2008年9月1日(月)

【インタビュー】フォーサイド・ドット・コム執行役員飯田氏に聞く


【インタビュー】フォーサイド・ドット・コム執行役員飯田氏に聞く

フォーサイド・ドット・コムホームページ モバイルコンテンツ事業や電子書籍などマスターライツ事業を主力とするフォーサイド・ドット・コム<2330>(JQ)執行役員飯田潔氏に、8月12日発表された08年12月期中間決算及びリリースに関する内容、今下期・来期に向けた事業展開・展望及び投資家対策について伺った。
 同社は「着うた」「着うたフル」で知られる音楽系モバイルコンテンツに強みを持っており、全コンテンツ事業の内、現時点で86%弱の売上を占め主力事業となっている。一方で電子書籍等マスターライツ事業も積極化し、3G携帯対応の新商材の充実を図っている。
 3Gコンテンツ向け商材の拡大で高額商品購買数が大幅に増加、既に業界最高水準の平均購買単価を実現、音楽系コンテンツをはじめとしたブランドの確立も手伝って継続率も着実に上昇している。
 今後はいっそうの「選択と集中」を進めることで本業事業及び財務基盤の強化を図っていく方針である。

―――08年12月期中間決算において連結・個別とも赤字決算を余儀なくされましたが、どのようなことが原因になったのでしょうか?

飯田執行役員:今期は2Gから3Gコンテンツへの移行期であり、単体ベ−スにおける前年比で広告宣伝費を4倍以上投下した。そのため販売管理費が大幅に上昇し、営業段階から赤字決算を余儀なくされた。また前年同期は連結決算の対象であった子会社の売却で今期は同社の利益計上がなくなったのも一因である。

――それでも今通期決算では黒字予想です。達成は可能と見ていますか?

飯田執行役員:先程申し上げた広告宣伝費は前期に比べ大幅に増加していますが、これは先行投資の結果で同業他社も同様の状況である。一方、プロモーションリターン率(入会課金売上÷広告宣伝費)は着実に上昇しており、6月末時点で85.47%を達成。9月末以降は損益分岐点となる100%以上を達成することを見込んでおり、黒字化達成は不可能と見ていない。中間時点での赤字は先行投資と回収サイトの結果と捉えてもらえればと考えている。

――一方、単体ベースで売上高は前年同期比80%の増収となりました。増収達成の要因は何ですか?

飯田執行役員:3Gコンテンツ事業の売上が大幅に増加したことが、一番の要因である。ハイスペック携帯端末に向けた商材、特に電子書籍などマスターライツ事業も好調に推移した。ハイスペックな商材メニューを増やしたことで顧客平均単価も向上、同時にメニュー増加で3Gコンテンツ会員数が大幅に増加し、今中間期末時点で45万人を獲得したことも大きい。

――今下期及び来期の経営展開についてお聞かせ頂きますか?

飯田執行役員:ようやく事業リストラのメドもつき、3G向け事業も軌道に乗ってきたので積極経営に転じたい。但し人員は現状不足しておらず、積極的な人材採用は当面考えていない。当社のようなモバイルコンテンツ事業を手掛ける会社は多数あり、ハイスペック携帯の普及率上昇でコンテンツ競争、価格競争は激しくなるであろうが、当社はあくまでもコンテンツブランドで勝負していくことを考えており、価格競争には巻き込まれるつもりはない。自社原版比率を上げるなどして収益率はより高めていく方針である。

――財務面に関しては今後どのような方針をお考えですか?

飯田執行役員:従来手掛けてきた2G事業は既存会員の対応だけ残し、事実上新規分野からは撤退する。また今期中に米国の子会社を連結対象から外し売却、ないしは今期中に売却のメドが立たなければ清算する方針で固めている。「選択と集中」を確実に進め、その分の経営資源は国内3Gコンテンツ及びマスターライツ事業に投下していくことで筋肉質な経営基盤を構築していきたい。債権回収サイトが3ヵ月後とやや長いため、手元流動性の確保は不可欠と考えている。

――今中間期末では無配となってしまいましたが、今後投資家に向けてはどのような指針を示されていこうとお考えですか?

飯田執行役員:誠に遺憾ながら今中間期は剰余金の状況の関係から無配を余儀なくされました。しかし「株主利益に基づいた経営」という方針に何ら変わりはなく、利益状況が改善され次第、復配するつもりでおりますし、自社株買いなどを積極的に進めることで株価向上、株主価値を高めていく方針であります。ただその前に先ずは本業の収益力・事業内容の高い将来性を各投資家の皆様に示していくことが大事だと思っており、そのような方向性で今後も努力させて頂きたいと考えております。

――本日はどうもありがとうございました。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.09 |特集