2011年05月23日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

インテージは前11年3月期は増収増益で、売上高、利益共に過去最高を達成


■カスタムリサーチは目標であった10,000百万円超えを達成

インテージ 市場調査の最大手インテージ<4326>(東1)は、5月11日に前11年3月期連結業績を発表した。
 売上高36,538百万円(10年3月期比5.8%増)、営業利益3,465百万円(同6.4%増)、経常利益3,438百万円(同6.7%増)、純利益1,915百万円(同14.1%増)と増収増益で、売上高、利益共に過去最高を達成した。
 セグメント別の概況と売上高を見ると、市場調査・コンサルティングでは、パネル調査のSRI(全国小売店パネル調査)が前期に引き続き増収、Rep Track(医療情報担当者活動評価指標)が新規顧客獲得により伸長。カスタムリサーチでは、インターネット調査、従来型調査ともに回復した。また、中国の子会社を連結とした。その結果、売上高25,309百万円(同7.7%増)となった。その内訳は、パネル調査14,950百万円(同2.9%増)、カスタムリサーチは、これまでの目標であった10,000百万円超えを達成し、10,350百万円(同15.6%増)となった。
 システムソリューションは、前年までの不採算事業からの撤退を受け、新規の受注を目指すが、事業環境が厳しく売上高は5,186百万円(同4.8%減)となった。
 医薬品開発支援については、CRO(医薬品開発業務受託機関)は、上期はデータマネジメント・解析業務が大幅伸長、下期はモニタリング業務が回復し増収となった。SMO(治験施設支援機関)は、3月イーピーミント社に契約上の地位を譲渡した。売上高は6,042百万円(同8.2%増)となった。
 セグメント別営業利益は、市場調査・コンサルティングのパネル調査については、消費者パネルに対しての投資の継続があったが、SRIの売上増加、Rep Trackの収益改善により増益となった。カスタムリサーチについては、のれん償却と海外調査での費用増により収益は悪化。しかし、パネル調査の増益がカバーし、営業利益は2,852百万円(同8.0%増)となった。
 システムソリューションは、売上高は減少したものの、原価の徹底管理により158百万円(同8.3%増)と増益を達成。
 医薬品開発支援については、EDC(治験データの電子化システム)の開発・運用費用の増加、新事業所への移転費用が発生したことで453百万円(同3.3%減)となった。

■第10次中期経営計画の数値目標として連結売上高460億円、営業利益率10%以上を掲げる

 今後の経営指針として、第10次中期経営計画を立て、同社グループの基本方針と重点課題を明確にしている。
 グループの基本方針は、「"Next50"へのテイクオフ−危機を乗り越え、成長軌道への離陸を果たそう!−」をスローガンとしている。実現するためのグループの重要課題は、事業の持続的成長戦略の推進、グローバル化の推進、THE INTAGE WAYの定着と深化、自立したPro人材の育成、危機管理の徹底とグループ団結力の強化の5つを掲げている。
 インテージ単独の基本方針は、「生活者を起点とした新たな知の創造」。また、第10次中期経営計画の位置づけとして、『業界別戦略の徹底で顧客への「棲みこみ」を実現し、業界専門性に基づいた価値協創をなしとげる』、『「購買者情報」から「生活者情報」への拡張を図り、生活者情報プラットフォーム構築へ挑戦する』、としている。「お客様への棲みこみを行いお客様と一体となることで価値が分かる。そこまでやらないとインサイトは閃かない」(代表取締役会長田下憲雄氏)と業界別の戦略について語った。
 第10次中期経営計画の数値目標として、連結売上高460億円、営業利益率10%以上を掲げている。

■12年1月には次期提供システム"i−Canvas"をリリースする予定

 達成するための重点課題として、消費者パネルの進化、生活者情報を起点とした事業領域の拡張、3つのSBU(戦略的事業単位)による成長戦略の推進、業界別戦略展開を支える事業基盤の強化、グローバル展開の着実な推進、Next50の成長に向けたグループ経営基盤の強化と6つの課題を挙げている。
 まず、消費者パネルの進化については、個人消費者パネルのpersonal eyeを3月に終了し、4月より26,700サンプルの全国個人消費者パネルSCI−personalをリリースしている。12年1月には、全国消費世帯パネルのSCIと併せ50,000サンプルに拡大、エンドユーザーの拡張を視野に次期提供システム"i−Canvas"をリリースする予定。
 更に、「購買」という結果データに、「購買の背景」にあるメディア接触やWeb履歴などのデータを組合せ、広告効果測定領域への取組みを拡大する。
 生活者情報を起点とした事業領域の拡張に関しては、インテージが独自に「集めるデータ」に、生活者が生み出す「集まるデータ」を統合し、新たな事業領域を獲得するとしている。
 3つのSBUによる成長戦略の推進については、製販一体の業界別組織を編成し、各業界に応じた成長戦略の立案、推進を行う。業界別計数管理を軸に戦略の進捗管理を行うと共に、従来のセグメント別計数管理も実施する。更に、顧客への「棲みこみ」を徹底し、ソリューション提案力を強化し、顧客とのパートナーシップを構築する。業界専門性の獲得、理解により、情報プラットフォーム構築を推進するとしている。
 グローバル展開の着実な推進に関しては、「中国の成功なくしてグローバルシフトなし」という決意で臨む。そのために、統合新会社の安定運営、日中共同営業の推進、日本で開発したソリューションの導入、CATI(コンピューター・アシステッド・テレフォン・インタビューイング)センターの拡充、Web調査の拡大を実行する方針。
 今12年3月期連結業績予想は、売上高38,262百万円(前期比4.7%増)、営業利益3,163百万円(同8.7%減)、経常利益3,149百万円(同8.4%減)、純利益1,659百万円(同13.4%減)と増収減益を見込む。
 増収でありながら減益予想であるのは、消費者パネルの投資、震災の影響による電源の確保などに費用を見込んでいるため。
 13年3月期は売上高41,810百万円(対前期比9.3%増)、営業利益3,950百万円(同25.1%増)、14年3月期売上高46,140百万円(同10.4%増)、営業利益4,600百万円(同16.4%増)と今期で事業基盤を強化することで来期より増収増益を見込んでいる。

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