2012年02月24日

半導体・液晶・太陽電池の製造装置関連銘柄特集


■半導体・液晶・太陽電池製造装置は受注回復期待から一転して不透明感

半導体・液晶・太陽電池の製造装置関連特集(1) 半導体・液晶・太陽電池の製造装置関連セクターでは、半導体メーカーの微細化投資や先端化投資、さらに米インテルや韓国サムスン電子の強気の設備投資計画などを背景として、昨年秋以降に受注回復期待が高まっていた。しかし足元では、半導体メーカーの設備投資回復が遅れている模様であり、一転して不透明感の強い状況となっている。

 国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、11年12月の北米地域の半導体製造装置BBレシオ(3カ月移動平均の販売額に対する受注額の割合)速報値は、0.88倍(販売額が前月比11.8%増の1315.9百万ドル、受注額が同18.5%増の1157.8百万ドル)だった。

 BBレシオの月別推移を見ると、10年10月以降は1倍割れ水準が続いている。しかし過去6カ月で見ると、11年7月が0.85倍、8月が0.80倍、9月が0.71倍、10月が0.74倍、11月が0.83倍、12月が0.88倍となった。11年9月をボトムとして10月以降は3カ月連続で上昇した。

 受注額(3カ月移動平均)の月別推移を見ても、11年7月が1298.2百万ドル、8月が1162.4百万ドル、9月が926.5百万ドル、10月が926.8百万ドル、11月が977.2百万ドル、12月が1157.8百万ドルとなった。11年9月をボトムとして10月以降は受注回復傾向となっている。

 また日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、日本製半導体製造装置の11年12月確定値BBレシオは1.20倍(販売額が前月比1.2%増の843億円、受注額が同24.7%増の1007億円)だった。BBレシオは10カ月ぶりに1.0倍を上回り、受注額(3カ月移動平均)は7カ月ぶりに1000億円台を回復した。

 また、12年1月速報値BBレシオは1.06倍(販売額が同10.6%増の932億円、受注額が同1.5%減の993億円)だった。BBレシオは2カ月連続で1.0倍を上回ったが、受注額は2カ月ぶりに1000億円台を割り込んだ。

 BBレシオの月別推移を見ると、11年7月が0.84倍、8月が0.76倍、9月が0.75倍、10月が0.83倍、11月が0.97倍、12月が1.20倍、12年1月速報値が1.06倍となった。11年9月をボトムとして上昇傾向だったが、12年1月は不透明感を強める結果となった。

 受注額(3カ月移動平均)の月別推移を見ると、11年7月が917億円、8月が831億円、9月が794億円、10月が811億円、11月が808億円、12月が1007億円、12年1月速報値が993億円となった。11年9月をボトムとして回復傾向だったが、12年1月は不透明感を強める結果となった。

■半導体製造装置はスマートフォン関連が下支え、ただし本格回復は12年後半以降に後ずれの見通し

 国内の半導体製造装置大手メーカーの11年10〜12月期の受注状況を見ると、ややまだら模様となっている。半導体製造装置メーカーは各々の得意分野で事業を展開しているため、半導体製造の前工程や後工程の違いなどで、受注動向が異なることも影響しているだろう。

 ダイシングソーやグラインダが主力のディスコ(6146)は、全社ベースの受注高が11年7〜9月期比6%減の199億円だった。薄膜形成プロセス装置が主力の日立国際電気(6756)は、エコ・薄膜プロセス事業の受注高が同37%増の157億円だった。メモリ用・非メモリ用テスタが主力のアドバンテスト(6857)は、半導体・部品テストシステム事業の受注高(米ベリジー社を含む)が同17%減の182億円だった。洗浄装置が主力の大日本スクリーン製造(7735)は、SE事業の受注高が同31%増の431億円だった。コータデベロッパ、エッチング装置、成膜装置などが主力の東京エレクトロン(8035)は、SPE事業の受注高が同97%増の1449億円だった。

