2012年03月16日

MORESCO:アナリスト協会で個人投資家向け説明会を開催


■水と油と高分子を駆使して特殊な製品を開発

MORESCOのHP MORESCO<5018>(東1)は12日、東京証券取引所のアナリスト協会で個人投資家向け説明会を開催した。
 代表取締役社長赤田民生氏は、会社概要、沿革、創立以来の売上高推移等の説明を行った後、同社の製品について紹介した。
 「我が社は化学会社ですが、水と油と高分子を駆使して、特殊な製品を開発しています。具体的な例として、燃えない油、人にやさしいオイル、特殊環境で活躍する油、環境にやさしい接着剤が挙げられます。燃えない油は、潤滑油として安全性、無人化などに貢献しています。人にやさしいオイルである流動パラフィンについては、食品添加物、日本薬局方といった厳しい規格に合格する非常に安全な油です。特殊環境で活躍する油には合成潤滑油がありますが、こちらは高温領域やナノ領域で使う油であり、特殊なところでの利用価値が高い油です。環境にやさしい接着剤としてはホットメルト型接着剤があります。こちらは無溶剤系接着剤として事業展開しています」と同社の製品を紹介した。
 業界別売上高比率は、自動車向け35%、鉄鋼3%、衛生材料(紙おむつ等)18%、化粧品3%、ポリスチレン3%、情報機器9%、真空機器5%、その他(食品、家電、機械、繊維・紙、原料輸出など)24%となっている。
 事業別売上比率は、化学品事業92%、関連事業8%。化学品事業の内訳は、特殊潤滑油部門41%(66.8億円)、合成潤滑油部門8%(13.4億円)、素材部門21%(34.3億円)、ホットメルト接着剤部門22%(35.8億円)である。

■特に研究開発に力を入れて、世の中にないもので、顧客のニーズに応える

 同社の強みについては、「我が社は特に研究開発に力を入れており、世の中にないもので、お客様のニーズに応えていこうというモットーの下で事業展開を行っています。我が社の強みは、次の四つがあります。一つ目は、世界市場でオンリーワン製品を展開していることです。これは主として、合成潤滑油事業の自動車部品軸受け用グリースの素材と、ハードディスク表面潤滑剤です。二つ目は、我が社の製品はニッチ市場で非常に高いシェアを持っていることです。例えば真空ポンプオイルではシェア約70%、車の部品のアルミダイカスト用油剤約50%、水グリコール型難燃性作動液約70%、流動パラフィン約40%等があります。三つ目は、合成の技術とブレンドの技術を併せ持っていることです。今世界市場でオンリーワン製品という話をしましたが、こちらの方はお客様のニーズに添って欲しいものを合成によって作っていこうということも行っていますし、もう一方で、ニッチ市場で高シェアという様々な製品については市販の材料をうまく混ぜ合わせる配合設計をすることによって他社にない特徴を出すというように、両面から製品開発を行っています。国内外様々な事業がありますが、このように、ブレンドによる製品、合成による製品でマーケットニーズに応えていく事業は非常に少ないのではないかと思います。四つ目は、新製品開発を支える研究体制です。現在研究開発スタッフは約70名で、全社員の約30%です。売上の6.4%、約9億円を研究開発費に使っています。以上が我が社の4つの強みです」と語った。

■ネオバックは高真空ポンプ油の代名詞

 部門別の製品を見ると、特殊潤滑油部門には、高真空ポンプ油(ネオバック)、難燃性作動液(ハイドールHAW)、ダイカスト用油剤(モルゾール・グラフェース、ネオキャスター)、切削油剤(ネオクール)等がある。
 ネオバックは高真空ポンプ油の代名詞となっている程で、国内シェア70%を占めている。半導体業界、液晶・家電業界、食品業界など、真空を必要とする製造工程で使用されている。
 難燃性作動液は、水とグリコールが主成分の燃えない油圧作動油で国内シェア70%を占めている。鉄鋼業界の圧延設備や自動車業界のダイカストマシン(アルミ部品鋳造設備)で使用されている。
 ダイカスト用油剤は、アルミなどの軽量部品の成形に使われていて、国内シェア50%を占めている。自動車部品、パソコン・携帯電話筐体等の金型の離型剤として用いられる。
 切削油剤は、ポリマーが主成分の環境にやさしい金属加工液であり、抗菌技術により、腐敗しにくく廃棄物削減に貢献している。透明で機械の汚れを防ぎ使用量も少なくて済む。

■高温用潤滑油は、150℃以上の高温領域で使用

 合成潤滑油部門には、高温用潤滑油(モレスコハイルーブ)、ハードディスク表面潤滑剤(モレスコホスファロール)、耐放射線性潤滑油(モレスコハイラッド)などがある。
 高温用潤滑油は、150℃以上の高温領域で使われ、高温下で作動する機械装置のチェーンや軸受けの潤滑油として、優れた耐熱性を発揮している。エンジン周りの耐熱性グリース基油で世界のオンリーワン商品である。その他には、AV・事務機器用のモーターの含浸軸受け等にも使用されている。
 ハードディスク表面潤滑剤は、ハードディスクの高速・高密度化に貢献するナノメートルオーダー(百万分の1ミリメートル)の超薄幕潤滑剤として活用されている。世界で、シェア55%を占めている。
 耐放射線性潤滑は、高速増殖炉や軽水炉の防振器、コバルト線照射施設、電子加速器などの原子力関連機器に使用されている。

