2010年12月09日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

サンコーテクノの第2四半期連結業績は増収大幅増益


■リーマンショックで赤字転落となった業績をわずか6カ月で立て直す

サンコーテクノのHP あと施工アンカーのサンコーテクノ<3435>(JQS)は、11月26日に今11年3月期第2四半期の決算説明会を兜町平和ビルで行った。
 同社は、国内に3社、海外に2社の連結子会社を持つ。今期よりセグメントをファスニング事業、リニューアル事業、センサー事業の3事業に分類している。
 今第2四半期連結業績は、売上高64億2600万円(前年同期比5.1%増)、営業利益1億7000万円(前年同期△1億8600万円)、経常利益1億6400万円(同△2億400万円)、純利益9500万円(同△1億4300万円)と増収大幅増益。
 今期6月より新社長に就任した洞下英人社長は、リーマンショックで赤字転落となった業績をわずか6カ月で立て直したといえる。

■耐震需要の高まりを受け、接着系アンカーが好調

 セグメント別の売上高は、ファスニング事業50億900万円、リニューアル事業11億8600万円、センサー事業2億9300万円。
 ファスニング事業は、耐震需要の高まりを受け、接着系アンカーが好調に推移した。また、新商品として、建築設備現場の管理向けとして小径アンカー、ファスナー用の引張試験機「テクノテスターKT−6」を7月より販売した。ファスニング事業の通期売上高は、109億1400万円を見込んでいる。進捗率は、45.8%と50.0%には届かないが、下期偏重型を考慮すると、順調といえる。
 リニューアル事業は、高速道路の補強・剥落対策の工事受注が順調。また、外壁補修やFRP(繊維強化プラスチック)シート事業も好調。更に、太陽電池パネルの架台設置向けに売上拡大が期待される「あと基礎アンカー」がスクールニューディール政策を追い風に順調に受注を確保した。「あと基礎アンカー」を使用することで、従来の工事期間を大幅に短縮できることから、今後の売上拡大が期待できる。リニューアル事業の通期売上高は28億1800万円を見込んでいる。進捗率は42.0%。
 センサー事業は、設備、車輌や医療機関向けに電子基板の受注が好調。更に、業務用アルコール測定器、CO測定器の販売がスタートしている。来年4月に業務前後のアルコール測定が義務化されることを受け、需要拡大が見込まれる。通期の売上高見込みは5億7000万円、進捗率は51.4%。

■原価率は2.1ポイント改善、販管比率も3.7ポイント改善

 5.1%の増収に加えて、原価率は2.1ポイント改善したことから売上総利益は19億100万円(同13.1%増)と売上の伸び率を上回っている。更に、販管比率も3.7ポイント改善したことから営業利益以下が大幅増益となり黒字転換。
 財務面を見ると流動負債は、売上が伸びていることから支払手形及び買掛金が増加したこと、短期借入金の増加により57億5900万円(前期末比2億2000万円増)。固定負債は、長期借入金を返済したこともあり、12億8400万円(同8400万円減)。純資産合計は、業績が好調であることから、利益剰余金が増加したこともあり65億600万円(同1500万円増)。自己資本比率は47.0%(前期末47.4%)と0.4%低下しているが、事業が活発化しているため、一時的に支払手形及び買掛金が増加した影響である。
 今通期連結業績予想は、売上高143億円(前期比8.8%増)、営業利益3億300万円(同73.1%増)、経常利益2億3800万円(同35.6%増)、純利益1億円(同4.6%減)を見込む。

■業務用アルコール測定器のモバイルタイプを年度内に販売

 下期には、ソーラー発電用の架台取付に使用が見込める新商品「グランドスクリュー」を発売する。
 コンクリート基礎に代わるソーラー発電用基礎材で、地面にねじ込むだけでソーラー発電の架台の取り付けが出来るため、工期の短縮につながり、しかも産業廃棄物が発生しないことから環境にやさしい商品といえる。
 また、来年の4月より法制化されるアルコール測定の義務化に向けて、業務用アルコール測定器のモバイルタイプを年度内に販売する計画。据置型SG358−SとIT技術を組み合わせ、ユーザーニーズに合わせたラインナップとする。
 また、営業・生産システム、工事管理システムにERP(統合型業務ソフトウェアパッケージ)を導入し、業務プロセスの改善につなげる。

■安全・安心・環境をキーワードに事業領域を拡大し200億円企業を目指す

 第2四半期業績、通期業績予想、下期の取組に続き、新・中期経営ビジョン(2010年から2014年)の進捗状況を報告。
 「安全・安心・環境をキーワードに事業領域を拡大し200億円企業となる」をキーワードとして、財務、顧客、業務プロセス、人材と変革の4つの視点から具体策を出している。
 財務の視点では、成長性・収益性を追求するため、具体的目標として、売上年間5%増、新製品売上5%増、2014年に営業利益率5%確保と3つの目標を掲げている。売上年間5%増、新製品売上5%増の目標は現時点では達成している。営業利益率5%確保は、現時点では2.6%と未達であるが、期初は今上期の営業利益は赤字見込みであったことを考慮すると今通期までには5%確保も期待できる。

■建築分野以外の市場の製品も開発し、事業領域を拡大

 顧客の視点として、ファスニング用途を拡大し、新市場を創出するとしている。
 現在、長崎など九州地区で造船向けにインサルウェルドピンの需要が拡大している。この様な例もあることから、建築分野以外の市場の製品も開発し、事業領域を拡大していく。
 また、あと基礎アンカーのバリエーションを拡大することで、更に売上のアップを図る。例えば、防水層にあわせた製品を開発し、あと基礎アンカーのライナップを充実する等の例が挙げられている。

■新製品勉強会や外部講師を招いてのスキルアップなど社内研修を積極的に実施

 業務プロセスの視点では、原価統制の構築、S.T.G(サンコーテクノグループ)コラボレーション強化の2つを注力課題に挙げている。
 まず原価統制の構築では、具体的に原価5%削減を目標としている。そのための施策として、ステンレス製品のリードタイム短縮、製品の内製化率の拡大、設備投資による加工改善を実施するとしている。
 更に、施策の効果を挙げるためS.T.Gコラボレーション強化が必要である。そのために9月1日よりグループロゴマークを導入している。
 人材と変革の視点からは、次世代を担う人財確保と育成の強化が必要としている。そのために、社内、社外の研修プログラムを構築し、実践している。例えば、新製品勉強会や外部講師を招いてのスキルアップなど社内研修を積極的に実施している。
 また、倫理経営の推進と強化も必要であり、そのために社団法人倫理研究所による倫理17000の更新を行い、活力のある経営を推進するとしている。
 リーマンショックの影響で、前期は厳しい環境であったが、今期は事業環境も好転したことで、業績の大幅な改善となっている。しかも、中・長期を見据えた計画を立案し、具体的な施策を実行していることから、今後の業績拡大が期待できる。

>>サンコーテクノのMedia−IR企業情報