2011年07月25日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

毎日コムネットは前11年5月期決算説明会を開催


■震災の影響が懸念されたが、6年連続で入居率100%を達成

毎日コムネットホームページ 毎日コムネット<8908>(JQS)の前11年5月期決算説明会が、新光証券総合研究所の9階ホールで開催された。
 代表取締役社長伊藤守氏は、なでしこジャパンの優勝に触れ、これがターニングポイントとなって、日本経済が復興復活することを祈りますと述べたあと、決算期を5月に変更したため、6ヶ月の変則決算になった理由を語った。また、今回の河合塾との資本業務提携、TOBについても触れた。以前より、河合塾の学生に同社が管理する学生マンションを紹介していて、緩やかな業務提携が背景にあったことが今回のTOBに繋がったといえる。
 説明会は、2011年5月期決算のポイント、業績の概要、今期業績予想、企業方針の順で行われた。
 前期の主なトピックスは、同社の主力事業である学生マンション管理事業では、管理戸数が539戸増加し、総管理戸数167棟、6898戸となっている。更に、春に迎えた新入生の入居率は、震災の影響が懸念されたが、同社が家賃保証しているサブリース物件と、自社保有物件では、6年連続で入居率100%を達成することができた。第2に前期中に販売した物件は2物件、固定資産物件1物件を販売し、有利子負債の圧縮が大幅に進んだ。引き続き賃貸部門は安定的に拡大している。第3に大震災により、学生の課外活動支援部門に影響が出た。春休み中の活動が自粛され、大学の卒業式や、入学式が中止、更に各大学共に4月以降の学事日程を大幅に変更したので、春合宿や春のスポーツ大会、新入生を迎えての合宿等が中止や延期となった。第4に、昨年8月に資本業務提携を行ったワークスジャパンとの連携により、人材事業部門は新卒採用市場に向けポジション拡大の準備を進めている。この春には、学生人材育成をコンセプトにしたキャンパスキャリアのウェブサイトがリニューアルオープンしている。

■2011年5月期の連結業績は増収増益

 2011年5月期の連結業績は、売上高5249百万円(前期比30.0%増)、営業利益554百万円(同10.5%増)、経常利益491百万円(同16.2%増)、純利益287百万円(同23.8%増)と増収増益を達成した。
 課外活動支援部門では、震災の影響を受けたが、不動産ソリューション部門の不動産販売が計画通りに販売できたことに加え、学生マンション事業が順調に推移したことからほぼ計画通りの数字を達成することができた。
 部門別の売上高、売上総利益率は、学生マンション部門3,475百万円(同6.8%増)、1,164百万円(同0.2%減)、開発部門1,219百万円(前期8百万円)、107百万円(前期△61百万円)、課外活動支援部門527百万円(同29.5%減)、266百万円(同28.4%減)、人材ソリューション部門27百万円(同2.2%増)、20百万円(同14.8%減)となっている。
 学生マンション部門の売上高は管理戸数が伸びていることから、売上高は伸びている。しかし、売上総利益率は減少している。この理由は、自社保有物件については、売却するまではオーナに支払う賃料の約9割に当たる保証賃料原価がかからないことから非常に利益率の高い状況で業績に寄与している。つまり、自社物件が多いときは売上総利益率が高いが、自社物件を売却し、サブリースとなると利益率が低くなることによる。前期は自社物件を販売したことから、売上総利益率は減少した。

■有利子負債4,641百万円(同927百万円減)、実質無借金経営

 主要なB/S科目の増減は、流動資産7,353百万円(10年11月期比181百万円増)、流動資産内の現金及び預金4,914百万円(同1,228百万円増)、流動資産内の販売用不動産2,026百万円(同809百万円減)、固定資産内の賃貸用不動産1,518百万円(同904百万円減)、有利子負債4,641百万円(同927百万円減)、純資産合計4,042百万円(同164百万円増)、資産合計10,753百万円(同693百万円減)、株主資本比率37.6%増(同3.7ポイントアップ)となった。
 販売用不動産の売却が進み有利子負債の圧縮も進んだ。残る負債約46億円のなかには無担保社債発行2,120百万円が含まれている。流動資産内の現金及び預金は49億円まで増えているので、実質無借金経営。固定資産となっている賃貸用不動産は前期1物件を売却したことで大幅に減少。株主資本比率もアップし、財務基盤は安定している。

