2010年11月24日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

京写の今11年3月期第2四半期連結業績は大幅増収増益


■グローバル体制を活かした受注の獲得と、原価や経費等の削減を進める

京写のホームページ 片面プリント基板で世界トップの京写<6837>(JQS)は、17日に兜町平和ビルで第2四半期業績の決算説明会を行った。
 7月30日に今期第2四半期、通期業績予想の大幅上方修正を発表しているように、今期の業績は順調に推移している。
 10月29日に今11年3月期第2四半期連結業績を発表している。売上高83億4500万円(前年同期比34.2%増)、営業利益5億5100万円(同3.8倍)、経常利益5億4200万円(同3.26倍)、純利益3億300万円(同2.78倍)と大幅増収増益。
 同社が属するプリント配線板業界は、自動車関連分野や電子部品分野が順調に回復したが、原材料価格の上昇傾向が続くなど依然厳しい状況といえる。
 このような状況の中で、グローバル体制を活かした受注の獲得と、原価や経費等の削減を進めるとともに、新製品の開発や品質向上にも引き続き注力することにより、一層の経営基盤の強化に努めた。

■新潟工場を子会社化したことで、両面板の売上が伸びる

 大幅な増収であった要因は、中国の売上が順調であったことに加え、新潟工場をグループ化した影響による。
 大幅増益となったのは、増収効果に加え、原価率が80.5%(前年同期82.1%)と1.6ポイント改善したうえに、販管比率も12.87%(同15.56%)と2.69ポイント改善したためである。
 製品別の売上高を比較すると、片面板43億8200万円(同7億6100万円増)、両面板27億100万円(同10億4300万円増)、その他(実装、冶具関係)12億6100万円(同3億2400万円増)と全製品の売上が伸びている。中でも両面板の伸び率が最も大きかったのは、新潟工場を子会社化したことによる。
 地域別売上高は、日本35億7100万円(同9億3000万円増)、中国31億1800万円(同11億4600万円増)、東南アジア13億8400万円(同2000万円増)、北米1億6900万円(同2200万円増)、欧州・その他9900万円(同1000万円増)と全地域で増収となっている。
 今通期連結業績予想は、売上高158億円(前期比15.1%増)、営業利益8億8000万円(同29.2%増)、経常利益8億8000万円(同32.4%増)、純利益5億2000万円(同48.4%増)と2ケタ増収大幅増益を見込む。

■中期経営計画ではLED照明、電気自動車向けの環境対応製品の開発に注力

 中期経営計画について、代表取締役社長児島一登氏は、経営ビジョンを語った後で、今後の方針を語った。
 今後成長する分野は、エコ分野と判断し、消費電力が少ないLED照明、CO2を排出しない電気自動車向けの環境対応製品の開発に注力し、従来の家電・映像分野中心から方向転換する。また、これまでの先進国のユーザー中心から、新興国ボリュームユーザーへ対応し、日系セット顧客中心から、非日系・EMS(他メーカーから受注した電子機器の受託生産を専門に行なう企業)への拡販にも注力し、売上拡大を目指すとしている。

■片面メーカーで唯一、総合的な環境対応の研究・開発と製品の提供が可能

 そのための重点戦略として、環境対応戦略、ボリュームゾーン戦略、グローバル戦略、収益力強化戦略、新規事業戦略と5つの戦略を発表している。
 まず、環境対応戦略では、片面基板、両面基板の技術の優位性を確立し、差別化を図る。ターゲットとなるのは、LED、エコカー市場。LED関連では、照明・映像機器が急速に増加し、省エネ家電の普及が進んでいる。また、低炭素化社会に向けたエコカー(ハイブリッドカー・電気自動車)も増加している。その様な状況下で、LEDは熱に弱いので、放熱基板の需要が高まると見ている。一方、電気自動車では、大電流・大電圧に強い厚銅基板が必要となる。
 「当社は、照明メーカーのほとんどと取引があります。メーカーの要望に応えるため、今放熱設計に取り組んでいます。また、最近の機器はどうしても、部品が小さく基板も微細加工となりますので、基板から出る粉がじゃまになります、そのため粉の出ない基板を作ってくれという要望があり、これに応え粉レス基板を開発し、量産化をしました。大電流・大電圧に強い厚銅基板は、既に技術的には開発していますので、後はどのように量産化に取り組むかだけです」(児島一登社長)と現況を説明した。
 同社は、片面メーカーとして唯一、総合的な環境対応(放熱・粉レス)の研究・開発と製品提供を行っていることから、今後環境市場で売上を拡大するものと予想される。15年3月期までに環境対応製品で連結売上高の15%である35億円を目指している。

