2011年06月20日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

ティー・ワイ・オーは今11年7月期第3四半期は減収ながら大幅増益で黒字転換


■14日の出来高は623万3,500株と一挙に膨らむ

 TVCM制作のティー・ワイ・オー<4358>(JQS)は、6月13日に今11年7月期第3四半期連結業績を発表した。
 売上高17,123百万円(前年同期比12.8%減)、営業利益1,166百万円(同2.1倍)、純利益935百万円(同3.7倍)、純利益762百万円(前年同期△277百万円)と減収ながら大幅増益で黒字転換。
 予想を上回る大幅増益であったことから翌14日の株価は、19円高の94円でスタートし、95円まで上がったが、上方修正が発表されなかったことが嫌気され、引け値は1円高の76円という結果に終わった。
 しかし、14日の出来高は623万3,500株と一挙に膨らんだ。5月の出来高が303万9000株であったことから、1日で2か月分以上の出来高ができたことになる。株式市場が低迷していたところに思わぬ好業績企業が現れたことから商いが集中したものと思われる。
 同社の業績は09年4月期、10年4月期と2期連続の赤字であった。しかし、今期は再建計画が奏功し、最終利益は第1四半期79百万円、第2四半期396百万円、第3四半期762百万円とこれまでとは一変している。
 しかし、同社では大震災の影響もあり、上方修正については慎重な姿勢を取っている。

■販管費2,874百万円(前年同期比1,112百万円減)と大幅な削減が実現

 第3四半期の業績を見ると、売上高に関しては、前期2社を連結から切り離したことから減収となっているが、既存事業ベースでは売上は伸張しており、実質的には増収と言える。
 利益面については販管費2,874百万円(前年同期比1,112百万円減)と大幅な削減が実現したことで、営業利益、経常利益共に大幅増益となった。しかも、最終利益については、子会社をグループ統合したことから法人税の適正化が図られ、法人税等が300百万円減少したことで、最終利益の伸び幅が更に膨らんだ。
 事業別の売上高、営業利益については、TV−CM事業12,168百万円、2,374百万円、マーケティング・コミュニケーション事業4,402百万円、71百万円、その他551百万円、△23百万円となっている。

■現金及び預金が4,984百万円(前年同期比2,159百万円増)となる

 TV−CM事業が好調な事から現金及び預金が4,984百万円(前年同期比2,159百万円増)となり、仕掛、商品、製品等も1,929百万円(同630百万円増)となったことから流動資産は10,433百万円(同1,459百万円増)となった。固定資産は、有形・無形固定資産、のれん共に減少したことから4,558百万円(同418百万円減)と減少。
 流動負債は5,226百万円(同524百万円増)、固定負債は7,302百万円(同1,498百万円減)となり、純資産合計は2,463百万円(同2,016百万円増)となったことから、自己資本比率は15.7%と前期末の2.2%から大幅に改善した。
 有利子負債の総額は、前期末89億円、今1四半期末87億円、今第2四半期末80億円、今第3四半期末79億円と今期に入り10億円削減している。
 1株当り純資産も改善している。前期末5.2円、今第1四半期末7.0円、今第2四半期末33.9円、今第3四半期末39.4円となっている。
 事業を再建するために、グループ統合、コスト削減、選択と集中、負債の圧縮、増資と5つの経営施策を実行している。5つの中で、概ねグループ統合、増資は実施されたといえる。

■業績が大幅に改善していることから株価の見直しも間近

 過去3年間の第3四半期における販売管理費と販売管理費率の推移を見ると、09年第3四半期4,743百万円、21.3%、10年第3四半期3,986百万円、20.3%、11年第3四半期2,874百万円、16.8%と着実に削減が進んでいる。
 原価の削減を実現するための方法として、企画、本制作、ポストプロダクションの各ステップにおいて施策を展開しており、人件費、照明機材、撮影機材、スタジオ、消耗品、美術、特殊機材、車両などの費用について内製化と集中発注を推進することにより費用削減を目指している。今後、更に徹底するため、6月より購買管理部を新設した。
 選択と集中については、本業であるTV−CM事業に集中投資していることで、好業績を実現している。
 TV−CM事業の売上高成長率の推移を見ると、09年3.4%増、10年9.0%増、11年16.8%増と同業3社の中で3期連続増収となっているのは同社だけである。
 負債の圧縮については、09年7月期末11,706百万円あった有利子負債は、10年7月期末8,964百万円、11年第3四半期末7,920百万円と減少している。今期末は7,755百万円を見込んでいる。
 経営施策を実行したことで、急速に業績の改善が見られている。
 株価については、上方修正を期待していた向きもあり、16日の終値は前日と変わらず70円で引けているが、業績が大幅に改善していることから株価の見直しも間近と思われる。

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