 12年の見通しについては、各社ともにやや慎重な見通しとなっている。大日本スクリーン製造(7735)は、前半は調整局面として、後半からの回復を想定している。東京エレクトロン(8035)は、11年10〜12月の受注高が大幅に増加したが、12年1〜3月の受注については半導体市況回復遅れなどで弱含む見通しとしている。エッチング装置、測長SEM、ダイボンダなどが主力の日立ハイテクノロジーズ(8036)は、電子デバイスシステム事業の11年10月〜12年3月の受注見通しを従来の578億円から526億円に下方修正した。

 半導体製造装置の受注に関しては、半導体の微細化投資、需要が好調なスマートフォン、タブレット端末、サーバーなど先端分野への開発投資が下支える模様だ。また、米インテルが12年の設備投資として11年(推定108億ドル)比16%増の約125億ドル規模を計画し、韓国サムスン電子が先端ラインへの設備投資を積極化させる方針であることも、追い風として期待されている。しかし、パソコンの需要停滞などでDRAMの市況回復が遅れていることもあり、量産投資の本格回復は12年後半以降との見方が強まっている。

 なお、日本半導体製造装置協会(SEAJ)の予測(12年1月5日発表)によると、輸出を含む日本製半導体製造装置の販売額は、11年度が前年度比5.9%減の1兆1682億円、12年度が同3.8%減の1兆1238億円、13年度が同20.0%増の1兆3486億円としている。次世代半導体が量産段階に入ることなどで、12年後半から成長局面に転じるとしている。

■液晶・太陽電池関連の製造装置は設備投資の延期や中止が相次ぎ、回復には時間を要する見通し

 液晶関連の製造装置については、スマートフォン用の中小型液晶や有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)関連が堅調に推移すると期待されているが、一方では、テレビ用の大型液晶パネルの供給過剰と需要減速による価格下落、在庫調整の遅れなどで、中国や台湾での設備投資計画に延期や中止が相次いでいる。

 韓国サムスン電子や韓国LG電子が、テレビ用として本格生産を開始する有機EL関連の製造装置の受注が期待されるが、既存の液晶関連の製造設備を流用する可能性が高いとの見方もあり、需要動向には不透明感が強まっている。

 また、太陽電池関連の製造装置についても、太陽電池パネルメーカー間の競争激化や収益悪化の影響で、設備投資が抑制されている。

 いずれも回復時期に関して不透明感が増しており、本格回復には時間を要するだろう。

 日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、日本製FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置の11年12月確定値BBレシオは0.40倍(販売額が前月比14.9%減の316億円、受注額が同59.6%増の128億円)だった。

 また12年1月速報値BBレシオは0.60倍(販売額が同18.2%減の259億円、受注額が同20.7%増の154億円)だった。BBレシオ、受注額ともに2カ月連続で前月を上回ったが、依然として低水準である。

 BBレシオの月別推移を見ると、11年7月が1.38倍、8月が1.32倍、9月が0.39倍、10月が0.25倍、11月が0.22倍、12月が0.40倍、12年1月速報値が0.60倍となった。11年11月をボトムとして上昇の兆しを見せているが、依然として低水準であり回復の力強さは感じられない。

 受注額(3カ月移動平均)の月別推移を見ると、11年7月が314億円、8月が303億円、9月が115億円、10月が92億円、11月が80億円、12月が128億円、12年1月速報値が154億円となった。11年11月をボトムとして回復傾向だが、依然として低水準である。

 国内の液晶・太陽電池関連製造装置大手メーカーの11年10〜12月の受注状況を見ると、ややまだら模様となっている。コータデベロッパなどが主力の大日本スクリーン製造(7735)は、FE事業の受注高が11年7〜9月期比26%減の20億円だった。コータデベロッパ、エッチング装置、CVD装置などが主力の東京エレクトロン(8035)は、FPD・PV製造装置の受注高が同2.9倍の50億円だった。7〜9月との比較では大幅増加だが、依然として低水準である。

 12年の見通しについては、各社ともにやや慎重な見通しとなっている。大日本スクリーン製造は、12年1〜3月については有機EL関連を含めて韓国などから引き合いがあり、受注回復を見込んでいるが、12年通年では11年比40%程度の減少を想定している。中小型液晶の設備投資は継続されるが、テレビ用大型液晶の設備投資が低調としている。東京エレクトロンは、12年1〜3月以降の受注については、液晶パネルや太陽電池パネルの供給過剰などで弱含む見通しとしている。

