2011年09月06日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アイ・エム・アイ:8月29日に今11年12月期第2四半期決算説明会を開催


■第2四半期業績は増収2ケタ増益、体温管理機器、高機能患者シュミレータ伸びる

アイ・エム・アイのHP アイ・エム・アイ<7503>(JQS)は、8月29日に今11年12月期第2四半期決算説明会を開催した。
 第2四半期業績は、売上高4,152百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益935百万円(同13.2%増)、経常利益954百万円(同12.4%増)、純利益548百万円(同12.5%増)と増収2ケタ増益であった。
 事業別の売上高は、生体機能補助・代行機器(人工呼吸器、麻酔器など)839百万円(同6.0%減)、生体現象計測・生体情報モニタ(脳機能モニタ、赤外線酸素モニタなど)284百万円(同28.0%増)、その他商品(体温管理機器、高機能患者シュミレータなど)1,013百万円(同25.0%増)、旧子会社取扱商品(設備関連機器)246百万円(同30.0%減)、レンタルサービス(人工呼吸器、赤外線観察カメラシステムなど)1,120百万円(同0%増)、メンテナンスサービス(人工呼吸器、体温管理機器など)647百万円(同2.0%減)であった。
 前年同期の営業利益826百万円に対して109百万円増益となった要因は、商品販売増により73百万円増、円高で仕入原価が低下したことで65百万円増、レンタル原価内部利益控除で47百万円増、販売費・管理費の削減で19百万円増と計204百万円増益となった一方で、メンテナンス原価の内部利益修正により47百万円減、人件費増で35百万円減、旧子会社等商品売上減他で13百万円減と計95百万円減益となったことによる。

■自己資本比率は前年同期比0.8ポイント減だが、82.4%と健全そのもの

 営業キャッシュ・フローは1,076百万円(同207百万円減)、投資キャッシュ・フローは△712百万円(同526百万円減)、財務キャッシュ・フロー△311百万円(同85百万円増)となった。
 営業キャッシュ・フローが207百万円減となった要因は、棚卸資産が380百万円増加したことによる。投資キャッシュ・フローが526百万円減となった主な理由は、定期預金として200百万円を預金し、投資有価証券を412百万円で取得したため。財務キャッシュ・フローが311百万円の支出となった要因は配当金の支払いによる。
 期末の現金及び現金同等物は、5,367百万円(同466百万円増)。
 貸借対照表の主な増減は、流動資産8,381百万円(前期末比405百万円増)、固定資産4,287百万円(同13百万円増)、総資産12,668百万円(同418百万円増)。
 流動負債1,639百万円(同144百万円増)、固定負債590百万円(同29百万円増)、純資産10,438百万円(同244百万円増)。
 自己資本比率は前年同期比で0.8ポイント減となったが、82.4%と健全そのもの。
 今11年12月期業績予想は、売上高8,100百万円(前期比2.4%増)、営業利益1,540百万円(同3.4%増)、経常利益1,565百万円(同1.8%増)、純利益895百万円(同3.4%増)と増収増益を見込む。
 売上高は前回予想と同じであるが、事業別の売上高予想は変化している。商品販売は当初3,840百万円を見込んでいたが、好調なので3,940百万円と1億円増を見込んでいる。旧子会社等取扱商品は前回予想と同じく510百万円。レンタルは当初2,380百万円を見込んでいたが、予想を80百万円下回る2,300百万円を想定。メンテナンスは当初予想を20百万円下回る1,350百万円を見込んでいる。

