2012年01月25日

大和小田急建設:放射能汚染土壌の除染方法を環境事業推進部中西氏に聞く


■昨年9月13日に土壌・水浄化、廃水処理サービス事業に本格参入

大和小田急建設のHP 大和小田急建設<1834>(東1)は、昨年9月13日に電気分解の技術を利用した土壌・水浄化、廃水処理サービス事業に本格参入することを発表している。その際、現在最重要課題となっている放射能に汚染された土壌の除染にも今後取組んでいくことも発表しているため、その後の状況について、環境事業推進部 副部長 中西稔治氏に取材した。
 同社は、2010年にジー・イー・エスと技術提携して以来、有機性汚染物質の汚染土壌浄化にセラミック電極を用いた電気分解装置による除去方法の開発に取組んできた結果、「DO−SE(ドゥ−セ)工法」を確立。
 また、電気分解装置を使用し、水の再生利用や水道水に代わる地下水利用、工場から排出される難分解性有機含有排水を分解し、排水基準値以下まで浄化する水浄化・廃水処理サービス「DO AQUA(ドゥ アクア)」も提供している。
 これらのサービスは、浄化設備から維持管理まで全ての費用を従量課金制で運用しているため、依頼者の初期投資負担をなくすとともに、ランニングコストと環境負荷の低減を同時に実現できる画期的なサービスといえる。

■浄化した土は埋め戻しに再利用するため、掘削除去に比べ大幅なコスト低減

 「DO−SE」工法は、電気分解による電解水の持つ強力な酸化力でVOC(揮発性有機化合物)や重油等の油類を分解することで、汚染された土壌を浄化するシステム。電解水に含まれる活性酸素およびヒドロキシラジカルは、非常に強い酸化力を持ち、有機物を分解する。この工法は、汚染土壌を分級した後、水と電解水で洗浄し、浄化する。現地で行うため、浄化した土は、埋め戻しに再利用することで、施工コストを従来の掘削除去に比べて大幅なコストと環境負荷の低減となる。従来の掘削除去は、汚染土壌を掘削し、処分場へ運搬して処分するため、埋め戻し用の土を購入する必要があり、コスト高となる。同社では、今後、石油化学工場跡地やガソリンスタンド跡地等の土地浄化を積極的に提案していく。
 「DO AQUA」は、地下水の浄化や電気分解の技術を用いて排水の浄化を行う。特徴としては、設備投資に伴うイニシャルコストゼロ、処理装置の設置・運転管理・メンテナンスまでフルサポート、再生した水量に応じて設定するデマンド料金のみで利用可能が挙げられる。また、排水処理におけるコンパクトにモジュール化した電気分解装置も特徴の一つである。用途としては、再生水利用、地下水利用、排水廃液処理がある。「DO AQUA」は、既に、鹿児島市のスポーツセンターで採用され、経費の軽減を実現している。

■セシウム関係の除染については、洗浄分級が主流

 以上のような土地の浄化、水の浄化法に取組んできた成果を活かし、最重要課題である放射能に汚染された土壌の除染に取組んでいる。
 「弊社では2年前から土壌浄化に取組んでいます。手法としては、電気分解による土壌浄化です。「DO−SE」工法と呼んでいますが、やり方としては、洗浄分級という、土をサイズ毎に分けて、洗浄し、電気分解の電解水を使って除染をするというのがこの工法です。セシウム関係の除染については、この洗浄分級が主流です。各社様も色々な方法を取られていますが、原理は洗浄分級の手法が大半です。細かいところに汚染物が集まっていますので、それを廃棄するなり、色んな処理をすることが主流となっています。弊社もまさにその工法の一つですので、電気分解で、油とか有機物を除染するのではなくて、分級洗浄して、後は電気分解技術を使って、汚染物を削減するとか、減量し小さくする実験を進めています。

■土壌をサイズ毎に分け、粒子の細かい部分だけを処理

 現在、南相馬に協力業者様がおられますので、そこの場所をお借りして、土壌の除染の実験を行っています。それと合わせまして、下水の焼却灰も、各処理場様が処分出来ずにお困りであるという状態ですので、下水道の処理場から試験用のサンプルをいただいて、海老名の研究所で除染の実験を行っています。現在そのような取組みを行っています。
 汚染というのは粘土とか、細かい粒子のものに付着しやすく、石ころ等大きな粒子にはあまり付着しません。そのため、土壌をサイズ毎に分ける分級を行います。そして粒子の細かい部分だけを処理します。既に、実験室レベルの結果は出てきています。

■装置を現場に持って行って、現地で分級洗浄を実施

 来年度から、国の方も本格的に除染を開始するという方針が出されています。しかし、現在のところ明確な基準が示されていません。徐々にガイドラインが発表されている状況です。基準が確実に決定されてきますと、ものすごい量の除染が行われることになると思います。
 除染を行い、年間被ばく量を1ミリシーベルト以下にすることによって、住民の方が安心して生活できるように、スピードを持って除染することが必要となります。
 具体的には、除染を行うために、装置を現場に持って行って、現地で分級洗浄を行います。先ほど申しましたように、細粒の部分に汚染物質が集まっていますので、細粒の部分だけを取り出して、国や自治体が指定した個所に持っていくことになります。それ以外の土壌は元の土地に埋め戻します。100あった土の中で、処分する土は20〜30と減量することが主たる方法です。そのため、処分する土の置き場である処分場の確保が必要となってきます。また、処分する土の減量化がテーマとなってきます。

■装置を3分の1程度に小型化、移動には便利

 除染方法は、分級が主流ですが、その後の方法は業者毎に特徴があります。当社の場合は、装置を現場に運び込み、現場で分級洗浄し、汚染土の減量化を図ります。装置は従来の分級洗浄装置と比較した場合、3分の1程度に小型化していますので、移動には便利です」と除染方法について概要を語ってもらった。
 放射能の除染については、これまでに例のないことであるので、いずれの企業も実験段階であるが、同社の実験結果は成果を出している。土の種類により、一概に言えないため、具体的な数値の発表は控えているが、3月以降にその成果が具体的に表れることが予想される。

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