2010年08月30日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

GMO−HSの代表取締役社長青山満氏にホスティング事業の戦略について聞く


■初期費用・1年間使用料を無料とし、早期に囲い込む戦略を取る

 GMOホスティング&セキュリティ<3788>(東マ)の第2四半期累計連結業績は、売上高40億8100万円(前年同期比7.7%増)、営業利益5億4200万円(同9.5%減)、経常利益5億5800万円(同7.6%減)、純利益2億9400万円(同9.7%減)と増収ながら減益であった。
 同社の事業は、ホスティング事業、セキュリティ事業、ソリューション事業に分けられる。売上が最も大きいのはホスティング事業で、第2四半期累計30億1900万円、セキュリティ事業同8億900万円、ソリューション事業同2億5200万円であった。
 同社では、ホスティングサービスの中でも低価格の主として共用ホスティングサービスの利用者拡大を狙い、初期費用・1年間使用料を無料とし、早期に囲い込む戦略を取ったことで、ホスティング事業の売上高は、前年同期比で7200万円の減収となっている。
 ホスティング市場はクラウドサービスの大きな潮流の中にあり、まだまだこれからの成長市場である。そこで、代表取締役社長青山満氏にホスティング事業の戦略について尋ねた。

■6月に始めたドメインキングは、受注が絶好調で契約件数も伸びる

 「ホスティング事業の低価格帯利用者の主たる目的は、ホームページ、商品の案内ですが、このニーズはまだまだ拡大しています。また、このビジネスは、ストック型なので、目先の数字だけを追っていれば、無理をしなくても増やすことが出来ます。規模のメリットが非常にきく事業構造ですので、早期に囲い込む戦略を取りました。まずは、バックヤードシステムの投資を行いました。次に、低価格帯のサービスを投入しました。最近では、6月に始めたドメインキングですが、ここは受注が絶好調で契約件数も伸びています。しかし、1年先までの無料キャンペーンを実施していますので、1年間は、売上は増加しません。囲い込んだ後、どれだけお客様に利便性のあるサービスを提供できるかが今後の課題です。」とこれまでの経過を説明した。

■低価格帯の利用者を増やすことが、売上を拡大するうえで大切

 「他の重点取組として、当社のサーバーをプラットフォームとしてアプリケーション、データベースを動かし、少しやりたいことをキチンとやりたい目的を持ったお客さま向けのサービスとなります。このニーズが充たすサービスが専用サーバー、あるいはマネージドホスティングサービス、その先にあるクラウドサービスとなります。ホームページを持っているお客さまが、次のステップで使われるサービスです。そのため、低価格帯である共用サーバーの客さまを囲い込み、利用者を増やすことが、売上を拡大するうえで、大切なのです」と利用者の早期囲い込みの理由を述べた。

■来るべきクラウドの時代に備えて顧客ニーズを探る

 更に、「2年前、サーバーの運用・管理代行サービス、監視サービスを提供するマネージドホスティングサービスを提供している会社を買収したとき、スタート地点から一挙に売上が拡大しました。その理由は、当社のお客さまで、自社内にサーバーを置き、メンテナンスを行なっているお客さまが多数いらっしゃり、そのお客様のアウトソーシングニーズにマッチしたからです。マネージドホスティングサービスは、数年以内に更に進化して、クラウドサービスとして販売が本格化してくると思います。その準備のために、お客のニーズを探るべく積極的なアプローチを取っています」と来るべきクラウドの時代に備えている。

