2009年04月07日

リユース業界特集:環境・生活防衛関連としてニーズ高まる中古品市場

環境・生活防衛関連銘柄として注目のリユース業界関連銘柄
■中古品の流通市場は急速に拡大

ブックオフ 消費者の節約志向や環境意識の高まりなどを背景に、個人や企業から中古品を買い取って販売する「中古品市場」が拡大している。中古自動車や中古住宅の市場を除いても、最近では家具、家電、衣類、生活雑貨、書籍などの中古品を販売する「リサイクル店」が珍しくなくなった。たとえば、中古本の「ブックオフ」、中古家電の「ハードオフ」などがあり、中古の携帯電話端末を取り扱う「リサイクル店」も増加している。またネット通販でも、中古品の掘り出し物が見つかることは珍しくないようだ。

 

個人や企業から中古品を買い取り販売するリユースビジネス

 循環型社会の構築に向けて、使用済み製品を再利用する分類としては、取り組みの優先度の順に「廃棄物の発生抑制=Reduce=リデュース」、「廃棄物の再使用=Reuse=リユース」、「廃棄物の再資源化=Recycle=リサイクル」の3種類があり、それぞれの頭文字を取って「3R」と呼ばれている。この分類に従うと、個人や企業から中古品を買い取って販売するのはリユースビジネス、あるいはリユース店と呼ぶべきだが、一般的には「リサイクル店」と呼ばれている。家具、家電、パソコン、衣類、時計、宝飾品、バッグ、生活雑貨品、書籍、ゲームソフト、玩具などの中古品を買い取って販売する市場を「中古品市場」、店舗を「リサイクル店」と表現されている。

 経済産業省の商業統計によると、「中古品小売業(骨董品を除く)」の商品販売額は、1997年の約908億円、2002年の約2111億円から、07年には約3452億円に増加している。さらに、ネットオークションの市場が拡大していることも合わせて考えると、中古品の流通市場は急速に拡大していると推測される。

 「中古品市場」が拡大している背景には、環境意識の高まりがあり、また足元の景気悪化の影響で、消費者の節約志向が高まっていることも追い風となっている。中古品は新品に比べて安価なため、生活防衛に走る消費者の間で人気を呼んでいるようだ。若年層の会社員や大学生の間では、一人暮らしをする際に、家電や家具の中古品レンタルを利用する動きが広がっている。さらに、消費者の中古品に対する抵抗感が薄れたことや、商品の長寿命化が進んでいることも市場拡大の一因であり、中古品を利用する動きはシニア層にも広がっている模様だ。

【主なリユース関連銘柄】
 まんだらけ<2652>(東マ)=漫画専門古書店の最大手
 ハードオフコーポレーション<2674>(東1)=総合リサイクル店チェーン
 コメ兵<2780>(東2)=ブランド中古品販売
 パシフィックネット<3021>(東マ)=中古パソコンの回収・販売・レンタル
 ゴルフ・ドゥ<3032>(名セ)=中古ゴルフ用品のリサイクル店
 トレジャー・ファクトリー<3093>(東マ)=家具、家電、雑貨、衣類などの中古品
 アップガレージ<3311>(東マ)=中古カー用品、中古タイヤ、中古バイク用品
 ブックオフコーポレーション<3313>(東1)=中古本販売チェーンの最大手
 テイツー<7610>(JQ)=中古本や中古ソフト
 フォー・ユー<7641>(大2)=衣類、雑貨、家具、家電、スポーツ用品などの総合リサイクル店
 ゴルフパートナー(ゼビオ<8281>(東1)=中古ゴルフクラブの買取販売

中古品市場拡大で需要急増のリユース業界、環境関連としても注目高まる

■拡大基調の「中古品市場」

 中古品に対する潜在的ニーズは大きく、「中古品市場」は拡大基調が予想されている。このため「リサイクル店」を展開する主要企業は、積極的な出店戦略を進める模様だ。たとえば、中古本販売が主力のブックオフコーポレーション<3313>は、衣類、雑貨、玩具などの中古品を取り扱う店舗も積極出店する方針だ。衣類や雑貨の中古品販売が主力のフォー・ユー<7641>は、中古家電なども充実させて、2010年3月期に過去最高の30店舗を新規出店する模様だ。首都圏を中心に総合リサイクル店を展開するトレジャー・ファクトリー<3093>では、中古家電のネット通販も開始した。

