2009年1月29日
インフルエンザ関連銘柄特集
新型インフルエンザ関連銘柄特集

新型インフルエンザの予防や治療・開発などを手がける銘柄は要チェック

恐ろしい鳥インフルエンザの変異、スペイン風邪の再来懸念も

ウイルス 全国からインフルエンザが次々と伝えられている。東京町田市では病院全体で100人を超す患者が発生、死亡者も出ている。1月27日に、北九州市はインフルエンザとみられる集団風邪によって幼稚園と中学校の2施設を閉鎖すると発表した。風邪とインフルエンザは似てはいるが、侮れないのがインフルエンザ。
 寝不足などで寒気がする、ノドが痛いといった段階なら早めに就寝して睡眠を十分にとれば治ることは多い。「風邪だったか」、で済む。しかし、インフルエンザはウイルスによって引き起こされ、罹ると高熱が出て、ひどくなると死にも達する。1918年、スペインインフルエンザでは世界で5000万人もの死亡者が出たといわれる。周期的にみて大流行する時期に来ているのではないかと指摘されている。

耐性ウイルスを確認、全国的流行へ

 厚生労働省は1月16日、山口県など11都道府県で1月8日までに耐性ウイルスが確認されたと発表。AH1(Aソ連型)のインフルエンザウイルスの遺伝子などを検査し、薬剤に耐性があることがわかった。タミフル耐性ウイルスには、インフルエンザ治療薬「リレンザ」が有効で、Aソ連型以外の「A香港型」「B型」からは耐性ウイルスは見つかっていないが、全国では、インフルエンザによる集団感染や死亡する患者が急増しており、厚労省は治療薬を慎重に選ぶよう呼び掛けている。

新型インフルエンザも脅威

 新型インフルエンザが発生する可能性も危惧されている。鳥インフルエンザ(H5N1)が鳥から人に感染する事例が数多く報告されている。鳥インフルエンザウイルスが変異し、新型インフルエンザが発生する可能性がある。新型インフルエンザは、人類のほとんどは免疫を持っていないため、容易に人から人へ感染するものであり、世界的な大流行が懸念されている。

 政府は新型インフルエンザの発生に備えた行動計画を定め、同計画に基づいた準備を進めているが、感染の広がりを抑え、被害をできる限り小さくするために、国や自治体における対策はもちろんの事、一人一人が必要な準備を進め、実際に発生した際は適切に対応していくことが大切としている。感染列島
 1月17日、新型ウイルスの恐怖を描いた映画、「感染列島」(瀬々敬久監督・俳優、妻夫木聡主演)が公開されたが、現実のものとなってもおかしくない状況だ。

 こうした、新型インフルエンザに対する予防や治療などの方策が国を挙げて講じられていることから、株式市場では今後も、材料視されるテーマとして「インフルエンザ関連銘柄」を物色する動きが強まろう。折に触れ関連銘柄は要チェックが必要だ。最近では、ウイルス予防マスクを手がけるダイワボウ<3107>(東1) が500円台へボトムから3倍へ急伸するなど活躍となっている。

■WHOに報告されたヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)感染確定症例数
 
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
合 計
確定症例数 死亡例数 確定症例数 死亡例数 確定症例数 死亡例数 確定症例数 死亡例数 確定症例数 死亡例数 確定症例数 死亡例数 確定症例数 死亡例数 確定症例数 死亡