■クラウドサービスは、柔軟設計が可能で、非常に高い利便性をもたらす

 「現在当社は、クラウドサービスとして「TrueCLOUD」を提供しています。料金は月額2940円からと高額ではありません。従量制なので、使った分だけお支払いいただきます。よって、お客さまの商いの増減によって、お客さまのお支払い金額も変わってきます。すなわち固定費が変動費化されるためお客さまの負担は少なくなります。クラウドサービスは、お客さまのスピード(人の補充・サーバー等の準備が不要)を速め、お客さまのコストも変動費となり柔軟設計が可能となり、非常に高い利便性をもたらします。お客さまは、クラウドを使い、これから益々売上を伸ばすことが可能になります」とクラウド時代について語った。
 また、課題である営業力については、「この業界が長く、営業経験の長い方を3〜4名採用し、9月頃から営業を開始してもらいます。大型案件であるほど、クロージングに時間がかかりますが、第4四半期には何らかの感触を得たいと思っています」と営業の強化策について語った。
 ホスティング事業の第2四半期累計売上高は、初期費用・1年間使用料を無料とする事業方針から、売上高は、減収となったものの、通期予想では、売上高62億3300万円(前期比1.1%増)、営業利益11億5200万円(同6.2%増)と増収増益を見込んでいる。

■セキュリティ事業は、順調そのもの

 一方のセキュリティ事業は、第2四半期累計売上高は対前年同期比で1億5200万円の増収となっていることから、順調そのものといえる。
 セキュリティ事業の基本方針は、地理的拡大、販路拡大、利用用途の提案の3つを掲げている。
 まず、地理的拡大については、世界に進出していない箇所への積極展開を意味し、当期はフランスへ進出しシェアを伸ばしている。また、2月にシンガポール法人を設立し、今第3四半期に営業を開始する予定。シンガポール法人が設立されたことで、オセアニア、インド、東南アジアの全体をカバーすることになる。また、販路拡大の一環として販売代理店の開拓を行なっていて、代理店数は大きく伸びている。更に利用用途の提案については、FDA(米国食品医薬局)への電子化基準の対応、同じく米国の建築分野の州法に対応するなど、様々な利用シーンを想定してサービスの提供を行なっている。

■SSLサーバー証明書の発行枚数は対前年同期比238社増と通常の倍のペースで増える

 また、SSLサーバー証明書の発行枚数が順調に増えていることから、売上も拡大している。08年12月期末のSSLサーバ証明書の発行枚数は約8000枚であったが、10年第2四半期末の発行枚数は1万8561枚と順調に増えている。代理店数も09年3月末約1500社であったが、今第2四半期末は2375社となっている。特に第2四半期は前四半期末比238社増と通常の倍のペースで増えている。
 したがって、セキュリティ事業の今通期連結業績予想は、売上高16億6900万円(前期比21.2%増)、営業利益1億800万円(同92.9%増)と大幅増収増益を見込んでいる。
 ソリューションサービス事業は、2つのカテゴリーに分けられ、1つは、ホームページ制作支援、オフィスコンサルティング、ウェブ店舗の販売支援サービスを行ない、地域NO.1のサービス提供会社を目指している。もう一方は、ホームページストア(ホームページテンプレート販売)、スピード翻訳(翻訳者のマッチングサイトの運営、管理)、電子ブックサービスをSaaS形式で提供している。
 ソリューションサービス事業の今通期の業績予想は、売上高5億7700万円(前期比5倍)、営業利益0(前期は△400万円)を見込む。

■今通期連結業績予想は増収増益を見込む

 全体としては、ホスティング事業が規模の拡大を優先して計画が少し遅延するが、セキュリティ事業は好調に推移しているうえに、下半期の増収増益が期待できることから、今通期連結業績予想は、売上高84億2300万円(前期比10.9%増)、営業利益12億6300万円(10.7%増)、経常利益12億6300万円(同8.9%増)、純利益6億7600万円(同10.2%増)と当初予想通りの増収増益を見込んでいる。
 8月9日にアイティーネクストホールディングスの株式取得したことで、ワダックスも同社の連結対象企業企業となる。連結開始は10月1日からを予定している。のれん消却も含めて、今期業績に与える影響は軽微と考えるが、「2万5000件の顧客を持ち、知名度もあり、優秀なスタッフが揃っている」(青山満社長)とのことであるから、来期以降の貢献が予想される。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.08 |特集