2008年9月
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

共和電業 自動車の研究・開発に携わる同社の需要は益々高まる


共和電業のホームページ 共和電業<6853>(東1)は、8月5日に今期中間・通期の上方修正を発表しているように、業績は順調である。8月12日に発表された08年12月期6月中間連結業績は売上高78億5900万円(前年同期比6.2%増)、経常利益8億4600万円(同28.0%増)、純利益5億600万円(同29.4%増)と増収大幅増益となっている。
 キャッシュ・フローを見ると営業キャッシュ・フロー15億5700万円、投資キャッシュ・フロー△7億5700万円と設備投資は営業キャッシュ・フローの範囲内で行っている。しかし、本社の建替え・山形共和電業の工場増築と一時的に費用が嵩むため財務キャッシュ・フローは8億1500万円となっている。業績は順調で、中間期のROA(総資産経常利益率)は4.1%と前年同期より0.8ポイント改善し、経営の効率化が進んでいることが窺える。
 同社はひずみゲージを応用した応力計測業界では世界のトップクラスであり、技術力の高さには定評がある。9月5日に開かれた中間決算説明会では、同社が開発した加速度変換器をダミー人形の頭部内に組み込み、自動車のガラスに衝突させる歩行者頭部保護性能試験の模様が動画で紹介された。現在のところ歩行者保護の分野で正確な実験データを測定できるのは、同社の加速度変換器だけである。したがって、より安全な自動車を作るためにしのぎを削っている各国の公的試験機関や自動車メーカーから、多大な需要が見込まれる。
 中間期の好業績の要因は、利益率の高い汎用製品が引き続き堅調に推移したことと重点分野である自動車関連分野、海外分野が好調であったことが挙げられる。また、04年から取組んできた生産革新活動の成果が出始めてきたことにより、原価が低減したことも大きな要因である。
 汎用製品・自動車関連・海外の売上高を見ると、汎用製品は38億4800万円(前年同期比0.7%増)と好調であった昨年とほぼ同額であった。これは利益率の高い汎用製品を拡販するという戦略的な販売活動の成果といえる。
 自動車関連は21億6300万円(同24.7%増)と大幅に伸びた。新製品の小型車載型衝突試験計測システムの売上が好調であったことも大幅増収の一因。
 海外は6億5400万円(同40.7%増)と急増した。急増した要因は大きく二つあり、ひとつは、昨年支店を開設した北米や中国をはじめとするアジアでの伸びが顕著であったこと。もうひとつは、エンジン周りなど高温環境下でも使用可能な「高温用ひずみゲージ(カプセルゲージ)」の売上が好調であったことが挙げられる。
 今通期連結業績予想は、売上高149億円(前期比2.3%増)、経常利益13億5000万円(同9.0%増)、純利益7億5000万円(同17.7%増)と増収増益を見込む。
 10日の株価は345円で、純資産倍率1.02倍と割安。今後自動車業界は、より安全な自動車の開発、また、電気自動車をはじめとして環境にやさしい自動車の開発を進めていることから、研究・開発に携わる同社の需要は益々高まるものと思われる。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.09 |特集