例数

アゼルバイジャン 0 0 0 0 0 0 8 5 0 0 0 0 0 0 8 5
バングラデシュ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0
カンボジア 0 0 0 0 4 4 2 2 1 1 1 0 0 0 8 7
中 国 1 1 0 0 8 5 13 8 5 3 4 4 6 4 37 25
ジブチ 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0
エジプト 0 0 0 0 0 0 18 10 25 9 8 4 2 0 53 23
インドネシア 0 0 0 0 20 13 55 45 42 37 24 20 0 0 141 115
イラク 0 0 0 0 0 0 3 2 0 0 0 0 0 0 3 2
ラオス人民民主共和国 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 0 0 0 0 2 2
ミャンマー 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0
ナイジェリア 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 1 1
パキスタン 0 0 0 0 0 0 0 0 3 1 0 0 0 0 3 1
タ イ 0 0 17 12 5 2 3 3 0 0 0 0 0 0 25 17
トルコ 0 0 0 0 0 0 12 4 0 0 0 0 0 0 12 4
ベトナム 3 3 29 20 61 19 0 0 8 5 6 5 0 0 107 52
合  計 4 4 46 32 98 43 115 79 88 59 44 33 8 4 403 254
注:確定症例総数は死亡例数も含む。WHOは検査により確定された確定例だけを報告する。(IDSC)
  (IDSC 掲載 2009/1/28)

■中外製薬は上昇トレンドに加え「インフルエンザ関連銘柄」として注目

中外製薬のホームページ 中外製薬<4519>(東1)は、インフルエンザ治療薬『タミフル』のメーカー。インフルエンザ関連銘柄の有力候補として注目となっている。
 チャートを見ると、2008年10月27日につけた直近安値1221円を底としたリバウンド局面。上下しながらも、上値・下値とも切り上げるトレンドラインを描いている。08年8月と10月に1800円台をつけ、当面はこの水準が上値のフシだろう。
まもなく発表の08年12月期決算において、09年12月期も増益なら、1800円台のフシを抜いて2000円の可能性も十分にある。

■シスメックスは海外比率7割だが予防医療のニーズで需要堅調

シスメックスのホームページ シスメックス<6869>(東大1)は、検体検査関連機器及び診断薬製品等を手がけ、海外比率の大きいことが特徴。日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、アジア・パシフィックの5地域でグローバル展開。海外比率は06年3月期で59.7%、07年3月期62.5%。08年3月期67.5%、昨年9月中間期では69.7%とほぼ7割に達する。
 世界景気後退の影響は皆無ではないが、しかし、自動車や電機製品などのようなことはない。健康に関係しているからだ。国内では健康検診及び保険指導の実施など予防医療の拡充に伴い臨床検査の役割はいっそう重要になっている。海外においても、特に、経済発展の目覚しい中国、アジアなどでの医療環境整備が進められている。特に、血球計数分野、血液凝固分野で圧倒的な強さを持ち、さらにガン確定診断、尿分野でのナンバーワンも目指す。
 09年3月期は売上高3.0%増の1140億円、営業利益は原材料高で6.9%減の140億円の見通し。予想1株利益は140.8円、配当は年48円を継続する。20日の安値でのPERは19.9倍、利回りは1.7%。特に、割安が目立つことではないが、グローバル展開する検体検査関連の強さに注目すれば3000円以下は仕込んで中期狙いで報われる水準といえる。

■業績急回復の川本産業、ガーゼマスクも好調でPBR5倍台で350円は仕込み場

川本産業のホームページ 川本産業<3604>(東大2)は、ガーゼ、包帯、脱脂綿などのトップメーカー。最近は、病院が人手不足などもあってガーゼ、脱脂綿、包帯などを、手術用ごとにセットパックで購入するようになっており、同社が強みを発揮している。脳外科向けガーゼでは高い評価を得ており欧州での展開が見込める。
 もちろん、ガーゼマスクも手がけインフルエンザ関連銘柄としても注目できる。今3月期は営業利益が2億5600万円(前期300万円)と急回復の見通し。配当は年12円を予定。特に、1株当り純資産は691円で、株価355円前後はPBR0.5倍にすぎない。株価は昨年春以降は大きく見れば350円を挟んだ上下50円幅のモミ合いで推移。現在はモミ合いの中間前後にある。業績の回復、インフルエンザ関連などを考えれば仕込み場といえるだろう。

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