2010年11月09日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

クレスコの第2四半期連結業績は増収増益


■金融・保険分野は対前年同期比で29.6%増と増収

クレスコのホームページ ソフト開発のクレスコ<4674>(東1)は、5日に今11年3月期第2四半期連結業績を発表した。
 売上高77億2600万円(前年同期比23.6%増)、営業利益1億9700万円(前年同期△7900万円)、経常利益3億4400万円(同1100万円)、純利益1億9100万円(同△1億3300万円)と増収増益となった。
 分野別の状況をみると、ソフト開発事業の公共サービス分野では、前期に引き続き宅配便ビジネスが堅調に推移し、売上高19億4300万円(前年同期比14.1%増)。
 金融・保険分野および流通、その他分野は、金融に特化しているアイオス、インフィニードを今年4月28日に子会社化した影響が大きく、41億6200万円(同29.6%増)と増収となった。
 組込型事業は、その他デジタル家電分野では、デジタルテレビが減少したことから、1億4000万円(同52.1%減)となったものの、カーエレクトロニクス分野は、カーオーディオが昨年12月から伸び、今上期も順調で、9億2700万円(同51.9%増)と増収。通信システム分野もスマートフォン等の通信端末関連が伸張し、5億1500万円(同32.9%増)と好調であった。
 商品・製品販売は、3700万円(同800万円減)。主なものは、セキュリティロッカーなどRFID関連製品1300万円、Bluetooth製品等の販売2400万円。

■第2四半期は増収増益となったものの、通期は当初予想したより厳しい状況

 リーマンショックの影響でIT投資が大幅に抑制されていた前期より環境は回復しているが、IT投資は再び縮小傾向にあり、案件決定までの期間が長期化、更に価格低減要請がより顕著になっている。
 同日東証で開催された決算会見で、同社代表取締役社長熊澤修一氏は、「各社のIT投資予算はかなり絞り込まれていて、投資判断は極めて慎重です。予算は取っているが使わないという状況です。また、お客さまによっては内製化を検討されているところも多く、今後、IT化をどのように進めていくべきか、といったご相談も増えていますので、柔軟な対応が必要となっています」と現状を説明した。
  第2四半期は大幅増収増益となったものの、当初予想よりも受注環境は厳しいとの見込みから、通期業績予想(単体・連結とも)の修正を行った。
 連結売上高は前回予想を7億円下回る163億円(予想比4.1%減)、売上総利益は8700万円下回る25億円(予想比3.4%減)、営業利益は4000万円下回る7億4000万円(同5.1%減)、経常利益は6000万円上回る9億3000万円(同6.9%増)、純利益は前回予想通りの5億円となる見込み。売上高が計画を下回る見込みでありながら、経常利益が6000万円上回る理由は、上半期までに営業外収益を2億円弱確保しているためであり、最終利益が増えないのは、予定外の特別損失によるものである。
 しかし、前期と比較すると、売上高23.9%増、営業利益172.0%増、経常利益96.8%増、純利益298.9%増と大幅増収増益を見込む。
 増収増益が見込める要因として、「クレスコ本体の回復に加え、M&Aや子会社の業績が大きく寄与しています。また、背景には、プロジェクトマネジメント能力の向上に不採算プロジェクトの減少や営業強化、固定費を含めたコスト削減等が挙げられます」(熊澤修一社長)と今通期予想について語った。

■ クレスコ・イー・ソリューションは黒字化、他の子会社も利益面の改善が進む

 ERPコンサルティングを専門に手がけるクレスコ・イー・ソリューションが、大幅な業務改善を行い、黒字に転換した。また、その他のワイヤレステクノロジー、クレスコ・コミュニケーションズ、クレスコ・アイディ・システムズも利益面での改善が進んでいる。また、今期より加わったアイオスは受託開発分野の業績に大きく貢献している。
 「アイオスはスキルとベンダーのソリューションを持っている。実装技術も持っている。従って、今後は共同で大きな案件を取ることが出来ます。業績にも貢献してくれていることから子会社化していいスタートが切れたと思っています」(熊澤修一社長)とアイオスについての感想を語った。
 ここで、子会社各社の第2四半期までの売上高、経常利益を見ると、クレスコ・イー・ソリューション6億7100万円(前年同期比3100万円増)、1800万円(同4500万円増)、ワイヤレステクノロジー3600万円(同2200万円減)、△200万円(同200万円増)、クレスコ・コミュニケーションズ8400万円(同3600万円増)、△600万円(同600万円増)、クレスコ・アイディ・システム1300万円(同1100万円増)、△3000万円(同2000万円増)、アイオス13億3700万円、6500万円、インフィニード6600万円、0円となっている。クレスコ本体が大幅増収増益の原動力となっているように、厳しい経営環境の中ではあるが、グループ一丸となった取組みが確実に業績に反映してきたといえる。

■企業のセキュリティ意識の向上から関連ソリューションの需要が増加

 今後の重点施策として、ソリューション営業の強化、事業組織の大構造改革、コスト構造の見直し、M&Aによるグループ経営基盤の強化と再構築を挙げている。
 以前とは違いソフト開発業界も厳しい環境にさらされているため、生き残りをかけて環境に適応した営業、組織作りへの転換が求められている。
 その様な環境の中で、「開発案件は、従来のように出てこなくなっています。今まで以上にお客様に入り込んでいく必要がある。新たな需要喚起の一環として、中堅中小企業をターゲットとしたITアドバイザリーサービスやアプリケーションオーダーサービスといった新たなサービスを開始しました。これは一例ですが、地道にアドバイザリー活動を継続してきた結果、ある企業様からは、IT投資の予算の組み立てを依頼されています。まさに経営と一体となったサービスです。また、昨今は、企業のセキュリティ意識の向上から関連ソリューションの需要が増加しています。当社オリジナル製品「セキュアダイブ」(個人認証等をコントロールする製品)を応用したセキュリティソリューションは前年に比べ、引き合いも多く、数万台単位のビジネスも見えてきています」(熊澤修一社長)と明るい話も出てきている。「厳しい時代ですが、むしろアイデアで勝負が出来る時代になったと前向きにとらえています」(熊澤修一社長)と積極姿勢で課題の克服を目指している。

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