2012年05月09日

リベレステ:代表取締役社長河合純二氏が経営方針と配当について語る


【リベレステの河合純二社長に聞く】

■今期12年5月期業績予想は大幅増収増益を見込む

リベレステのHP マンション開発のリベレステ<8887>(JQS)の今期12年5月期業績予想は、売上高123億99百万円(前期比55.5%増)、営業利益17億3百万円(同98.2%増)、経常利益16億円(同114.2%増)、純利益12億85百万円(同347.6%増)と大幅増収増益を見込んでいる。

 既に発表している第3四半期業績の進捗率は、売上高70.1%、営業利益94.3%、経常利益97.0%、純利益104.6%であることから、今期通期業績予想の達成はほぼ確実で、利益面での上方修正も期待できる勢いである。また、好業績である上に、高配当であることから、5月期末の配当狙いの買いが予想される。

 同社は、独立系の不動産開発企業であるが、08年9月15日に発生したリーマン・ショックの影響も受けることなく、09年5月期の業績は売上高91億88百万円(08年5月期比64.7%増)、営業利益10億56百万円(同783.3%増)、経常利益9億34百万円(同814.1%増)、純利益3億59百万円(同2283.1%増)と大幅増収増益を達成している稀有な企業といえる。また、上場以来高配当を継続する株主優遇企業である。

■建設業というのはリスクの割にはそれ程儲かるものではない

 代表取締役社長河合純二氏に経営方針と、配当について伺った。

 「私自身が建築工事の躯体工事の型枠工事でスタートしています。今年で43年目になります。躯体工事の型枠工事ですから建築工事のサブコンストラクションです。それだけでは面白くないので、ゼネコンになり、総合建設事業として一括受注工事を行いました。ところが、建設業というのはリスクの割にはそれ程儲かるものではないのです。スーパーゼネコンの売上高が1兆5000億から1兆3000億円くらいで、純利益は15億円ですよ、利益率1.0%にも満たないほど薄利です。ということは非常に高いリスクを持っているといえます。大風、突風、地震、大雨といった自然災害の影響に左右されます。つい先日の竜巻のように、一瞬で被害を被ることがあります。このような自然の猛威により、工事現場の周りに迷惑をかけたとしたら、知らん顔をすることは出来ません。どんなに注意を払って工事をしていても、大惨事になれば必ず、労働基準監督所或いは、警察も入ってきて共同の検査となりますから、そうなると対外的に何か原因を出さざるを得ない状況に追い込まれます。こういうところが管理出来ていなかった、杜撰であったということになります。その様なリスクを持っている割には利益が余りにも少な過ぎます。また、震災の影響で現在職人不足となっていますが、職人を確保するために、賃金を5%と上げると利益は吹っ飛んでしまいます。そういうリスクを背負っている割には、きつい、汚い、危険、安い、儲からないと何にも良いことは無いんですよ」と建設業がリスクの高いことを紹介。

■自社開発のきっかけは30年前のオーストラリア旅行

 「その様な状況で、私も受注工事を行っていたんですけれども、自分で事業主になった方が得だと思いまして、小さな土地を買って、自社で開発を始めました。自社開発のきっかけとなったのが、今から約30年前のオーストラリア旅行での出来事でした。飛行機に乗っているときに気分が悪くなり、トイレに入ったところ、僅か半畳の広さに、色々な必要な物が見事に揃っていました。マンションというのは逆に、規模が大きくて、開発費はかかるし、10階建て、20階建てにしても、結局1階、2階は完成していても、全部が出来ないと引渡しは出来ないわけで、非常に非効率的です。だったら小さなものを建てようと思いついたわけです。単純な事ですけれども、飛行機のトイレを見て、其処に気付きました。それで、50坪の土地に、6所帯の家を建てました。45平方メートルで3DKにしました。当時はウサギ小屋からやっと3DKの時代でしたから、1,190万円で売り出しました。合計で7,000万円位でした。知り合いに口をかけただけで、すぐに完売し、売上高の4割程度の利益が出ました。受注工事で1億円の工事を引き受けても粗利で10%程です。そこから固定費、人件費を支払うとほとんど残りません。そのため、利益率の高い自社開発も行うことになりました。その結果、型枠工事、受注開発、自社開発の3つの事業を、状況に併せて展開する現在のスタイルが完成しました」と自社開発にたどり着いた経緯を紹介。

