2011年11月29日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

東洋建設は通期の受注見込を上方修正


■22日に第2四半期決算説明会を本社で開催

東洋建設のHP 海洋土木の東洋建設<1890>(東1)は22日、今12年3月期第2四半期決算説明会を本社で開催した。
 代表取締役社長毛利茂樹氏により第2四半期業績概要、通期業績予想、今後の建設事業について詳しい説明が行われた。
 「21日に第3次補正予算が成立したことで、これから本格的な復興段階に入っていくと思われます。当社では、今後港湾関係の復興事業を中心に確実に受注につなげていきたいと思っています。また、水産関連の施設の復興にも注目していきます。更に、今年度は中期経営計画の初年度でもあります。ポイントとしては、わが社の得意とする海上土木において国内、海外、あるいは官民ともに集中して、マリコンとして、レベルアップしていくことが大切であると思っています。第2四半期までの国内土木の受注につきましては、好調に推移しています。通期の受注見込につきましても上方修正をしておりますが、復興関連につきましてもさらに上積みを目指していきたいと思っています。それから中期経営計画の大きなポイントであります海外事業につきましては、アフリカのケニアで大型工事を受注することが出来まして、幸先のよいスタートが出来たと考えています。海外事業につきましては、今後もリスク管理をしっかりとやりながら収益の柱に育てていきたいと考えています」(毛利茂樹社長)と決算説明を始める前に現在の状況を説明した。

■第2四半期連結業績は前期の羽田拡張工事が終わったことの反動もあり、減収減益

 今12年3月期第2四半期連結業績は、売上高456億47百万円(前年同期比18.2%減)、営業利益4億44百万円(同85.5%減)、経常利益1億42百万円(同94.7%減)、純利益1億68百万円(同88.2%減)と前期の羽田拡張工事が終わったことの反動もあり、減収減益となった。
 連結貸借対照表の概要は、資産合計が854億円(前期末比133億円減)。内訳は、流動資産491億円(同141億円減)、固定資産363億円(同8億円増)であった。負債の合計は、637億円(同129億円減)。内訳は流動負債438億円(同120億円減)、固定負債198億円(同8億円減)。純資産は216億円(同3億円減)となり、負債が大幅に減少したことから、自己資本比率は24.6%と3.0ポイントアップした。
 連結キャッシュ・フローについては、営業キャッシュ・フローは仕入れ債務が減少したことから6億円のキャッシュアウトとなった。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得により1億円のキャッシュアウトとなった。財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済、配当金の支払いにより25億円のキャッシュアウトとなった。

■第2四半期の受注高は734億円(前年同期比73.5%増)

 個別の建設事業の受注については、第2四半期の受注高は、734億円(前年同期比73.5%増)と大幅に伸びた。内訳は、国内海上土木は、震災の影響により、予算執行の5%留保があり、被災地以外での予算執行の遅れにより168億円(同10億円減)、国内陸上土木は高速道路のほか大型工事の受注もあり205億円(同171億円増)、国内建築は震災によるデベロッパーの発注量の減少もあり151億円(同45億円減)、海外はケニアのモンバサ港建設工事の受注により209億円(同193億円増)となっている。
 個別の売上高は、417億円(同83億円減)となった。内訳は、国内海上土木は大型海上土木工事終了の影響から111億円(同148億円減)、国内陸上土木は57億円(同3億円減)、国内建築は前期受注が好調であったことから201億円(同78億円増)、海外は前期受注が減少したことから46億円(同12億円減)であった。
 個別の建設事業の完成工事総利益実績は、国内土木は20億円(同24億円減)、完成工事総利益率は12.1%(同2.8ポイント減)と大型海上土木工事の反動による。完成工事総利益率は2.8ポイント減少しているが、依然として高い水準といえる。
 国内建築は、完成工事総利益3億円(同1億円減)、完成工事総利益率は1.7%(同1.5ポイント減)と厳しい競争により利益率も悪化している。