 また、スパッタリング装置、プラズマCVD装置、タッチパネル製造装置などが主力のアルバック(6728)は、12年6月期通期の全社受注高について、従来の2000億円から1800億円(11年6月期比24%減)に下方修正した。中国や台湾などで、液晶パネルメーカーや太陽電池パネルメーカーの設備投資の延期や中止が相次ぎ、受注が低迷している模様だ。

 なお、日本半導体製造装置協会(SEAJ)の予測(12年1月5日発表)によると、FPD製造装置の販売額は11年度が同18%減の3150億円、12年度が同36%減の2000億円、13年度が同50%増の3000億円としている。

■半導体・液晶・太陽電池関連製造装置セクター主要8社の株価見通し

 半導体・液晶・太陽電池関連の製造装置セクターでは、受注の最悪期に、受注回復を先取りして株価が上昇し始める傾向が強い。さらに米インテルや韓国サムスン電子など、大手半導体メーカーの決算内容や設備投資計画、DRAMなどの半導体市況の動向、米フィラデルフィア証券取引所の半導体株指数(SOX)などを手掛かり材料とする傾向も強い。

 主要8社の足元の株価動向を見ると、東京精密(7729)が2月17日に昨年来高値を更新した。また、液晶や太陽電池関連が主力のアルバック(6728)を除いて、他の6社の株価も概ね戻り歩調の展開となっている。12年後半からの半導体製造装置の受注回復を期待する形で、上昇ピッチを速める可能性もあるだろう。

 ディスコ(6146)は、足元では概ね4000円台前半でモミ合う展開だが、週足ベースで26週移動平均線がサポートラインの形となっている。

 日立国際電気(6756)は、足元では700円台を回復する場面もあり、週足ベースで13週移動平均線がサポートラインの上昇トレンドだろう。

 アドバンテスト(6857)は、11年4〜12月期連結業績発表を機に急反発し、足元では1000円台を回復している。09年後半から続いた長期の下降トレンドに終止符を打った可能性もあるだけに、戻り本格化が期待されそうだ。

 東京精密(7729)は、2月17日に1696円まで上昇して昨年来高値を更新した。週足ベースで13週移動平均線をサポートラインとする上昇トレンドの展開だろう。

 大日本スクリーン製造(7735)は、足元では600円近辺だが、徐々に下値を切り上げている。13週移動平均線を回復しただけに、上昇トレンドとなる可能性があるだろう。

 東京エレクトロン(8035)は、足元では4000円台前半でのモミ合い展開だが、週足ベースで13週移動平均線がサポートラインの形となり、モミ合い上放れの可能性があるだろう。

 日立ハイテクノロジーズ(8036)は、足元では戻り高値圏の1800円台まで回復し、週足ベースで13週移動平均線がサポートラインの形となっている。1800円台のフシを突破すれば昨年来高値も視野に入るだろう。

 アルバック(6728)は反発力がやや鈍く、1000円を挟むレンジでモミ合う展開となっている。12年6月期通期の連結業績予想の下方修正を嫌気して売られ、26週移動平均線が戻りを圧迫する形となった。液晶・太陽電池関連の設備投資回復には時間を要する可能性が高いだけに、当面は反発力の鈍い展開の可能性もあるだろう。

【関連銘柄診断】

・アドバンテストは09年後半から続いた長期下降トレンドに終止符か
・アルバックは設備投資回復に時間を要し当面は反発力の鈍い展開に
・ディスコはモミ合う展開だが週足ベースで26週線がサポートライン
・大日本スクリーン製造は13週移動平均線回復で上昇トレンドの可能性も
・東京精密は13週線をサポートラインとする上昇トレンドの展開へ
・東京エレクトロンはモミ合い展開だが上放れの可能性も
・日立ハイテクノロジーズは1800円台のフシ突破すれば高値も視野に
・日立国際電気は週足ベースで13週線がサポートラインの上昇トレンド