2010年10月06日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

日本エンタープライズ:東証アローズで5月期第1四半期決算説明会を開催


■会員数2000万人を超す共通プログラム「Ponta(ポンタ)」へ参画

日本エンタープライズホームページ モバイルコンテンツの配信事業、企業向けソリューション事業を展開している日本エンタープライズ<4829>(東2)は、10月1日に東証アローズで、11年5月期第1四半期決算説明会を開催した。
 第1四半期におけるトピックスは、コンテンツサービスでは、スマートフォンアプリ「ケータイ王子」を8月にリリース、前期に立ち上げた「えもじサイト」、「健康サイト」の会員数の伸長、会員数2000万人を超す共通プログラム「Ponta(ポンタ)」への参画などが挙げられる。
 一方のソリューション事業では、モバイルサイト「Ponta de LAWSON」の受託、「店頭アフィリエイト」事業の拡大、ストック型案件の獲得等がある。
 海外事業については、「漫画家新媒体連盟」を活用した電子コミックの配信拡大、チャイナテレコム「天翼空間」へのアプリ配信拡大、中国の電子コミックのプラットフォーム開発など中国での活動が活発化している。
 また、これまで、モバイルコンテンツ事業の中のコンテンツサービス、ソリューションと分けられていたが、今期よりコンテンツサービス事業、ソリューション事業の2事業に分けるとともに、前期までソリューションに含まれていたプラットフォーム事業者等を通じたサービスであるソーシャルアプリ、スマートフォン向けアプリ、事業者サイトへのコンテンツ提供、保有原盤楽曲の配信等の売上高をコンテンツサービス事業に移動している。

■前期の第3四半期を底に売上高、売上総利益共に徐々に回復

 前日の9月30日に発表した第1四半期連結業績は、売上高5億5700万円(前年同期比2.5%減)、営業利益4300万円(同30.1%減)、経常利益4300万円(同35.5%減)、純利益1200万円(同59.0%減)だった。
 前年同期と比較すると減収大幅減益であるが、その後の四半期毎の売上高、売上総利益の推移を見ると、前第2四半期5億6000万円、3億3500万円、前第3四半期4億9600万円、3億400万円、前第4四半期5億1800万円、3億1100万円、今第1四半期5億5700万円、3億2400万円と前期の第3四半期を底に売上高、売上総利益共に徐々に回復していることが分かる。
 売上高5億5700万円の内訳は、コンテンツサービス2億8100万円(同8.6%減)、ソリューション2億7500万円(同4.6%増)。コンテンツの減収要因は、ゲームの売上が低迷したことによる。ソリューションの増益要因は、広告の店頭アフェリエイト事業が好調だったことによる。また、営業利益が大幅減益となった要因は、売上原価が2億3200万円(同4.1%増)となり、原価率が2.7ポイント上昇したため。
 貸借対照表を見ると、流動負債2億3700万円(前期末比1100万円増)、固定負債1300万円(同600万円増)、純資産27億6600万円(同1700万円減)で0.5ポイント減少したものの自己資本比率91.6%と財務体質は健全そのもの。

■新たな収益分野の確保のため、ソーシャルアプリ、スマートフォン向けサービス開始

 今期のコンテンツ事業の戦略については、公式サイトでは選択と集中により継続率の高い会員獲得を進め、積極的にキャリアとのタイアップを実現する。また、新たな収益分野を確保するために、ソーシャルアプリ、スマートフォン向けのサービスをスタート。更に、うたがめのライセンスを展開し、ライセンシングビジネスの拡大を進めるとともに、新キャラクターの開発を行う。
 これらの事業展開の背景には、スマートフォンの販売台数、スマートフォンに搭載されるOS、モバイルSNS市場の今後の予測がある。
 2010年現在のスマートフォンの販売台数は500万台未満であるが、2015年には2000万台を超え、携帯電話全体の54.6%を占めると予想されている。また、その際に搭載されるOSはAndroid47.3%、iPhone36.9%と将来的には、Androidの躍進が予想されている。

