2011年12月12日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

ラクーン:第2四半期連結売上高は43億25百万円と前年同期比12.7%増


■スーパーデリバリーの売上高が堅調に伸びる

ラクーンのHP ラクーン<3031>(東マ)は9日、今12年4月期第2四半期決算説明会を兜町平和ビルで開催した。
 取締役副社長今野智氏は、第2四半期の概要、EC事業、売掛債権保証事業、通期業績予想の順で語った。
 第2四半期連結業績は、売上高43億25百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益53百万円(同3.0%減)、経常利益49百万円(同7.7%減)、純利益33百万円(同31.4%減)と2ケタ増収ながら、減益となった。
 売上高成長率については、10年9月7.4%増、11年9月3.1%増、今期9月期12.7%増と大幅に伸びている。主な要因は、スーパーデリバリーの売上高が堅調に伸びていることによる。
 利益面については、新規事業「Paid」への投資コストが発生したことにより、人件費、広告費を約26百万円を計上したことで、大幅な減益となった。
 一般管理費の売上比率の推移は、08年4月期21.5%、09年4月期16.1%、10年4月期15.4%、11年4月期15.1%。今第2四半期は15.2%とほぼ前期並みで推移している。
 貸借対照表の総資産は、25億46百万円(前期比4.2%減)となっている。内訳は、流動資産22億円(同5.4%減)、固定資産3億46百万円(同4.2%増)。流動資産は、売上高の増加に伴い売掛金が増加した一方で、短期借入金の返済により現金及び預金が減少した。固定資産はソフトウェアとソフトウェアの仮勘定が17百万円増加した。
 総負債は、13億95百万円(同8.6%減)。内訳は、流動負債10億80百万円(同5.8%減)、固定負債3億15百万円(同17.0%減)となっている。
 純資産は、四半期純利益の計上により、11億51百万円(同1.7%増)となった。その結果、純資産比率は、2.6ポイントアップし、45.1%となっている。

■EC事業では出展企業の総数は減少したものの、新規は堅調に獲得

 セグメント別の状況は、EC事業については、売上高42億39百万円(前年同期比10.4%増)、セグメント利益36百万円であった。
 前期に引き続き審査基準の引き上げを継続して適用し、質の高い「会員小売店」及び「出展企業の」獲得に取組んだ。その結果、出展企業の総数は減少したものの、新規は堅調に獲得したことで、魅力的な商品が確実に増加している。会員小売店は、広告の見直しやSEO対策により登録数は緩やかながらも上昇基調にある。獲得した会員小売店に対して、ターゲット別に細かく再分類し、ニーズに合ったサービスの提供を実施した結果、月間の客単価は増加している。
 四半期毎のスーパーデリバリーの売上高は、第1四半期(5月から7月)21億円(前年同期比10.1%増)、第2四半期(8月から10月)21億39百万円(同10.6%増)と2ケタ増収となっている。
 四半期毎の客単価は、第1四半期25万4,512円(同16.6%増)、第2四半期26万754円(同11.2%増)と客単価も上昇している。
 出展企業の4半期毎の販売金額は、第1四半期204万8,081円(同21.5%増)、第2四半期209万5,623円(同19.9%増)と1社当たりの売上も拡大している。

■売掛債権保証事業では10月から大阪支社を開設

 売掛債権保証事業の第2四半期の業績は、売上高1億33百万円、セグメント利益10百万円となった。
 営業力の強化のために、人員増加のほかに、リスティング広告やSEO対策を実施し、ホームページからの申し込みの増加を図った。また、あいおいニッセイ同和損害保険会社と再保証の保険契約を8月から締結したことで、再保証の活用により、リスクを抑えつつ、引き受ける保証金額の大幅な引き上げを可能にしたことから、保証残高の大幅な増加となっている。また、10月から大阪支社を開設し、関西圏の営業基盤を拡大して、新規取引先を増やしている。同社では、営業エリアを拡大するとともに、再保証の活用により、保証残高を拡大することで、保証料収入を増加させ、事業の拡大を目指している。
 今通期連結業績予想は、売上高83億円〜86億円、営業利益は1億20百万円〜1億30百万円、経常利益1億10百万円〜1億20百万円、純利益77百万円〜84百万円を見込んでいる。

