2011年08月19日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アーバネットコーポレーション:服部信治社長がマンション業界の現況と今後を語る


■金融機関の不動産融資に対する厳格化は継続中

アーバネットコーポレーションホームページ 投資用ワンルームマンションのアーバネットコーポレーション<3242>(JQS)は、8月12日に兜町平和ビルで、2011年6月期決算説明会を開催した。
 代表取締役社長服部信治氏による、マンション業界の現況と今後、決算業績の概況、2012年6月期業績予想の概況、物件現況の説明が行われた。
 マンション業界の現況は、リーマン・ショックの影響からやっと回復し始めたところに、東日本大震災の影響を受けて一層厳しい環境となっている。リーマン・ショックのときから、金融機関の不動産融資に対する厳格化が始まり、3年経とうとしているが、まだまだ継続している状況。企業別、案件別により厳しい審査が行われ、貸し出しが行われている。
 しかし、「当社は、お蔭様で、2010年6月期黒字化してから、融資が再開されている状況ですが、多くのデベロッパーはまだまだ厳しいという話が聞かれます。また、この東日本大震災を受けて、より慎重な融資姿勢となっているのかと思われます」と同社への金融機関の融資は堅調であることを表明した。
 マンション用地に関しては、東京圏でのマンション用地価格は上昇傾向にあり、しかも流通物件が減少している状況である。
 建築価格については、建材コストは部分的には上昇している。ベニヤ、建材も上昇しているが、建設受注の需給関係で建築費そのものは現状上っていない。
 顧客ニーズの変化は、大震災による土地の液状化が発生したことで、湾岸、河川、埋立地など液状化が発生しやすいとのころ土地については、購入を控える傾向にある。また、以前は人気があった超高層物件の人気が落ちている。
 分譲のファミリーマンションについては、大手不動産会社を中心に3月、4月は、新規の販売が少なかったことで、販売件数は減少した。5月も減少し、価格も抑制傾向にあった。都内では6月より販売数が大幅に増加したものの、勢いは続かず、9月からが本格的に増加するとみこんでいる。

■投資用ワンルームマンションの販売は好調、在庫不足が原因

 同社の事業の核である投資用ワンルームマンションについては、3月は震災もあり、2週間ほど販売を手控えていたことから、販売物件数は減少したが、4月以降は好調な販売が継続している。原因は、在庫不足による。
 「不動産開発業者に対する金融機関の融資が非常に厳しく、ワンルーム用マンションが不足しています。戸別販売する企業も商品が少なく、なかなか買えない状況です。しかし、売行きは好調ですから、販売業者から物件はないかという問合せが多く寄せられている状況です」とこれまでの状況を紹介した。
 引き続き、マンション業界の今後についての説明が行われた。
 震災後は、開発エリアの厳選が始まっている。液状化により、家屋に被害が出たことから、土地液状化エリアを回避する動きが出ている。また、震災により、交通機関が麻痺状態になり、帰宅難民が出たこともあり、職場と住居が近いことが重要視されてきている。
 震災に対応したマンションも出現している。太陽光発電、蓄電器を設置することで、停電になっても困らないマンションである。しかし、1戸当りの電力需要を賄うには、少なくとも太陽光パネルは6枚必要なため、中高層マンションでは、屋上の面積が狭く、対応できないのが現状。対応できるのは4階建て、5階建てのマンションまで。
 新築残戸買取再販事業については、ファンドの入替え物件は若干あるものの、良好な物件の追加投入は激減している。
 「当社では、物件が少ないため、2011年6月期以降は主力に置きません」と新築残戸買取再販事業に関する方針を示した。
 中古マンションについては、「戸数に対して参入する企業数が多くなり、価格が高騰し、利幅が取れない状況にあります。また、販売期間も長期化しています。そのため、新築残戸買取再販事業と同様な方針です」と中古マンションにもこれ以上進出しない方針。
 ファミリーマンションに関しては、秋口より新規分譲マンションの販売が好調に推移するものと予想している。

■金融機関の不動産融資の厳格化も大手デベロッパー、ゼネコン、販売会社間の協力で打開

 投資用ワンルームマンションについては、販売は好調に推移し、商品不足が続いている。ただ、販売方法について、販売の規制強化が、国土交通省で現在検討されている。ワンルームだけに限らず、マンションの販売について、強引なトーク、手法、電話が社会問題になっている。そのため、これを規制しようとする動きが出ている。
 「若干この規制が販売に影響するかもしれませんが、販売会社に聞くと、工夫しながら規制のなかで営業を行なうようにするから、大丈夫であるという声も聞こえてきています」とのこと。
 金融機関の不動産融資の厳格化は、今後も続くと見ている。「融資が出るかでないかという問題もありますが、出ても土地代がやっとという状況です。土地代が出たとしても、設計料、仲介料、工事の着手金、中間料、建物の解体費などがあり、こういうものが土地代以外にも多く掛かってきます。このような費用を手金で払うとするとキャッシュがドンドン減ってきます。そのような事態を回避するために、色々工夫をしています。例えば、大手デベロッパー、ゼネコン、販売会社間で協力し、共同事業で行うことも模索しています。実際、設計料、解体費、工事費も立て替えてもらう現場も何件もスタートしています。また、土地代の融資が出なかった分についてもゼネコンさんに協力してもらって、共同事業を取る形で、実際に実践させてもらっている状況です」と共同事業で事態の打開を進めている。