■国内初のAndroid向け「ケータイ王子」をリリースし、ソーシャルアプリに参入

 一方、日本のモバイルSNS市場は、09年には広告市場237億円、課金447億円と推測されているが、2012年には広告市場387億円、課金2190億円と広告、課金ともに急成長が予測されている。
 このような現状を踏まえ、8月23日には国内初のAndroid向け乙女ゲームアプリ「ケータイ王子」をリリースし、ソーシャルアプリに参入。mixiに9月28日よりリリースし、モバゲ―には10月リリースする予定。
 今後は、年内に順次投入し、下期に拡大していく方針。ソーシャルアプリ、スマートフォン向けにゲーム、ツ―ル系、健康ジャンルで現在4、5タイトル準備している。まずは、無料でシェアの獲得を図り、その後課金を開始する計画。

■ソリューション事業については、大型クライアントとの関係を強化

 ソリューション事業については、ソーシャルアプリ、スマートフォンといった新しい軸に向けて、需要が増えている企業向け企画を提案し、開発を進める計画。そのために、大型クライアントとの関係を強化し、サイト運用・コンテンツ制作等のランニング業務で事業の安定化を図る。また、デバッグ業務・サウンド業務の営業を強化していく。更に、コンテンツ集客力の強化、広告拡大を図るために携帯ショップとの協業を行うと共に、共通ポイントプログラムをはじめとしたプラットフォームへの参画を挙げている。
 例えば、共通ポイントプログラム「Ponta(ポンタ)」に関しては、モバイル公式サイトとしては初めて同プログラムに参画。8月1日より、同社モバイル公式サイト(10サイト)の月額会員にPontaポイントの付与を開始した。他社モバイルサイトと差別化を図ると共に、ユーザーの利便性を高めている。

■LAWSONよりモバイルサイト「Ponta de LAWSON」の受注・運用を獲得

 また、LAWSONより、買い物で貯まったPontaポイントで遊べるモバイルサイト「Ponta de LAWSON」の受注・運用を獲得し、8月1日オープンした。共通ポイントプログラム「Ponta」の会員数は2000万人を超えており、月間100万人規模で増えていることから、下期での拡大が予想されている。
 前期より開始した携帯ショップとの協業は、順調に拡大している。店頭アフィリエイトの獲得件数は、5月を100とした場合、6月は200、7月、8月は共に300と獲得件数は伸びている。今後は、提携店舗数を増やすと共に商材数も増やす方針。また、新たなビジネスモデルの構築も視野に入れている。

■海外事業については、電子書籍の有料課金に向けて、入り口を固めている状況

 海外事業については、主力の中国の携帯電話加入者が今年の6月に8億人を突破している。そのうちの3G端末は約3000万台とまだ少ない。3G端末のキャリア別の構成比は中国移動42%、中国聯合30%、中国電信28%となっている。
 音楽、ゲームについては、中国では無料。電子書籍については、事業は開始しているが、まだ課金が出来ていない。現在は、有料課金に向けて、入り口を固めている状況。また、漫画家新媒体連盟を通じたコミックコンテンツ流通の活性化を図っている。同社では既に300タイトルを保持している。(既にiPhone向けに電子コミックを9月現在で240タイトル配信している。)
 同社は、コンテンツ配信ライセンスを保有している。しかし、課金はまだわずかな金額。その他、キャリア向け、メーカーサイト向けへの電子コミックの配信を計画している。

■活動の成果が今下期に表れてくるものと予想される

 第1四半期は減収大幅減益であるが、今期はスマートフォン元年であり、同社では今後急成長すると予測されるスマートフォン市場向けのサービスを拡充している。また、店頭アフェリエイト事業が順調に拡大し、売上を伸ばしている。更に、中国での電子書籍の課金に向けての動きを強化中。そのような活動の成果が、今下期に表れてくるものと予想される。
 今5月期通期連結業績予想は、売上高23億円(前期比7.1%増)、営業利益2億円(同32.5%増)、経常利益2億500万円(同18.0%増)、純利益1億円(同28.4%増)と増収増益を見込む。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.10 |特集