■海外の完成工事総利益率は6.0ポイント伸びる

 海外については、完成工事総利益6億円(同1億円増)、完成工事総利益率14.5%(同6.0ポイント増)と売上高は減少したものの、手持ち工事の利益率が高かったことから増益となった。
 個別の営業外収支は、出資先の企業が清算したことで清算配当金1.3億円の収益もあり、2.6億円の支出と前年同期の3.3億円の支出と比較すると0.7億円の改善となった。
 特別損益については、転身支援引当金戻入益1.7億円が特別利益として計上され、一方で、震災による特別損失が1億円計上されたこと等により、特別損益は、0.8億円となった。
 個別の当期純利益は、売上総利益が前年同期比23億円減少し31億円となり、一般管理費、営業外収支がそれぞれ1億円改善し、法人税等調整額が大幅に減少したことで、前年同期比11億円減の1億円となった。

■今12年3月期通期連結業績予想は当初予想を据え置く

 今12年3月期通期連結業績予想は、売上高1150億円(前期比5.8%減)、営業利益27億円(同35.9%減)、経常利益19億50百万円(同42.1%減)、純利益9億円(同26.1%減)と当初予想通りとしている。
 個別の建設事業の受注見込額は、当初計画の1150億円に対し100億円増の1,250億円と見込んでいる。国内土木は当初計画の480億円に対し震災関連として120億円を上乗せして600億円と見込んでいる。「震災関連の工事は、これから年度末にかけて本格的な海上土木の発注が行われると予想していますが、発注時期がまだはっきりとしていないこともありまして、やや保守的に見ています」(毛利茂樹社長)。
 国内建築については、国内デベロッパーはやや苦戦をしているが官公庁工事は順調に推移していることから当初計画の400億円(同24億円減)を変更していない。
 海外は、モンバサほか順調といえるが、円高の影響で当初計画の270億から250億円(前期比233億円増)に変更している。

■本格的に始まる港湾施設復旧工事に向けて、全社を挙げて取組む方針

 今後の建設事業への取組みとして、まず震災復旧への取組みを挙げている。同社では、本格的に始まる港湾施設復旧工事に向けて、全社を挙げて取り組んでいく。
 国土交通省の11年度1次補正予算の概要は、補正予算1兆1,189億円、内災害復旧等で9,662億円。3次補正予算は1兆473億円となっている。内訳は、復旧工事3,768億円、復興4,097億円。
 各港湾の復旧スケジュールは、仙台塩釜港、石巻港、茨城港、鹿島港は、2012年末までには完了予定。
 八戸港、久慈港、宮古港、小名浜港は2013年末までに完了する計画。
 釜石港、大船渡港、相馬港は2014年末までに完了する見通し。
 震災復旧工事の概要は、八戸港は八太郎北防波堤等、久慈港は防波堤、宮古港は防波堤と岸壁、釜石港は湾口防波堤、大船渡港も湾口防波堤、石巻港は岸壁、仙台塩釜港は防波堤・岸壁、相馬港は防波堤沖、小名浜港は藤原岸壁、茨城港は航路・岸壁等の工事である。総工費は1500億円から1700億円かかるとみている。
 同社では、中期経営計画(2011年〜2013年)の基本戦略として国内及び海外とも得意分野の海上土木に集中し、民間事業へも注力、東日本大震災による被災地域への早期普及・復興に向けての全社的な対応、海上土木分野における保有設備・技術のスクラップ&ビルド、建築事業と陸上土木分野については、利益を重視した効率的な事業量確保、信頼に足る企業を目指してCSRの実践とIFRSへの対応と5つの項目を挙げている。
 中期経営計画の年度が震災の復旧・復興工事と重なることから、同社では復旧・復興工事に注力する。特に、得意の海洋土木分野で早期の港湾の復旧に貢献することが期待されている。

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