■減損会計の導入や、国際財務報告基準IFRSにより、企業側はCRE戦略を考えざるをえない状況

 同社の主要戦略であるCRE(企業保有不動産の有効活用)戦略については、ここ数年企業法人の不動産活用による学生マンションの管理戸数は、07年11月期3,054戸、08年11月期3,402戸、09年11月期3,500戸、10年11月期3,700戸、11年5月期4,161戸と順調に拡大している。企業の総資産の約4割が不動産といわれているが、減損会計の導入や、今後導入が予定されている国際財務報告基準IFRSによって、不動産ベースでの収益性が問われることから、企業はCRE戦略を考えざるをえない状況になっている。
 学生マンションが企業保有不動産活用に適している理由は、第1に同社が家賃保証を行い、長期にわたって借り上げることから、収益の安定性がある。次に、大企業としての社会貢献という面において、次代をになう大学生に生活基盤を提供することで、地域の理解・共生が可能となる。更に、将来において不動産の利用方針が変わった場合での柔軟性である。学生マンションは数年待てば必ず空室となり、計画的に事業の中止、変更が可能となる点である。

■新キャンパスキャリアのウェブをオープン、学生向け告知媒体としての商品化を図る

 学生生活支援事業については、前期は震災の影響で売上高は減少したが、これは一時的な減少であり、元々学生の合宿・スポーツ大会需要は底堅い、今後も売上の拡大は見込めるとしている。
 人材部門については、小規模セミナーに絞り込み、これをコア商品として、ワークスジャパンとの提携してきた。セミナーの開催数は07年4回、08年10回、09年24回、10年54回、11年80回と急増している。それに伴い、参加企業数も増加し、07年ではのべ参画企業数49社が11年には178社までに増えている。
 更に、新キャンパスキャリアのウェブをオープンした。このウェブを通して、就職活動だけでなく、学生時代に取得したい資格取得に役立てたり、毎週業界セミナーの開催日を告知したり、学生の就職活動の支援を行っている。一方企業側には、学生向け告知媒体としての商品化を図っている。また、先週7月10日には、800名を超える学生が日曜日にもかかわらず出席し、企業からは、鹿島建設、ニトリ、JCB、千葉銀行といった各業界のリーディングカンパニーが参加し、それぞれの業界で働く意義についての講演が行われた。

■大学と共に国際学生寮の共同開発を視野に入れる

 今12年5月期の業績計画のポイントは、不動産ソリューション事業では、物件売却を継続し、一方で販売用不動産の仕入を再開する。また、確実な入居者を確保する観点から、大学との連携を強化し、不動産開発の促進する。また、大学は文部科学省に提出する「グローバル30」、留学生30万人を集める計画を背景に、優秀な留学生を集めたいという意向が根強くなっているが、肝心なインフラとしての住環境整備が遅れている。そこで同社では大学と共に国際学生寮の共同開発を視野に入れている。今第2四半期までに計画をまとめる予定。
 次に人材ソリュ―ション事業では、ワークスジャパンと本格的に販売を開始する。基本的には企業人事に対する販売は、ワークスジャパン、販売したセミナーと運営、学生動員を同社が行うという割当分担となっている。既に、同社の社員をワークスジャパンに出向させていて、事業研修を行っている。
 更に、先日発表している河合塾グループの公開買い付けについては、資本業務提携をスタートさせることで、新たな「大学・大学生事業」の創出を目指す、ビジネス拡大のチャンスとして捉えている。
 その結果、今12年5月期連結業績予想は、売上高9,720百万円、営業利益570百万円、経常利益480百万円、純利益290百万円を見込んでいる。また、開発部門は残る販売用不動産の売却継続としており、1,355百万円の売上げを計画している。なお、今期より5月期決算となるため、前期との増減率は出していない。
 河合塾グループとの業務提携に関して、形式上上場廃止の可能性について発表しなければならなかったので発表したが、その後、投資家からの問合せが多かった。問合せに対して、同社では上場廃止の心配の必要は全くありませんと答えている。
 不動産ソリューション事業、学生支援事業共に需要が見込めるため、今後も継続的な成長が予想される。

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