業界団体「日本リユース業協会」を設立し基盤作りを推進

 リユース事業(リサイクル店等)を展開する主要企業が、連携を強める動きが活発になってきた。ハードオフコーポレーション<2674>が中心となり、昨年11月には新卒者採用に向けた合同説明会を開催した。さらに4月15日には、上場企業8社程度が参加して、業界団体「日本リユース業協会(JRAA)」を設立し、業界のイメージアップ、優秀な人材確保など、今後の成長に向けた基盤作りを連携して推進する模様だ。リユース事業の健全な発展と市場の拡大、更なる環境への貢献を目指す非営利団体として発足する。

 日本リユース業協会参加の上場企業8社=パシフィックネット<3021>アップガレージ<3311>コメ兵<2780>ゴルフ・ドゥ<3032>、ゴルフパートナー(ゼビオ<8281>)、トレジャー・ファクトリー<3093>フォー・ユー<7641>ハードオフコーポレーション<2674>

 「リサイクル店」は商品調達の大部分を、個人や企業からの買い取りに依存している。このため、持続的な成長や収益力の向上には、魅力ある良質な商品を、如何にして安定的に低価格で調達できるかが課題となる。「リサイクル店」が増加して競争も激化しているため、中古品買い取り量の不足は販売低迷、中古品買い取り価格の上昇は粗利益率低下の懸念材料となる。

【その他リサイクル関連銘柄一覧】
 テンポスバスターズ<2751>(JQ)=飲食店専門リサイクル(店舗設備)
 アサヒプリテック<5855>(東1)=貴金属リサイクル事業
 DOWAホールディングス<5714>(東1)=金属リサイクル
 住友金属鉱山<5713>(東1)=水・貴金属リサイクル
 三菱マテリアル<5711>(東1)=環境リサイクル技術
 三井金属<5706>(東1)=非鉄金属資源のリサイクル
 ダイセキ<9793>(東1)=業廃棄物処理と資源リサイクル
 アミタ<2490>(HC)=廃棄物から原料を製造
 フジコー<2405>(東マ)=廃棄物処理・遊戯機リサイクル事業
 中外鉱業<1491>(東2)=金など貴金属のリサイクル
 昭和KDE<1701>(東2)=耐火煉瓦のリサイクル
 ダイセキ環境ソリューション<1712>(東2)=廃石膏ボードの再生処理
 イフジ産業<2924>(JQ)=卵殻リサイクル
 ケイティケイ<3035>(JQ)=再生カラートナー
 共和レザー<3553>(東1)=材料くずリサイクル
 ユー・エス・エス<4732>(東1)=中古車・廃車リサイクル
 東洋合成工業<4970>(JQ)=溶剤リサイクル
 日東化工<5104>(東2)=再生ナイロン
 日本鋳鉄管<5612>(東1)=ガスメータリサイクル
 日進工具<6157>(JQ)=切削工具リサイクル
 松田産業<7456>(東1)=貴金属リサイクル

「中古品市場」は循環型社会の構築に寄与するビジネス

■「リサイクル店」に持ち込む消費者が急増

 最近では「もったいない」という意識が普及し、不用品を廃棄処分しないで「リサイクル店」に持ち込む消費者が増加している。足元の景気悪化で、不用品を売却して換金したい消費者も増えている。転居時に不用となった家具や家電などを買い取るサービスも普及してきた。さらに、商品調達ルートの多様化も欠かせないが、企業のリストラや倒産が相次ぎ、オフィス家具・什器、OA機器の買い取りも増加している。このため従来に比べて、良質な商品を安定的に調達できるようになった模様だ。