■2011年6月期業績は大幅減収ながら大幅増益、営業利益率は倍増

 不動産業界の現況、今後についての話の後、2011年6月期業績の概況についての説明が行われた。
 2011年6月期業績は、売上高5,026百万円(前期比52.5%減)、営業利益236百万円(同12.5%増)、経常利益132百万円(同33.6%増)、純利益127百万円(同30.4%増)と大幅減収ながら大幅増益を達成した。
 「貸借対照表にありますように、現預金が僅かながら10億円を切っています。物件をかなり行っていますので、キャッシュも減ってきております。キャッシュの回収までもう少しかかると思っています。借入金・棚卸資産が増加し、資産合計は50億円にもう少しで到達する状況まで来ています。損益計算書については、売上高は、前期は、色々な物件を沢山買っていたのですがリーマン・ショックを乗り切るために引渡計上を目的としたので105億円になりましたが、2011年6月期は51億円と大幅な減収となりました。一方、売上総利益率は大きく向上しました。ワンルーム物件は1棟でしたが、分譲物件は3棟あり、分譲物件が多かったため、分譲の販売費が増加しましたが、利益は確保しましたので、営業利益率は倍増しました。期初の発表数値は達成できませんでしたが、2期連続の黒字目標は達成し、利益も大幅に増加しました。キャッシュ・フローについては、新興デベロッパーであれば、オーソドックスな形である営業・投資キャッシュ・フローはマイナス、その分借入れしている財務キャッシュ・フローがプラスという本来の形態に戻ってきているところであります」と語った。

■2012年6月期業績予想は大幅増収増益を見込む

 引き続き2012年6月期業績の概要の説明が行われた。
 2012年6月期業績予想は、売上高6,100百万円(前期比21.4%増)、営業利益365百万円(同54.1%増)、経常利益270百万円(同2.04倍)、純利益270百万円(同2.12倍)と大幅増収増益を見込んでいる。
 「投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売へ回帰します。共同事業でのワンルームマンションの開発を含めると、ワンルームマンションは5棟あり、ファミリーマンションが1棟でございます。物件数の増加に対して、小売と卸売の利益率の差があります。今期は1棟販売(卸売)の数が多いため、販売のリスクがほとんどありません。卸売の場合、土地を仕入れたときには販売先が決まっていますので、販売費用は発生しませんが、分譲(小売)より利益率が低下します。また、目黒の用地を今期中には売却する予定ですが、既に減損した価格で販売予定ですので、その分も売上総利益率が若干下回ると見ています。また、2012年6月期計上予定の物件である分譲マンションを今年の秋口から販売を開始しますので、経費を今期に前倒しで取り込みます。更に、新規借入額の増加により、営業外費用も増加します。一方、過去の投資物件の償還により、営業外利益が1億円発生します。そのため、今期の業績は増収大幅増益が達成できると見込んでいます」と2012年6月期の業績について語った。

■両国41戸、南馬込49戸、方南町31戸、代々木48戸は全て販売会社と契約済み

 今期の物件の現況については、目黒の土地は期中売却を予定している。前期開発済みで、5戸今期に持ち越している渋谷神泉の物件は、3戸販売済みで、残り2戸。両国(投資用ワンルーム)41戸、南馬込(投資用ワンルーム)49戸、方南町(投資用ワンルーム)31戸、代々木(投資用ワンルーム)48戸は全て販売会社と契約済み。大島(ファミリーマンション)44戸は、この秋より販売開始する。前期の買取再販物件で6戸今期へ持ち越しとなったAXAS高田馬場(投資用ワンルーム)は販売が完了し、上期に計上済み。共同事業による土地転売の入谷プロジェクトは上期計上予定。共同事業開発の高輪(リノベーション)6戸は2戸が販売済みで、残り4戸となっている。
 2012年6月期の物件状況は、北馬込(投資用ワンルーム)61戸は契約済み。大森北(コンパクトマンション)36戸はこの秋より販売開始。千鳥町(投資用ワンルーム)39戸は、12年8月竣工予定。上野毛(投資用ワンルーム)50戸は、12年8月竣工予定。明大前(投資用ワンルーム)43戸は、13年1月竣工予定。この他に、後3本もしくは、2本開発する計画。

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