■小方功社長 後払い決済システム「Paid」について語る

 引き続き、代表取締役社長小方功氏より、後払い決済システム「Paid」を立ち上げた理由と、その後の経過について説明が行われた。
 「新事業を立ち上げる際に、私個人で重要視していることがあります。第1番目がシンプルである。2つ目がマーケットが非常に大きいということ。3番目が誰よりも先であるということです。特に、3番目は私が最も重要視しているところであります。今回のPaidは、私にとって、3本目のビジネスモデルとなります。オンライン激安問屋というのが最初です。98年に立ち上げて、在庫の流通を行いました。2番目がスーパーデリバリーで、売上は年間80億円ぐらいまでに成長しています。今度のPaidというのが3本目になります。3本とも特徴は一緒です。シンプルである、マーケットが大きい、全く同じビジネスモデルは無い国内初のビジネスモデルであるということです。

■EコマースというのがPaidにとっても非常に重要なキーワード

 Paidについて説明します。まずEコマースであるということです。今まで多くの人たちが時間や手間をかけて行ってきたことをシステムで一気に効率化してしまうのがEコマースです。例えば、5年位前に成田からハノイまでの航空券を買う場合、代理店の窓口で随分待たされて、高い航空券を買わされたことがありますが。現在ではいくつかのサイトで、成田、ハノイと検索すると30秒くらい待つとズラーと何社も行き方が出てきて、中には半額で行けるものも出てきたり、ある空港経由にすると一番都合のいい時間に到着したり、と一歩も外出することなく探すことが出来ます。あのシステムを何人かの若者で作っていたとしたら、その瞬間から旅行代理店のプロフェッショナルが失業する可能性が大きくなります。ある意味で恐ろしいビジネスモデルかもしれません。Eコマースというのが我々のPaidにとっても非常に重要なキーワードであります。

■Paidは中小企業間の決済システム

 Paidというのは中小企業間の決済です。私の認識では、未だに中小企業というのは、最初ぐらいは先払いで決済したり、代引きで出荷したりするかもしれませんが、3回、4回と取引を重ねるうちに常識的に掛売りになっていきます。今でも日本だけはこの習慣が強く、ほとんど掛売りで商売しています。何を基準に掛売りをするのだろうか?これを当事者に尋ねると、結局は感と経験と度胸の3つだそうです。この3つで融資枠を設定し、200万円までだったらいいかな?といって掛売りをしています。私の認識では、この様に専門性の高い業務というのは、集中的に1社にアウトソーシングするべきではないかと思います。これを全員が自己流でやっている景色というのは、何処か変だなと思うんです。何処か1ヶ所で、それらのデータを全て集約して、取引してもよい会社か、そうでない会社か分かるようにしてあげる会社があればどれほど便利なんだろうと思いました。
 私は、ラクーンという会社は問屋と思っています。未来形の問屋という認識です。問屋は、情報、決済、物流とこの3つの機能を持ちながら進化してきた非常に日本独特の世界に誇るべきビジネスモデルなのです。本当の問屋というのは、新商品を紹介して、ニーズを聞き、与信枠を設定して、信用がつくと与信枠を増やしてやって、月末になったら回収に行くというのが問屋の仕事です。この3つを行っていたのが問屋であって、アメリカの中間流通業というのは、この3つを行っていません。情報のみです。日本は早くからこの3つが進化していました。

■掛け売りという商習慣が中小企業のニーズを満たしているのだろうか

 これから、東京や、大阪のメーカーが全国に物を売っていこうとしたら、情報を伝える手段として、地方の問屋を頼るべきではありません。もうチョッと便利で、安くて、スピーディなものが必要となってきています。そこで、新製品等を紹介するスーパーデリバリーの役割が注目を浴びてきています。問題は決済です。今まで我々は掛け売りという習慣が強いから、足で通える近くの信頼できる人としか取引をしてきませんでした。でも、今は不景気なのだから、出来るだけ多くの人に売りたいと思います。北海道だろうと、沖縄だろうと、売りたい。信頼関係の薄い人にも売りたい。会ったこともないけれども、電話で話したことしかないけれども、展示会で一回しか会ったことはないけれども、売りたいという気持ちがありますよね。遠い人、信頼関係の薄い人にも売りたいという状況です。その中で忘れてならないのが、情報通信の時代であるということです。メールや、ネットで知り合う機会も増えてきています。果たしてこの様な時代に、日本が昔から大事にしてきた掛け売りという商習慣が現在の中小企業のニーズを満たしているのだろうかと考えました。どうやら新しい仕組みが必要なのではないかと思いました。

