2010年11月29日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

夢真ホールディングスは11月25日に東京証券会館で前期の決算説明会を開催


■同社の特徴は、20代の社員が同業他社と比較して圧倒的に多いこと

夢真ホールディングスホームページ 夢真ホールディングス<2362>(JQS)は、11月25日に東京証券会館JQプラザで前10年9月期の決算説明会を行った。
 同社の事業は、施工監理技術者・CADオペレータを派遣する建築技術サポート事業、施工図作図事業、保育士・医療人材派遣の総合人材サービス事業の3事業である。
 3事業の10年9月期の売上高と売上高比率は、建築技術サポート事業43億6700万円、90.0%、施工図作図事業1億8400万円、3.8%、総合人材サービス事業2億9800万円、6.2%となっている。
 同社の特徴は、20代の社員が同業他社と比較して圧倒的に多いことにある。経済産業省の資料によると、建設業界の年代別社員構成比率は、20代14.4%、30代22.7%、40代22.4%、50代40.5%と50代の比率が最も高い。一方、夢真ホールディングスは、20代62.1%、30代17.5%、40代9.3%、50代11.1%と20代の比率が最も高い。
 同社が20代の比率を最も高めている理由は、単価が安く、フットワークが軽い若手に関して派遣先の需要が高いためである。
 また首都圏に特化しているのも特徴である。首都圏は地方と比較して仕事量が多く、単価が高いことが理由である。受注の約90%が首都圏であり、確実に売上を伸ばす体質になっている。
 地域別派遣人数と全体の割合は、東京623人、89.4%、大阪64人、9.2%、名古屋10名、1.4%。
 また、顧客企業は約750社と多く、特定の企業に依存することなく、売上を上げている。

■09年までに事業再建に成功し、事業領域を拡大して保育所事業・医療関連事業へ進出

 前10年9月期連結業績は売上高48億6100万円、営業利益5億1900万円、経常利益5億5200万円、純利益4億3000万円。
 10年より連結業績となったので、09年の単体の業績と比較すると、売上高11.3%減、営業利益31.3%減、経常利益31.6%減、純利益36.6%減とリーマンショックの影響により減収大幅減益となった。
 バランスシートを見ると流動負債は11億100万円(09年9月期比4億3600万円減)、固定負債20億2400万円(同8億2200万円増)、純資産19億5600万円(同2億500万円減)となり、自己資本比率は38.5%と4.2ポイントダウンした。有利子負債は26億2200万円(同3億500万円増)。
 09年と比較すると、財務内容が悪化しているように見えるが、07年の有利子負債61億7400万円、自己資本比率17.8%と比較すると大幅に改善している。実情は、09年までに事業再建に成功し、財務内容の改善が大幅に進んだことから、事業領域を拡大し、保育所事業・医療関連事業への先行投資を進めている。
 稼働率を見ると、09年9月期の平均稼働率は89.9%、10年9月期の平均稼働率は92.5%と2.6ポイント改善している。
 6月の85.0%から7月は93.8%と急上昇し、8月98.1%、9月97.4%とまだリーマンの影響を受けていなかった08年10月の98.7%に接近している。10月も売上高4億4000万円と対前年同月比6.4%増となっているように足元の状況は好転しているといえる。

■今期は増収で営業利益、経常利益も2ケタ増益

 今通期連結業績予想は、売上高52億円(前期比7.0%増)、営業利益6億2000万円(同19.2%増)、経常利益6億2000万円(同12.3%増)、純利益3億5000万円(同18.8%減)と売上高、営業・経常利益は前期を上回るが、最終利益は減益となる。
 最終利益が減益となる背景は、前期は評価性引当額△2億200万円あったが、今期は△1800万円となる影響である。実態は、増収であり、営業利益、経常利益共に2ケタ増益であることから、今期の業績予想は堅調といえる。
 今期は増収で営業利益、経常利益も2ケタ増益と見ているが、同社を取り巻く環境は、公共事業費削減や企業の設備投資の手控えで、建設市場は目減りしている状況である。一方で、オフィスビルの空室率低下や、マンションでの在庫整理が進み、新築マンション着工戸数は回復傾向と明るい話題もある。
 また、保育所事業を行う我喜大笑(がきだいしょう)については、共働き夫婦の増加により、待機児童数は増え続けている。しかも参入障壁の高さから保育所の整備が進んでいない状況に加え、幼稚園、保育所の一体化法案が進まない状況である。
 医療派遣の夢真メディカルサポートについても、超高齢化社会の到来と共に、介護員の不足が顕著となっている。
 その様な状況の中で、経営戦略として、技術者採用の強化、技術者の強化、営業力の強化を目指すとしている。

■新卒180名、中途技術者230名を採用し、技術者1000名体制を計画

 技術者採用の強化では、先行き不透明感から、各企業が採用を控えていることで、ローコストで優秀な人材を採用するチャンスと捉えている。まず、新卒180名、中途技術者230名の採用を行い、技術者1000名体制を計画している。
 技術力の強化については、既に、定期的な技術者へのフォローアップ研修を行っている。更に、市場開拓中の電気・設備技術者の技術向上のため、専任講師を招いてのスクールも開講している。
 営業力の強化では、マーケットシェア拡大のためのマーケティングの強化、個人ごとの徹底した予算管理、営業促進のための機関誌を発行して、認知度を高めるとしている。
 これまでの戦略として、建築現場の減少と共に、建築現場の監督派遣業の売上が減少していたことから、建築周辺事業として、電気工事・設備工事の技術者派遣も行っている。
 建築周辺事業の過去3年間の売上推移は、08年1億700万円、09年4億8100万円、10年7億2000万円と順調に拡大している。同社では、今後も新規事業の開拓に努め、売上の拡大を目指す。
 今期は、事業環境も好転していることから、スタート月の10月の売上も6.4%の増収と順調な出足である。また、今後の事業拡大を推進するため保育所事業にも進出し、新たな投資を行う等、今後を見据えた企業活動を行っている。株価は、今期の成長を先取りし、3ケタを意識した動きとなっている。

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