長は、「メーカー機能と商社機能を併せ持ったユニークな企業です。機械製造販売ではデカンタ型遠心分離機を主力に食品、水産、製薬、造船、鉄鋼、電力などのあらゆる産業分野に納入。環境関連分野にも進出し下水、産業排水の処理を手がけています。
 化学工業製品販売では、戦後間もない1963年に敷設された太平洋海底電線の被覆用ポリエチレンを米国ユニオンカーバイト社から本邦初導入した実績があるように世界中から最先端商品を輸入しています」という。
 08年10月期は売上高横ばい、営業利益は微増益の見通し。予想1株利益146.3円、配当は年35円(中間配当制度はあるが実施はしていない)。
 株価は2006年6月から2007年11月まで1500〜2000円のボックス相場が続いたが、全般安でモミ合いを下放れて現在1000〜1300円の新たなモミ合いを形成中。PER7倍弱、利回りは3.5%にも達する。PBRも0.5倍と割安。

☆決算期(10 月)
株価=08年の高値1280円(2月5日)、安値881円(1月22日)、4月2日終値996円
1単位投資金額=9万9600円
設立=1941年5月、上場=1998年5月
事業=遠心分離機を中心とする分離機器の製造販売、化学工業製品を中心とした先端商品の輸入販売という2つのコア事業を展開。

☆株主優待
100株以上=ワイン1本。(4月の中間配当の変わりに実施。10月末は優待はない。
子会社で扱う外国のワインでそこそこの値段という)。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.04 |特集