■流動パラフィンは、リチウムイオン電池向けの生産が急拡大

 素材部門には、大きく分類すると流動パラフィン(モレスコホワイト)、石油スルホネート(スルホール)の2商品がある。
 流動パラフィンは、透明無色の人にやさしいオイルで、日本薬局方、食品添加物規格、医薬部外品原料規格をクリアしている。化粧品、トイレタリー用基剤、プラスチック滑剤、食品機械用潤滑剤等に使用されている。また、現在はリチウムイオン電池の電池膜の生産用が拡大している。国内の流動パラフィン市場のシェア40%を同社の製品で占めている。
 スルホネートは、優れた機能を備えた産業用の界面活性剤として用いられ、金属加工油、自動車のエンジン油や防錆油の添加剤としても使用されている。国内シェアは約60%である。

■ホットメルト接着剤は、紙おむつなどの衛生品分野で国内シェア第3位

 ホットメルト接着剤部門のホットメルト接着剤(モレスコメルト)は、熱可塑性樹脂を主成分とする無溶剤の環境に優しい接着剤で、紙おむつなどの衛生製品用、捕中剤用、ラベル用、建材用など、広範な分野で使用されている。特に、紙おむつなどの衛生品分野で国内シェア第3位(14%)を占めている。また、無溶剤接着剤として自動車内装用にも展開している。
 ホットメルと接着剤の用途別売上高構成比は、衛生材69%、粘着材12%、その他17%となっている。

■オンリーワン製品の開発、成長市場への事業展開に注力

 同社製品の紹介の後で、12年2月期連結業績予想と、新中期経営計画(2012年〜2014年度)について説明が行われた。
 12年2月期連結業績予想は、売上高186億90百万円(11年2月期比13.7%増)、営業利益12億10百万円(同3.3%減)、経常利益13億円(同8.1%減)、純利益7億20百万円(同17.1%減)と2ケタ増収ながら減益を見込む。
 新中期経営計画については、「方針としては、引き続き我が社はより研究開発型らしくということから、オンリーワン製品の開発と、海外を含めて成長市場への事業展開に力を入れながら、進めて行こうと思います。この2つのことを実行するに当たって、重要なポイントは、生産プロセスの革新により、品質とコスト力を強化することから、今後海外も含めて益々広く展開していきますので、海外の現地企業との競争についてもしっかりと考えていかなければなりません。そういうことから品質とコストの面での競争力を更に強くしていく必要があります。もう一つは、我が社独自で、世界各地で企業展開をしていくわけですから、もう一方では我が社独自での展開ということも限界があるということから、M&A、事業提携という他社とのコラボレーションも今まで以上に強めていき、世界展開の出来る小さくとも世界にきらりと光る会社になっていこうという思いで、中期経営計画を策定いたしました」と語った。

■紙おむつの需要の伸びから、インドネシアに子会社を設立

 新中期経営計画の数値目標は、13年2月期連結売上高217億40百万円、経常利益15億円、14年2月期連結売上高238億60百万円、経常利益19億円、15年2月期連結売上高258億円、経常利益25億円としている。一株あたり純利益は、13年2月期100円、14年2月期130円、15年2月期165円を見込んでいる。
 新中期経営計画を達成するための戦略としては、「ホットメルトの事業については、今回あらたに紙おむつの需要の伸びから、インドネシアに子会社を作り、インドネシア、タイ、ベトナムなど東南アジアの需要への対応を目指します。また、自動車内装用を主とする反応型ホットメルト接着剤の拡販を推進していきます。高温用合成潤滑油に関しては、国内の自動車生産はやや陰りが見えてきている状況でありますが、世界市場では生産台数は伸びているため、高温用合成潤滑油の需要拡大に対応していきます。合わせて新しいハードディスク表面潤滑剤も、現状パソコンの販売不振はありますが、継続的な新機種での認定を目指します。次に、特に海外展開している中国・アセアン、この地域で自動車関連の潤滑油を販売して行きますが、現在まだ我が社はこの地域で充分な販売ができていません。そのようなことから、この3年の間に、ダイカスト用離型剤と切削油を国内と同じように、トップシェアを取れるよう活動していきます。同じような事が流動パラフィンのリチウムイオンバッテリーにもいえ、中国市場で大きな伸びが見られるため、前述のように、今後中国に力を入れてゆきます。海外展開については、中国、インドネシア、タイ、ベトナムを重点的に、車産業を中心に展開していこうと考えています。更に、昨年の震災で得た経験から、海外展開を積極的に行うと同時に、材料のサプライチェーンについても調達のネットワークをしっかり作り上げていく動きを今まで以上に取り組んでいきます。以上のようなことが出来てはじめて安定生産、安定供給、コスト競争力が実現すると思っています」と具体的に語った。
 高シェアのオンリーワン商品を開発できる技術力を持ち、顧客ニーズに沿った新製品を開発していることから、業績拡大が予想される。前期は大震災、タイの洪水といった外部の影響から当初予想を下回ったが、今期は期待できる。