■経常利益10億円をボーダーラインとし、それ以下は赤字だと思って経営

 「当社の場合は、財務体質が健全であるため、100億円程であれば、金融機関から借入れしなくても充分にやっていけます。ゼネコンに対して、完成の売り払いにすれば、土地はすぐに現金で買うことが出来ます。借入れゼロでも事業運営出来ます。これから仕入も厳しい環境に来ていますが、当社の場合は、利益率を落とせば作ったものを卸すことも出来ます。売上高より、利益を重視していますので、私自身の方針として、経常利益10億円をボーダーラインとし、それ以下は赤字だと思って経営しています。もうひとつ大事な事は、しっかりと会社を存続させることです。一時的に事業が拡大しても、破綻したら周りの人達に大迷惑を掛けることになります。当社は派手さは無いですけれども、43年間不動産事業を行っています。リーマン・ショックの影響で多くの不動産企業が倒産しました、株式を上場している企業も例外ではありませんでした。その結果、この業界で現在残っているのは、財閥系、商社系、電鉄系だけです。独立系のところはほとんど残っていません。その様な状況の中で、地道に、堅実な事業運営を行っています」と不動産業の現状を説明した。

■住宅を資産として営業したら絶対売れない

 販売については、「現在、住宅を販売する際、住宅を資産として営業したら絶対売れないと思っています。投資利回りで考えても今の家賃を30年間払うよりも、新築を買った方が儲かるということです。資産と考えなくても投資利回り的に有利なので家は売れるということです。だからそれにあった耐震基準を満たしたデザインのスッキリした住宅を出していけば売れます。少なくともリーマン・ショック前には、リートという買い手がいましたので、とにかく作りさえすれば、売れました。つまりレバリッジを効かせていますから、投資利回りにあいさえすれば売れました。ファンドを組成し、投資利回りにあう物件を買付けていました。其処に乗っかって商売をやっていたところがリーマン・ショックで全部駄目になりました。だから、その様にならないように、私は、すぐには売れないという前提で作っています。場合によっては3年から4年掛けて販売してもいいという覚悟です。それだけの体力が無い不動産会社は今後生き残っていけません」と販売についての考えを紹介。

■過去5年の5月期末の配当利回りは5.3%を上回る

 配当に関しては、「うちはしっかりと配当を出していきます。今発行株式数は12万株ほどです。1株あたり配当3000円にしても配当金の総額は3億6000万円でしょう。純利益を8億円出せば半分を配当に回せます。そのくらいの利益は充分に出せますので、配当3000円から4000円の配当を出していきたいと思っています。上場時から当社の株式を持っていただいている株主様は、配当だけで確りと元は取っていらっしゃると思います。一時は株価6万円のとき配当6000円の時もありました。利回り1割です。過去5年の5月期末の配当利回りは、07年5.97%、08年7.46%、09年6.67%、10年5.3%、11年6.2%です。今回4,500円になるんですけれども、中間の時は3,000円、今期末は1対2の分割を行いましたので1,500円となりますが、分割前からの株主様にとっては実質6000円の配当といえます。7日の引け値が56,300円ですから、配当利回り5.3%です。これまで積み上げた剰余金もあります。元々株主の皆さんが出資してくださったお金で稼ぎ出した利益ですから、今後も継続していきます」と今後も高配当を継続していくことを表明。

 独立系の不動産会社で、金融機関に頼らずとも事業運営が出来る企業は極めて珍しく、しかも好業績で、高配当であることから資産銘柄として、最適といえる。

 「事業に失敗は付き物です。必ずリスクがあります。もしそのアクシデントが発生した場合、財務体質がギリギリであったら克服することが出来ません。39度の熱を出していた時に、冷や水を浴びせかけられたら死んでしまいます。でも健康体でいれば、真冬の寒い時でも何とか回復することも出来ます。我々もいいと思ってスタートしても失敗に終わることもあります」と不動産業の厳しさを認識した上で、事業を展開していることから43年も継続しているといえる。しかも上場後は、増配はすれども減配は一度として行っていない。株主還元に極めて積極的な企業といえる。