2011年08月26日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

GMOクラウド:今後のグローバルな営業展開が数ヶ月以内で加速


■今11年12月期第2四半期連結業績の説明会を実施

GMOクラウド GMOクラウド<3788>(東マ)は、19日にグラントウキョウノースタワーで今11年12月期第2四半期連結業績の説明会を実施した。
 代表取締役青山満氏は、第2四半期決算の概要、事業概況、通期業績予想の順で説明を行った。
 第2四半期業績予想に対する進捗率は、売上高93.8%、営業利益85.5%、経常利益91.8%、純利益100.4%と売上高、営業・経常利益は共に予想を下回ったが、純利益は計画をわずかであるが上回った。
 第2四半期のトピックスは、大きく分けるとクラウドサービスへの注力、グローバルな展開、エンタープライズ向け販売による成長等が挙げられる。
 クラウドサービスについては、4月にIQ cloud、GMOクラウドPublicのサービスを提供開始した。5月には、知名度アップの目的で「クラウドEXPO」へ出展した。6月には米国でのGMO Cloudのサービス提供を開始した。当初米国でのサービス提供は予定していなかったが、ニーズが高いことから、開始した。予想通り、新規の顧客開拓は順調に進んでいる。更に、7月には「国際電子出版EXPO」へ出展。
 また、セキュリティサービスについては、1月にドイツ語圏直販サイトを開設した。5月よりシンガポールオフィスの営業を開始している。更に、5月にKDDI社と日本、シンガポールにおける代理店契約を締結、8月には米国のホスティングとクラウドの基盤のサービスを行っているOnApp社、Parallels社と業務提携したことで、今後のグローバルな営業展開が数ヶ月以内で加速する環境を築き上げた。

■クラウドのサービス企業として最高級のサービスを提供する企業として認められる

 今期は、エンタープライズ企業向けのクラウドのサービス提供を重点目標として第1四半期から先行投資を行っていたが、7月には、リクルート社の「リクルートIaaS」のパートナーとして契約を締結した。23社の中から唯一選定されているように、クラウドのサービス企業として、最高級のサービスを提供する企業として認められたといえる。
 第2四半期決算業績のポイントとして、ホスティングサービス事業においては、先述しているように、4月にバーチャルプライベートクラウド「IQ cloud」とパブリッククラウド「GMOクラウドPublic」の提供を開始した。パブリッククラウドでは6月より課金を開始している。
 同じく6月より、米国においてもパブリッククラウド「GMO Cloud」の提供を開始し、ホスティングサービス事業においてもグローバル展開を始めた。
 共用ホスティングサービスにおいては、低価格帯ブランドの訴求効果と共に、前期よりグループ会社となったワダックスが加わったことにより、売上・件数ともに増加している。
 一方、専用・マネージドホスティングサービスは苦戦しているが、パブリック、プライベートクラウドを強化することでカバーしていく方針。

■OnApp社、Parallels社と業務提携したことで今後伸び率が更にアップする見込み

 セキュリティサービス事業については、パートナー販売を中心に拡大しているが、売上高は為替の影響を受け、前年比2.5%増にとどまった。一方、SSLサーバ証明書は26,671枚(前年比43.7%増)、販売代理店は3,234件(同36.2%増)と共に大幅増となっているが、OnApp社、Parallels社と業務提携したことで、今後伸び率が更にアップすると見ている。
 ソリューションサービス事業は、東日本大震災の影響から回復傾向にあり、ホームページの制作案件、特に、スマートフォン、携帯電話向けが非常に増えている。売上高は前年比5%増、営業利益73.4%増となっている。また、スピード翻訳サービス会員は順調に増え、13,556件(同61.1%増)。スマートフォン向けサービス、電子ブック配信サービスも順調に推移している。
 決算の概要については、第2四半期(4月〜6月)の損益計算書は、売上高2,236百万円(前年同期比8.6%増)、売上原価929百万円(同19.7%増)、売上総利益1,306百万円(同1.8%増)、販管費1,139百万円(同13.2%増)、営業利益167百万円(同39.4%減)、経常利益190百万円(同33.7%減)、純利益128百万円(同20.3%減)と増収ながら原価、販管費が膨らんだことで、減益となった。
 セグメント別の売上高、営業利益は、ホスティングサービス1,682百万円(同12.1%増)、119百万円(同41.9%減)、セキュリティサービス450百万円(同2.5%増)、47百万円(同23.4%減)、ソリューションサービス143百万円(同5.0%増)、4百万円(同73.4%増)。ホスティングの減益要因は、クラウドサービスのシステム先行投資、広告宣伝費、営業スタッフの増員によるもの。セキュリティサービスの減益は、為替による影響。

