2010年09月08日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

共和電業:東京証券取引所のアナリスト協会で今第2四半期決算説明会を開催


■計測と制御を通じて、安全と安心の提供で社会に貢献する技術創造企業


共和電業のホームページ ひずみゲージを使った応力計測の共和電業<6853>(東1)は、9月2日に東京証券取引所のアナリスト協会で今10年12月期第2四半期決算説明会を開催した。
 代表取締役社長高木瑞夫氏は、会社の事業内容、第2四半期決算・通期業績予想、第3次中期経営計画について説明を行った。
 同社は1949年6月に設立された今年61年目を迎えるひずみゲージをコアスキルとした応力計測の総合メーカー。
 計測と制御を通じて、安全と安心の提供で社会に貢献する技術創造企業であることを企業理念として掲げている。
 主要事業分野は自動車試験分野、運輸・交通インフラ分野、環境・エネルギー分野、工業計測分野の4分野。

■現在世界bPの950℃まで対応できるカプセル型高温ひずみゲージを開発

 まず自動車試験分野については、自動車衝突試験の模様が動画で紹介された。各種のセンサを搭載したダミー人形を乗せた自動車をバリアロードセルに衝突させて、各部所に掛かる衝撃を計測する。以前は1回の衝突試験で車体とダミー人形に搭載されるセンサは200〜300点であったが、現在は800〜1000点と年々増加しており、それと共にセンサの小型化が進んでいるそうである。また、歩行者に対する安全保護性能を検証する試験では、人間の頭部を模したダミーの中心部に、同社製の加速度計を埋め込み衝撃の強さを計測しているが、同社の製品は世界的にも評価が高い。
 また、エンジン周囲などの高温環境下での強度測定には、現在世界でbPの950℃まで対応できる同社のカプセル型高温ひずみゲージが使用されている。

■2009年度優良工事表彰、優良技術者表彰を、国土交通省関東地方整備局から受賞

 運輸・交通インフラ分野では、鉄道の運行管理の面で使用されている熱検知システムや、過積載を見つけるためのETC用車両重量検知システムも開発している。
 環境・エネルギー分野では、ダム維持管理システムなどがあるが、2009年度優良工事表彰および優良技術者表彰を、国土交通省関東地方整備局から受賞している。
 工業計測分野では、鉄鋼生産設備向け機器として、荷重変換器、計装用増幅器などを開発している。
 なお同社の市場であるひずみゲージとその応用計測器市場は、電気計測器と計量計測機器にまたがっており、国内市場においては同社のシェアは約40%とトップ。

■今第2四半期連結累計業績は2ケタ増収大幅増益で黒字転換

 今第2四半期連結累計業績は、売上高64億4900万円(前年同期比18.6%増)、営業利益4億9800万円(前年同期△1億500万円)、経常利益4億8500万円(同△1億1600万円)、純利益8200万円(同△7500万円)と2ケタ増収大幅増益で黒字転換となっている。
 売上高は、汎用製品の需要回復と特注システム品の大型物件の寄与により増収となった。
 経常利益は、生産の回復と、徹底した固定費削減努力により原価率が改善し、大幅増益。
 純利益については、投資有価証券の評価損計上により計画値を下回る結果となった。
 全般的には2ケタ増収大幅増益により黒字転換していることから順調といえる。しかし、「リーマンショックの影響がなかった、前の08年12月期の業績に比較すると売上高は8割、営業・経常利益は5割です」(高木瑞夫社長)と増収増益であっても満足している様子ではなかった。
 業種別売上高を前年同期比で見ると、官公庁が73.9%増、自動車・自動車部品が40.7%増となっている。
 品種別売上高では、計測機器が前年同期比で21.5%増、コンサルティングが7.0%増、保守・修理が6.4%増となった。
 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー12億5400万円、投資キャッシュ・フロー△1億2900万円、財務キャッシュ・フロー△7億5100万円となり現金及び現金同等物の期末残高は28億2600万円と前期末比で3億7100万円の増加となっている。
 また、自己資本比率は、48.3%と1.2ポイント改善している。

■3次中期経営計画で変化の激しい市場環境に耐えうる企業体質を早期に確立

 今12月期通期連結業績予想は、売上高130億円(前期比13.8%増)、営業利益9億円(同228.6%増)、経常利益8億5000万円(同258.8%増)、純利益3億円(同101.2%増)と2ケタ増収大幅増益を見込んでいる。
 第2四半期業績、通期連結業績予想の説明に引き続き、第3次中期経営計画についての説明が行なわれた。
 同社は、04年から06年までの第1次中期経営計画「KIC170」で、営業、生産、開発の革新に着手し、その結果、03年の売上高127億円から第1次中期経営計画の最終年度である06年の売上高は144億1300万円と業績の回復を実現した。第2次中期経営計画「KIC60」(07年〜09年)は、初年度に当たる07年の売上高は145億6300万円、2年目の08年は148億2000万円と順調であった。ところが、08年9月15日に発生したリーマンショックの影響で、09年の売上高は114億円と大幅減収となり、第2次中期経営計画は頓挫する結果となった。
 今回の3次中期経営計画は、10年から12年までの3年間であるが、その間の目的は、「変化の激しい市場環境に耐えうる企業体質を早期に確立する」こととしている。
 具体的な数値目標は、最終年度に当たる12年に売上高150億円、海外売上高20億円、経常利益14億8000万円、総資産経常利益率8.2%、自己資本比率52.9%達成を掲げている。また、経常利益ベースで、過去最高益であった08年12月期の12億5500万円の更新を目指す。

■上海市に100%の子会社「共和電業(上海)貿易有限公司」を設立

 第3次中期経営計画を達成するための企業ビジョンは、「Only Oneの技術力を確立し、世界をリードする応力計測の総合メーカーを目指す」である。
 基本戦略として、成長するために市場のグローバル化の中で、スピーディに顧客の情報とニーズを把握し、高度な技術開発力、高品質な生産力を持って、継続的な成長基盤を確立するとしている。
 成長するための施策として最も注目されるのが、海外進出である。
 8月3日に中国の現地法人の設立を発表している。上海市に100%の子会社「共和電業(上海)貿易有限公司」を設立し、中国市場での事業拡大を図る計画。
 中国市場は同社が得意とする自動車の生産が旺盛である。年間の生産台数は1500万台で米国を抜き世界一の生産台数を誇るまでに成長している。現地の自動車メーカーも1500社ほどある。唯、自動車の性能については、日本、欧米の後塵を拝しているところであり、同社の技術力が今後、大いに活かされることが予想されるため、中国での事業拡大が予想される。
 説明会の最後に、「これまでの6年間は助走期間でした。これからは世界を相手に、これまで蓄えた実力を発揮していきます」(高木瑞夫社長)と今後に向けての自信を示した。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.09 |特集