2008年12月13日
営業利益率等でみれば順当なランキング(株価で見るランキング)
株価で見るランキング
大手全体のPERは22〜24倍と東証1部平均上回り割高感

 「大手ゼネコンの株価順位」は1年前と変化はない。この中で、1位と2位の下落率が小さかったのに対し、2〜5位の下落率は2ケタに達した。このため、1,2位の上位と3位以下の株価の開きが拡大し、特に1位と5位の開きは昨年の197円から251円へ拡大した。

大手建設株の1年間のランキング
2007年12月28日   2008年12月12日 
順位 銘柄 コード 株価
(円)
  順位 銘柄 コード 株価
(円)
騰落率
(%)
1 大林組 (1802) 562   1 大林組 (1802) 537 ▼ 4
2 清水建設 (1803) 488   2 清水建設 (1803) 488 0
3 松井建設 (1810) 450   3 松井建設 (1810) 314 ▼ 30
4 大成建設 (1801) 302   4 大成建設 (1801) 231 ▼ 24
5 鹿島 (1812) 365   5 鹿島 (1812) 286 ▼ 22

利回りでは鹿島に見直しの余地

 大林組(1802)の9月中間期は営業利益が前年同期比7.8%減の66億6600万円。今3月期の営業利益は4.6%増の300億円、予想1株利益23.6円、配当は年8円。予想営業利益率は1.69%。PERは22.7倍、利回り1.48%。

 清水建設(1803)の9月中間期は営業利益が前年同期比8.1%増の108億1400万円。今3月期は38.8%減の320億円、予想1株利益20.3円、配当は年7円。予想営業利益率は1.64%。PER24.0倍、利回り1.43%。

 松井建設(1810)の9月中間期の営業損益は4億6400万円の赤字(前年同期4億600万円の赤字)と赤字が拡大。今3月期の営業利益は23.0%減少の5億5000万円。予想1株利益13.7円、配当は年10円。予想営業利益率は5.3%。PER22.9倍、利回りは3.18%。

 大成建設(1801)の9月中間期の営業損益は259億8100万円の大幅赤字(前年同期は101億7900万円の利益)。今3月期の営業利益は98.0%減の10億円。予想1株利益はナシ。配当は年6円。予想営業利益率は0.05%。利回り2.5%。

 鹿島(1812)の9月中間期の営業利益は前年同期比2.1倍の115億200万円。今3月期の営業利益は2.2%増の185億円。予想1株利益11.8円、配当は年7円。予想営業利益率は0.95%。PERは24.2倍、利回り2.4%。

●今3月期の営業増益=大林と鹿島の2社。
●営業利益率順位=松井建5.3%、大林1.69%、清水件1.64%、鹿島0.95%、大成建0.05%の順。
●PER=赤字の大成以外は22〜24倍で一致。
●配当利回り=無配はない。松井建3.18%、大成2.5%、鹿島2.4%、大林1.48%、清水建1.43%の順。


1年先も海外工事等で失敗なければ順位変動なさそう、大成建は上位との差を縮小も

 総合的に見れば順位はうなずけるもの。利回りでは鹿島の見直し余地がある。PERでは、そろって東証1部平均を大きく上回っており割安感はない。国内外の景気後退で民間部門の受注減少の懸念がある。その分を景気対策で公共投資の政府部門がカバーできるかだが難しそうだ。最近の建設株は海外比率が増えているため、内需株として注目するのも限界がある。深追いはできないだろう。
 1年先の順位はどうなっているだろうか。海外工事等で思わぬ損失を出さなければ大きな変化はないとみられる。この中で、大成建の業績が回復すれば上位との差を縮める可能性はある。