2010年11月24日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

朝日ラバーの第2四半期連結業績は大幅増収増益


■今期は売上高の回復により、3期振りの増収増益

朝日ラバーのHP 工業用ゴム製品ASA COLOR LEDで有名な朝日ラバー<5162>(JQS)は、22日にJQプラザで今11年3月期第2四半期連結決算の説明会を行った。
 8月10日に第2四半期の上方修正を発表したが、11月12日に通期連結業績予想の下方修正を発表しているように、力強い回復はまだ少し先のようである。
 しかし、今第2四半期連結業績は、売上高24億500万円(前年同期比21.6%増)、営業利益9200万円(同2.69倍)、経常利益6400万円(同10.16倍)、純利益4500万円(前年同期微少)と大幅増収増益となっている。
 代表取締役社長横山林吉氏が第2四半期決算の実績、通期の見通し、主要事業尾の取組の順で説明を行った。
 「リーマンショックの影響で、前期は大幅減収減益でしたが、今期は売上高の回復により、3期振りの増収増益となりました」と語った。
 ところが、今11年第2四半期連結業績(7月〜9月)と前10年第2四半期連結業績を比較すると、売上高12億1300万円(前年同期比1.7%増)、営業利益3000万円(同51.7%減)、経常利益1300万円(同72.9%減)、純利益1000万円(同71.2%減)と増収ながら大幅減益。
 このことに関して「前期はリーマンショックによる自動車関連製品の受注低迷の影響で、人件費カット等の経営合理化策を実施していましたが、今期は人件費カットの解除等により売上原価が上昇したためです」(横山林吉社長)と減益の理由を説明した。

■自動車向けの生産が回復したことから工業用ゴム事業の売上が大幅に伸びる

 第2四半期累計のセグメント別の売上高は、工業用ゴム事業20億900万円(前年同期比26.1%増)、医療・衛生用ゴム事業3億9600万円(同3.0%増)と自動車向けの生産が回復したことから工業用ゴム事業の売上が大幅に伸びている。
 中でもスピードメーター、カーオーディオの内装照明に使われるASA COLOR LEDの売上高は9億1600万円(同39.7%増)と大幅に伸びた。
 一方、前期は、卓球用ラバーが好調で売上を伸ばしたスポーツ用ゴム製品は、1億7700万円(同8.4%減)と在庫調整のため減収。
 点滴輸液バッグ用ゴム栓や薬液混注ゴム栓など、ディスポーザブル用の医療用ゴム製品の売上高は、定期的な在庫調整にもかかわらず売上高3億8100万円(同2.4%増)となっている。4半期毎の売上で見ると今第2四半期(7月〜9月)の売上高は2億600万円と09年以降の4半期毎の売上高では過去最高。需要は堅調といえる。

■連結子会社は3社とも大幅増収増益

 連結子会社の決算状況については、ゴム・プラスチック等の研究開発を行うファインラバー研究所の第2四半期業績は、売上高5200万円(同49.7%増)、経常利益700万円(同94.4%増)、純利益400万円(同70.5%増)と大幅増収増益。
 工業用ゴム製品の販売を行う米国のARI International Corpの業績は、売上高1億1700万円(同2.29倍)、経常利益1200万円(前年第2四半期△95万9000円)、純利益800万円(同△100万円)とASA COLOR LEDの受注が伸びたことから大幅増収増益で黒字転換となった。
 工業用ゴム製品の販売、来料加工工場の管理を行う香港の朝日橡膠有限公司の業績は、売上高1億円(前年同期比2.23倍)、経常利益400万円(前年同期△2300万円)、純利益300万円(同△2300万円)と自動車関連の売上が伸びたことから大幅増収増益で黒字転換となった。

■下半期については、通期の下方修正を発表しているように、慎重な見方

 第2四半期までは大幅増収増益と好調であったが、下半期については、通期の下方修正を発表しているように、慎重な見方である。
 まず、各事業の市場環境について、自動車関連については、中国をはじめとするアジア新興国では、伸び率は減少するものの、拡大基調は続くと見ている。一方国内市場については、エコカー補助金の打ち切りなどにより停滞、米国市場も大きな伸び率は期待できない。ASA COLOR LEDは増加傾向にあるが、価格低下要求もある。
 情報通信については、インフラ整備が着実に進み、更に大きな市場に拡大し始めると見ている。端末、モジュールは、更に大容量、高出力の性能が求められる。その様な状況で、ICタグの独自の接着技術によりRFIDで売上を伸ばす方針。
 医療介護は、グローバルに市場が拡大するとしている。また、医療現場の安全性の信頼度は更に求められる。同社では、第2福島工場が稼働したことで、今後売上の拡大が期待できる。
 一般照明については、現在の白熱電球や蛍光灯から、LED化の流れが加速し、市場全体も更に成長すると見ているが、ASA COLOR LEDは一般照明向けではなく、施設用や看板など特殊照明分野で売上を伸ばす計画。
 今通期連結業績予想は、売上高48億5000万円(前期比3.9%増)、営業利益1億7300万円(同38.0%増)、経常利益1億円(同9.0%増)、純利益6100万円(同45.7%増)と増収増益を見込む。
 セグメント別の売上高は、工業用ゴム製品39億6100万円(同1.7%増)、医療・衛生用ゴム事業8億9000万円(同15.2%増)と見ている。

■中国での生産能力は従来に比べて5倍増

 今後の事業展開について引き続き説明が行われた。
 中国での事業については、7月8日に広東省東莞市に東莞朝日精密橡膠有限公司を設立。香港の朝日橡膠有限公司の100%子会社で、主に自動車向けの工業用ゴム製品を生産する。今期は設備投資として8000万円を計画している。この工場の生産が開始すると中国での生産能力は従来に比べて5倍増となる。
 LED関連事業では、ASA COLOR RESIST INKを開発したことで9月より各企業向けにサンプルサイズでの出荷を始めている。
 白色LED用を実装するプリント配線基板にRESIST INKを塗布することで、光取り出し効率を高め、反射率95%以上となる。また、耐熱性に優れるシリコーン製であることから、ハイパワーのLEDへの採用が見込める。
 ASA COLOR LEDについては、一層の低価格化で今後の苦戦が予想されることを見越し、日亜化学工業との連携を強化し、標準品をラインナップすることで、付加価値を落とさずに低価格化に対応する。
 医療事業については、第2福島工場を増築し生産ペースを1.5倍に拡張する。更に、ゴムの表面を加工する独自の表面改質技術でシェア拡大を図る。今期11年3月期予想売上高8億3400万円から2年後の13年3月期には12億円の売上を計画している。

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