 中古品の価格は、市場の需要動向、在庫の状況、商品の消耗や汚れ度合いなどによって変動する。そして基本的には、幾らで販売できるかを基にして買い取り価格を査定する。しかし、的確な買い取りノウハウは、仕入れ担当者の能力に依存する割合が大きく、ノウハウ習得や人材育成に要する期間も長くなりがちである。したがって多店舗化戦略には、買い取り・販売価格を設定する業務の標準化やシステム化が欠かせない。トレジャー・ファクトリー<3093>では、独自にPOS(販売時点情報管理)システムを開発し、商品管理をシステム化しているようだ。

 「中古品市場」は循環型社会の構築に寄与するビジネスである。しかし中古品でも、ブランド宝飾品やバッグなど高額商品の販売が低迷し、一部では景気悪化のマイナス影響も受けている模様だ。また環境意識や節約志向で、個人や企業が商品を長期間使用する傾向が強まれば、良質な中古品の調達に影響しかねない。中期的に「リサイクル店」事業を成長させるためには、イメージアップや人材育成に加えて、外部要因の影響を受けにくい仕組み作り、商品調達力や商品選択力の強化、適正な販売見通しと在庫管理、ローコストオペレーションなども課題であろう。

「リユース業界・リサイクル店」関連銘柄の株価診断

まんだらけ<2652>(東マ)=漫画専門古書店の最大手

 漫画専門古書店の最大手で、独自の値付けや鑑定が特徴である。マニアからの支持は根強く、アニメ原画や玩具なども販売している。また大型店の出店を進めるとともに、漫画やアニメ以外でサブカルチャー関連商材の取り扱いを強化している。株価の動きを見ると、安値圏から急反発し、13週移動平均線に続いて26週移動平均線も突破した。これは、株式分割(3月31日現在の株式1株を300株に分割)の発表が材料視されたと考えられる。目先は過熱感が強く日柄整理が必要な局面だろう。指標面に割高感はなく、トレンド転換の可能性も考えられるが、上値を追うには業績面の好材料が必要だろう。

ハードオフコーポレーション<2674>(東1)=総合リサイクル店チェーン

 「ハードオフ」「オフハウス」「ホビーオフ」「ブックオフ」「ガレージオフ」など、直営店とFC店の合計で約600店舗を全国に展開する総合リサイクル店チェーンである。今後6年程度で1000店舗に拡大する目標を打ち出している。また、ブックオフコーポレーション<3313>の株式5・01%を保有している。株価の動きを見ると、昨年秋の安値圏からは反発した水準であり、徐々に下値を切り上げて26週移動平均線も回復した。しかし上値も重く、小幅レンジでのモミ合い展開となっている。指標面に割高感はないが、上値を追うには業績面の好材料が必要だろう。

コメ兵<2780>(東2)=ブランド中古品販売

 名古屋を地盤として、ブランド時計・宝飾品・バッグなどの新品・中古品を販売している。首都圏や関西圏にも進出し、中古品の売上比率が約6割である。足元の景気悪化の影響を受け、新品・中古品ともに、主力の高額品の販売が落ち込んでいる。在庫処分などで粗利益率も低下している模様だ。株価の動きを見ると、300円台を割り込んだ後は13週移動平均線が抵抗線の形となり、上値下値を切り下げる軟調な展開が続いている。これは業績悪化を嫌気した展開と考えられる。反発には13週移動平均線の回復がポイントだが、業績面の好材料が必要だろう。

パシフィックネット<3021>(東マ)=中古パソコンの回収・販売・レンタル

 中古パソコンの回収・販売・レンタル事業を展開している。仕入れはリース期間が終了した中古パソコンが主力で、販売は直営店での自社販売や中古品販売業者向け卸売りが主力である。台湾に新規拠点を開設して、回収・販売ルートの多様化を進める模様だ。株価の動きを見ると、上値を切り下げる展開が続いている。年初には自社株取得枠設定が材料視されたが、反発は一時的だった。その後は業績悪化を嫌気する形で反落している。また出来高も減少し、安値圏で軟調な展開となっている。出直りには26週移動平均線の回復がポイントだが、業績面での好材料が必要だろう。

