2011年12月19日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

TYO:今12年7月期第1四半期連結業績を発表


■シンジケートローンの手数料1億98百万円を4年前倒しで一括計上

 ティー・ワイ・オー<4358>(JQS)は13日、今12年7月期第1四半期連結業績を発表した。
 売上高53億66百万円(前年同期比12.9%増)、営業利益2億33百万円(同0.1%減)、経常利益△41百万円(前年同期1億64百万円)、純利益△74百万円(同79百万円)と増収ながら減益で赤字転落となった。
 翌14日の同社の株価は、赤字を嫌気し、急落した。赤字の原因は、シンジケートローンの手数料1億98百万円を4年前倒しで一括計上したことによる。主力のTV−CM制作事業の受注が増えていることから、業績は好調に推移している。そのため、株価の下げは一時的なものといえる。
 売上高については、広告主との関係を強化し、代理店営業も好調であったことから、2ケタ増収となった。
 売上原価は42億86百万円(同7億49百万円増)となった。増加要因は、原価の嵩んだ大型案件の存在及び、今期17名増員したことから、人件費が増加したことによる。一方、販管費は8億47百万円(同1億33百万円減)と、全社的なコスト削減により、販管費率が20.6%から15.8%へ4.8ポイントと大幅に下がっている。
 セグメント別の業績は、TV−CM事業の売上高39億29百万円(同20.4%増)、営業利益6億81百万円(同8.5%減)と増収減益となった。増収要因は、アパレル大手のCM受注が増えたことと代理店営業が好調であったことによる。一方減益となったのは、先述しているように原価の嵩んだ大型案件、価格低減圧力により、原価率がアップしたことによる。
 マーケティング・コミュニケーション事業の売上高は、11億82百万円(同5.3%減)、営業利益△30百万円(前年同期△59百万円)と減収ながら赤字幅は縮小している。売上高については、国内は、期ズレ、失注等により微減であった。海外はスウェーデンの不調により、微減であった。営業利益については、国内は、新規案件の工程管理の不徹底、合併などにより、収支はほぼゼロであった。海外は、スウェーデンの赤字を中国で一部補填したものの約40百万円の赤字となった。

■自己資本比率は1.6ポイント改善し、18.0%と財務体質の強化が進む

 総資産は、123億77百万円(前期末比16億98百万円減)となっている。内訳は、流動資産80億89百万円(同16億23百万円減)、固定資産42億87百万円(同75百万円減)。流動資産の主な減少要因は、有利子負債の返済に伴い、現金及び預金が21億96百万円減少したことによる。
 負債合計は、100億51百万円(同16億2百万円減)。内訳は、流動負債50億94百万円(同20億25百万円減)、固定負債49億57百万円(同4億23百万円増)となっている。流動負債の減少要因は、1年内返済予定長期借入金を7億円(同30億41百万円減)までに大幅削減したことである。一方、固定負債の増加要因は、長期借入金が44億75百万円(同4億23百万円増)となったことによる。
 純資産は23億25百万円(同97百万円減)となった。また、早期の復配実現を目指すために、資本準備金を取り崩し、欠損補填を行った結果、資本剰余金は7億47百万円(同6億6百万円減)となり、利益剰余金は△2億1百万円(同5億32百万円増)となっている。自己資本比率は、1.6ポイント改善し、18.0%と財務体質の強化が進んでいる。
 キャッシュ・フローについては、営業キャッシュ・フロー4億62百万円、投資キャッシュ・フロー△43百万円、財務キャッシュ・フロー△26億9百万円となっている。

■広告業界の回復を取り込み、業績の回復が進む

 同社の業績に最も影響を及ぼす広告宣伝費の過去5年の推移を見ると、総広告費は07年の7兆191億円をピークに、08年6兆6,926億円(前年比4.7%減)、09年5兆9,222億円(同11.5%減)、10年5兆8,427億円(同1.3%減)と減少しているが、10年より減少幅に歯止めがかかってきている。
 業種別の広告費の伸び率を見ると、09年を底に、10年には電気機器、サービス、小売業はプラスに転じている。自動車はほぼ前年並みであるが、不動産、空運はマイナスである。また、インターネット関連企業は広告に積極的で、10年4月〜11年3月までの増加額の大きい企業トップ20社中、2位ディー・エヌ・エー、5位グリー、13位エムティーアイと3社が入っている。
 同社は前11年7月期に上場以来の最高益を更新しているように、既に、広告業界の回復を取り込み、業績の回復が進んでいる。第1四半期は利益面では有利子負債の削減を優先したことから赤字となっているが、売上高は前期を上回っている。

■中国に進出している日系企業の案件受注がいよいよ本格化

 中期経営計画で重要視している海外展開については、米国、欧州は不景気により、停滞しているため、米国のGWアメリカ、スペインのGWスペインを清算している。しかし、中国については、広告需要が拡大していて、黒字化している。サントリーのTV−CMで、第18回中国国際広告祭で銀賞を受賞しているように、中国に進出している日系企業の案件受注がいよいよ本格化する状況となっている。
 財務基盤の強化については、先述しているように、有利子負債の削減で対応している。有利子負債のピークは、10年第2四半期の124億97百万円であったが、1年後の11年2月期には80億77百万円まで削減し、それから9ヵ月後の今12年第1四半期には51億75百万円と順調に削減が進んでいる。

■『TYOスクール』を立ち上げて、キャリア別に研修

 一方、今後の売上拡大に対応するために人材の確保が必要である。そのため、採用を拡充する一方で、離職率の抑制にも努めている。まず、採用に関しては、新卒は12年4月期15名程度、13年4月期25名程度を計画している。採用計画を実現するために、採用Webサイトの刷新を行うなど、新卒採用に注力している。
 中途採用については、優秀な人材を外部から登用する方針。
 一方で、離職率を抑制するために、負荷の分散と教育を行う計画。具体的な負荷の分散方法として、制作部門の一部共有を挙げている。教育に関しては、『TYOスクール』を立ち上げて、キャリア別に研修を行う。また、外部の企業から講師を招き、普段得ることの出来ない新たな刺激を受け、社員としての見識を広げるためのソト塾を開いている。更に、広告全体の仕組みや動きを学び、制作物の役割や発想のあり方を理解するために、広告塾を開催する等、人材教育に注力している。
 リーマン・ショックから立ち直ったと思ったところに東日本大震災の発生と、日本経済の見通しは依然として不透明であるが、企業の業績回復には、積極的な広告宣伝も必要であることから、同社のTV−CM制作事業は益々活発化するものと予想される。今後の業績拡大が見込まれる。

>>ティー・ワイ・オーのMedia−IR企業情報