■市場のボリュームゾーンが先進国から新興国へ移行

 ボリュームゾーン戦略としては、片面基板の圧倒的トップシェアの獲得を目指すことを掲げている。市場のボリュームゾーンが先進国から新興国へ移行し、製品の低価格化、生産量の大幅な拡大が予想される。市場規模もリーマンショック以前の9億人市場から今後は、新興国の勃興により40億人市場に拡大していくと予想されている。その様な状況で、同社としては片面基板の世界トップシェアという強みを背景に、新生産技術の開発に取り組むと共に、原材料を見直し、材料メーカーとの提携を推進する一方で、グローバルトップメーカーとの取引関係を構築していくとしている。
 「これまでは日系メーカーが中心でしたが、韓国系、EMSメーカーとの取引も開始しています。また、中国工場からはインドのセットメーカーとの取引も始まっています。」(児島一登社長)と顧客開拓が順調に進んでいることを紹介した。15年3月期までに片面売上高を50億円増やし、125億円を目標としている。

■市場は、海外へのシフトが加速

 グローバル戦略では、両面基盤事業の中で、環境対応の成長分野で技術優位性を確立し、差別化を図る。実装関連事業では、実装関連技術の研究開発を推進し、海外展開のスピードアップを図る計画。市場は、海外へのシフトが加速している。セットメーカーは、中国・アジアに開発拠点の移管を進めている。そのため、海外での試作の需要が増加している。また、セットメーカーからEMSメーカーへの移管が進んでいる。
 「これまでグローバル展開は片面だけでしたが、これから実装、両面をやっていきます。両面については、一貫体制を構築し、海外展開を進めます。実装、冶具関連では業界bPのプロセス・ラボ・ミクロンと提携し、国内では合弁会社を立上げており、また同社の中国蘇州にある現地法人に出資し、海外展開を行っています。将来は、実装治具事業を広州の中国工場でも生産する計画です。」(児島一登社長)と語った。15年3月期までに両面の売上を55億円増やし、95億円、実装関連売上は21億円増やし、30億円を目指すとしている。

■新工法の開発、金型の内製化を進める

 収益力強化戦略は、現在の状況は、技術革新による販売価格の下落スピードが速く、従来の体制のままでは、利益の確保が困難。エレクトロニクス業界は年々価格下落のスピードが加速していて、コストダウンは避けられない状況で、製品の製造は開発メーカーよりEMSへの委託が増加し、EMSとの取引が増加する中で、利益の確保が重要となる。
 対策としては、新工法の開発、金型の内製化を進める。また、購買体制については、「従来、各拠点で行っていた購買を一本化し、スケールメリットを出せる様に変えます。」(児島一登社長)と状況の変化に対応し、これまでの慣習にはとらわれない方針を示した。15年3月期までに既存製品の営業利益率を10年3月期より1.5%以上アップし、6.5%以上とすることを目標としている。

■印刷技術を活用した新商品、太陽電池、部品内蔵基板関連等を開発して新事業として確立させる方針

 新規事業としては、基板・実装に次ぐ第3の事業の確立を挙げている。
 具体的には、印刷技術を活用した新商品、太陽電池、部品内蔵基板関連等を開発して新事業として確立させる方針。
 そのためには、産学連携及び研究機関との開発提携を行う一方で、部門の充実、人材の確保が重要となる。15年3月期までに新事業として確立させる。
 中期経営目標として、15年3月期に売上高250億円、営業利益8%、ROE(自己資本利益率)15%以上、ROA(総資産利益率)8%以上としている。
 児島一登社長は、社長就任2年目であるが、業界には詳しいことから、事業運営が的確で、業績は順調に推移している。

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