ゴルフ・ドゥ<3032>(名セ)=中古ゴルフ用品のリサイクル店

 中古ゴルフ用品のリサイクル店「ゴルフ・ドゥ」を、全国に直営店とFC店の合計で約80店舗展開している。ゴルフ情報総合ポータルサイト運営のイー・ゴルフと業務提携し、集客効果を高めている。昨年12月、横浜市に新品専売の新業態1号店を出店したが、消費者の低価格志向が強いため、新業態の多店舗化を中止した。今後は、中古品中心の従来型店舗に経営資源を集中させる模様だ。株価の動きを見ると、下値は切り上げた形だが、上値も徐々に切り下がり、三角保ち合いの展開のようだ。上放れには26週移動平均線の突破がポイントだが、業績面での好材料が必要だろう。

トレジャー・ファクトリー<3093>(東マ)=家具、家電、雑貨、衣類などの中古品

 家具、家電、雑貨、衣類などの中古品を取り扱う総合リサイクル店「トレジャー・ファクトリー」を、首都圏中心に約30店舗展開している。独自に開発したPOS(販売時点情報管理)システムによる商品管理を強みとしている。またインテリックス<8940>と業務提携し、不用品の出張買い取り機会を拡大している。株価の動きを見ると、安値圏から反発して26週移動平均線を回復した後は、徐々に下値を切り上げる展開となっている。業績面が堅調で、指標面にも割高感はなく、13週移動平均線がサポートする形になれば、上昇トレンドの可能性も考えられる。

アップガレージ<3311>(東マ)=中古カー用品、中古タイヤ、中古バイク用品

 中古カー用品、中古タイヤ、中古バイク用品などを取り扱うリサイクル店「アップガレージ」「ホイールズ」「アップガレージライダーズ」を、直営店とFC店の合計で約90店舗展開している。新品のタイヤやホイールを主力商品とする新業態も開始する。1月に時価総額3億円を超え、基準緩和で上場廃止の猶予から解除された。株価の動きを見ると、自社株に対するTOBも材料視されて、安値圏からは大幅に反発した。しかし、再び13週移動平均線を割り込んで調整局面となっている。指標面には割安感もあるが、26週移動平均線を維持できるかがポイントだろう。

ブックオフコーポレーション<3313>(東1)=中古本販売チェーンの最大手

 中古本販売チェーンの最大手である。主力の「ブックオフ」に加えて、スポーツ用品、衣類、雑貨、玩具などの中古品を取り扱うリユース新業態店舗など、直営店とFC店の合計で全国に約1100店舗を展開している。M&Aを活用して新刊書籍の販売にも本格参入する。株価の動きを見ると、昨年秋の安値圏から反発して戻り歩調の展開だったが、900円近辺で上値が重くなり、フシを形成した感が強い。当面は調整局面が想定され、26週移動平均線を維持できるかがポイントだろう。指標面の割安感が薄れた水準であり、上値追いには業績面の好材料が必要だろう。

テイツー<7610>(JQ)=中古本や中古ソフト

 西日本を地盤として、中古本や中古ソフトを取り扱う「古本市場」、インターネット・コミックカフェ「アイ・カフェ」を中心に、直営店、業務提携、子会社など合計で約150店舗を展開している。昨年11月には衣類のリユース業態1号店も出店した。ネット通販は連結子会社ユーブックが展開している。株価の動きを見ると、5000円近辺で上値が重くなり、また26週移動平均線が抵抗線の形となり反落した。再び安値圏に接近し、軟調な展開となっている。指標面に割高感はないが、出直りには26週移動平均線の突破がポイントであり、業績面での好材料も必要だろう。

フォー・ユー<7641>(大2)=衣類、雑貨、家具、家電、スポーツ用品などの総合リサイクル店

 衣類、雑貨、家具、家電、スポーツ用品などの総合リサイクル店「セカンドストリート」「ドキドキ」を中心に、直営店とFC店の合計で全国に約240店舗を展開している。「ドキドキ」を「セカンドストリート」に統一して、11年に300店舗、15年に500店舗体制を目標としている。また昨年6月、ゲオ<2681>の連結子会社となった。株価の動きを見ると、安値圏から反発して26週移動平均線を回復した。下値を固めて出直り感を強める形だが、大勢としてはボックス展開が続いていると考えられる。上値を試すには業績面での好材料が必要だろう。