■GMOクラウドPublicの1時間当たりのコストは1.5円と世界的に競争力のある価格

 引き続き、各事業概況の説明が行われた。まず、ホスティングサービス事業の概況は、クラウドサービスの充実を図ると共に、低価格市場へのサービスは順調に拡大している。その背景には前期より低価格ブランドである「ロケットネット」「DOMAINKING」を開発し、早期に低価格帯の会員を増やしたことと、ワダックス社をグループ会社化したことがある。
 同社が提供しているクラウドサービスの特徴についての説明が行われた。
 GMOクラウドPublicの特徴は、柔軟性、俊敏、安価にある。柔軟性については、CP、メモリを調節できる点にある。また、申し込んでから3分でサービスが利用できる俊敏性もある。更に1時間当たりのコストは1.5円と安価で、国内はもとより、世界的に競争力のある価格といえる。
 IQcloudは、信頼性、柔軟性、コストパフォーマンスの面で優れている。信頼性では、SLA(service level agreement)が99.999%と極めて高水準である。柔軟性の面では、申し込みから48時間以内にサービスの提供が可能である。更に、コストパフォーマンスも1日3,500円と安価でありながら、急増するアクセス数に対応できるサービスを提供していることが強みといえる。
 導入例として、あるアクションスポーツ系情報発信をしているサイトを運営している企業で、GMOクラウドPublicを採用したところ、コストを抑え売上を伸ばしたいという要望通りに、コストを抑えた上で、売上が10%アップした例が紹介された。売上がアップした要因としては、一挙にアクセス数が伸びたときでも柔軟に対応できる機能を持っているため、ビジネスチャンスのロスが無くなったことが挙げられた。
 また、IQcloudの導入例では、瞬時なリソースマネージメントと常時コストの最適化を求めていたデジタルコンテンツを配信している企業が、同社のIQcloudを採用したところ、最大リソースにあわせたシステム設計が出来上がり、ストレス無く動画が流れるようになったことが紹介された。

■セキュリティサービス事業ではSSLの導入により世界全体でのパートナーの拡大が進む

 セキュリティサービス事業については、現在、地理的拡大、販路拡大、利便性の高い商材の提供と3つにターゲットを絞っている。
 地理的拡大については、英国・米国における販売が順調に推移している。ヨーロッパや東南アジアに向けたアプローチも順調である。また、ドイツ語、フランス語の直販サイトも開設した。SSLの導入により、世界全体でのパートナーの拡大が進んでいる。
 また、地理的・販路拡大をより効果的に進めるために、利便性の高い商材の開発も進んでいる。5月には、再販パートナープログラムに新制度を導入したことで、パートナーの負担が軽減し、電子証明書の普及促進が進んでいる。更に、6月より、全ての電子証明書が複数台での同時利用可能なライセンス体系に変更したことで、クラウド向けのサービス提供が一層簡単になった。
 残っている課題としては、電子証明書販売枚数が急増していることから、業務の効率化が求められている点であるが、シンガポール、アジア圏を使いながら、コスト削減を実施することで、対応していく方針。
 これまでの取組の結果、SSLサーバ証明書発行枚数、販売代理店数、営業利益率の推移を見ると、第2四半期のSSLサーバ証明書発行枚数は日本7,802枚、海外18,869枚、合計26,671枚となり前年比で43.7%増となっている。
 販売代理店数は、同じく第2四半期の代理店数は日本697社、海外2,537社、合計3,234社となり前年比36.2%増。
 営業利益率は、09年4.1%、10年12.1%、11年第2四半期11.7%と順調に伸びている。
 ソリューションサービス事業については、東北、北海道を中心とした、中小企業向けのホームページ制作支援、携帯サイト・集客ツールの構築、販売等ウェブ店舗の販売支援を行なう、コミュニケーションテレコム、シーエムティ社がある。ほかに、GMOスピード翻訳社で、翻訳サービスを行っている。
 スピード翻訳サービスは、各大手ポータルサイトに加え、アルク等の各ポータルサイトとも提携したことで、知名度が向上し、年々会員数は増えている。今第2四半期の個人の会員数は12,375人、法人・大学1,181件、合計13,556件と前年比61.1%増と急増している。

■パブリッククラウドは、日・米・亜の3つのデータセンターをつなぎ、グローバル規模で展開

 事業別の説明の後、今通期連結業績予想についても説明が行われた。
 売上高9,791百万円(前期比17.5%増)、営業利益1,156百万円(同8.6%増)、経常利益1,150百万円(同7.6%増)、純利益636百万円(同6.6%減)を見込んでいる。
 セグメント別の売上高・営業利益予想は、ホスティング7,230百万円(前期比16.9%増)、844百万円(同1.1%増)、セキュリティサービス2,007百万円(同18.3%増)、243百万円(同19.0%増)、ソリューションサービス607百万円(同14.2%増)、45百万円(前期0百万円)と3事業とも増収増益予想。
 説明の終了後、パブリッククラウドとプライベートクラウドで中期的にはどちらの方が収益に貢献するのか、また、パブリッククラウドは1時間1.5円と価格が安いが、黒字化するのはいつ頃になるのかという質問に答えて、「短期的にはプライベートクラウドの方が収益に貢献しますが、中期的に見た場合はパブリッククラウドが貢献すると見ています。プライベートクラウドのターゲットは中堅企業、及び大企業でありますので、社数は自ずと限られています。一方パブリックの方は、日本だけで行うのではなく、アメリカ、アジアでも展開していきます。日本、アメリカ、アジアの3つのデータセンターをつなぎ、グローバル規模の展開を行います。アメリカでの売上状況は、直近の8月では日本より伸びています。単価は安いですが、1年以内に黒字化すると見ています」(代表取締役社長青山満氏)と答え、セキュリティ事業だけでなく、ホスティング事業もグローバル規模で展開することを紹介した。

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