■3万店舗に与える与信枠は、2カ月で80億円を設定

 手段というのは目的より先に発展しない。30年前は、クレジットカードはありましたが、なかなか普及しませんでした。ところが、バブル期を迎え、海外に行く人が増え、『海外ではクレジットカードが無いと不便ですよ』というこの一言で、クレジットカードの普及が加速しました。つまり、使い道さえ分かれば、手段について備えるということです。
 果たして、中小企業同士があらかじめ決済手段だけ確保しておきましょうよと言うでしょうか?それはないと思います。欲しい物がある、売りたい物がある。では決済はどうしようか?となると思います。このラクーンという会社には、1000社のメーカーと3万店舗の小売店の決済を保証してきたという過去7年間の実績があります。3万店舗の与信枠を設定して自社で行っています。新しい店舗の申し込みがあると、一斉に審査クルーが動き出し、瞬時にその与信枠を決定する機能を持っています。3万店舗に与える与信枠は、実は結構大きいです。既に2カ月で80億円の与信枠を設定しているのですが、現在は月に5億円〜6億円しか与信枠を使っていません。70億円以上の与信枠を残しているのです。もっと、よそでも使ったらどうですか。我々と取引のないところでも使ってもよろしいですよ、と外部に開放したところ、既に、1ヶ月間で141社と契約することになりました。スーパーデリバリーというのはある意味、品数が揃っているとか、Eコマースが得意だとか、小さな小売店に卸す習慣があるだとか、そういうメーカーしか参加できませんので、参加しようのないメーカーがいっぱいあるのです。そのような会社と契約して、この様な機能をどんどん使ってもらおうと計画しています。

■Paidに加入すると、小さな小売店であっても支払い能力に対する保証が得られる

 さて、この計画が実現できるとどのようなことになるかといいますと、例えば色んな展示会がありますよね、そういう展示会に出展することを恐れているメーカーさんもあります。何故かというと、契約したはいいが、払ってくれるかどうか分からないからです。疑心暗鬼のため、ビジネスチャンスを逃している例は多いといえます。もし、展示会に出店しているメーカーのブースを訪問した小売店の名刺にPaidのマークが入っていると、どんなに小さな小売店であっても支払い能力に対する保証が得られていることから、取引がスムーズに行われることになります。
 私は、18年前に100万円から会社を創った人間です。100万円、200万円と積み上げて、現在では年間80億円の売上を達成しています。最初の3年間はどれほどみじめな思いをしたことか。もう誰も何も売ってくれないし、信用してくれないから、現金を持って買入れをしていました。現金でも、最初のうちだけでしょうと言って信用してくれないのです。ところがPaidに加入していることが分かると、取引がスムーズに行われます。これがPaidの持っている可能性、新規性です。購入側が身分を示せるものであり、使えば使うほど、与信枠が増えていくものであり、そのような機能は私の認識では国内に存在しないと思います。どんなに経歴の浅い人でも、Paidに加入し、きちんと支払いを行っていくと、どんどん与信枠が増えます。ここで積み重ねた信頼が貯金できるわけです。信頼を短期間に積み重ねることが出来ます。私の認識では、中小企業の決済は必ずしも銀行さんがやっていたものではありません。今はやっていますけれどね。私の場合は、担保が無いと貸してくれなかったし、定期預金が無いと貸してくれませんでした。本当に中小企業の金融を行っていたのは、中間流通業だったのではないかと思っています。だからこのビジネスは我々がやるにふさわしいビジネスなのです」とPaidの開発のきっかけ、Paidが持っている新規性、可能性について詳しく語った。

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