■代表取締役社長積賀一正氏 大震災の行動を例に、基本戦略を語る

 代表取締役社長積賀一正氏による第2四半期業績の概況、今通期業績予想の説明の後、基本戦略が紹介された。
 「この1月から6月の一番大きな出来事は何といったって東日本大震災の災害だったと思うんですが、その中でも特に我々が扱う医療機器に関しましては、停電によって在宅患者の生命の危険が非常に増したということです。厚生労働省、警察署では非常に重要な問題として捉え、1週間から10日間はほとんど署に泊まりきりで、サプライチェーン、つまり病院とか患者さん宅に物を安定供給していくことに尽力されたようで、従来の考え方と違ってドンドン規制緩和を行いサプライチェーンの回復に努められたということです。そのような中の一環として、厚生労働省から業界団体に、特に計画停電に関して、在宅の医療機器に対する対応を依頼されました。というのは病院というのは自家発電とかいろいろなものを持っているのですが、在宅医療というのは全く家庭と一緒なので非常に脆弱なんです。それで在宅のところは全面的に業界の協力を仰ぎたい、これが行政府の考え方でありました。人工呼吸器、酸素濃縮装置、在宅透析機器、吸引機器の4つが患者の命に直接関わるもので、停電になると即患者さんの命に影響がある商品です。このうち人工呼吸器、酸素濃縮装置、透析機器などを扱っている会社は大きいし、機械そのものも内部バッテリーとか色々安全装置がなされています。しかし吸引機器を扱っている会社は小さいし、商品も少ないし、内部バッテリーとか考えた商品も非常に少ないといえます。そのため厚生労働省より、医療機関と連携して支障がないように、電話連絡とか、あるいは実際に訪問するとか、患者への終始徹底をよろしくお願いしますという通知が我々の業界に届きました。
 今回の震災で、かなりの方が亡くなっています。一つの例を挙げますと、私どもの在宅人工呼吸器を使っている患者さんがいわきに居られましたが、その人は後で行ってみて分かったのですが、人工呼吸器だけが車の屋根に残されていて、どうも患者さんと家族が津波で流されたようなんですね。何箇所かそういうところがありまして、われわれが支援できる範囲を超えて、多くの人たちが亡くなっているケースもありました。だから厚生労働省も地方の行政府に全面的な患者の支援を頼みました。そして県庁とか市町は、そういうところを我々業界に頼ってくることになりました。厚生労働省が都道府県に要請した在宅患者支援対策ということは、つまり都道府県から我々に期待される支援サービスということであります。

■会社の創業時から危機管理を常にやっている会社、プライオリティを持って対応

 わが社は会社の創業時から危機管理を常にやっている会社です。過去大きな危機管理を5回経験しています。だから今回で6回目の危機管理ということになります。わが社は危機管理のときに行き当たりばったりではなくて、必ず会社内でプライオリティ、優先順位を明確にしています。これは特に骨格を作ったのは、阪神大震災のときに政府の対応が遅かったので、一番早く社員を集めて、こういうプライオリティを持って我が社は対応しますということを発表したことが土台となっています。我が社が危機管理をどのような優先順位で行っていくかというと、1番は社員と家族の安否確認と生活環境の確保、つまりお父さんが安心して外で働くことができる環境を整えることです。今回も埼玉、名古屋、大阪から、生活物資を調達して被災地域で生活している社員のところに送り込んで日常生活に支障が出ないようにしました。
 2番目が在宅人工呼吸器患者の安否確認と安全仕様支援サービスの提供です。在宅の患者さんは病院からの指示がないとどうしてよいか分からない。つまり一番頼りになるのは我々なんです。ですから家族の次には一番弱い在宅の患者さんを支援していこうということであります。
 3番目が会社ですから会社資産の確認と保全です。我々は阪神のときも随分高価な機械を貸し出したのが壊れたり無くなったりとか色々ありましたが、特にこのような事態になりますと我々の資産は失われます。仕方のないことですが、会社としてできるだけ資産の管理をしようということです。またどんなところで会社の資産を失ったのか調べて、今後どのようにすれば防げるのか、必ず報告するようにしています。
 4番目が企業統治能力と5つの支援サービスが提供できる全社的業務執行体制を整えることです。我々の仕事は病院が患者さんに安全で有効な医療行為を行うことを支援する会社です。だから医療機器の販売もしますけれども、安全管理サービス、メンテナンスサービス、教育サービス、レンタルサービスも行います。この5つの業態サービスをお客さんに提供します。これが我が社の本業です。ですから企業統治能力と5つの支援サービスが提供できる全社的な業務執行体制を整備することが大事なのです。

■社会的慈善活動と業務として5つの支援サービス活動を同時並行に開始

 5番目には業務執行体制が整ったところで、社会的慈善活動と業務として5つの支援サービス活動を同時並行に開始することです。つまり業務だけではなく、慈善活動だけでなく、同時並行で2つのことを行います。
 今回我々がどのような社会的慈善活動をしたかというと、吸引器というものはライフラインが切れると非常に弱いということで、いち早くデンマークの世界のトップメーカーに連絡して、とにかく500セット、電気が無くても利用できる足踏み式の機械を緊急輸入して、これを患者さん宅に3ヶ月間無料でレンタルしました。必要であれば継続して使ってもらいました。今までこのような危機管理のときに機械を寄付したり購入していただいたものは、その後はどこかに行ってしまうんです。またあると困ってしまうんです。アメリカであれば州政府、軍隊が備蓄しています。何か起こったら其処から出して地域社会のために使うというのがアメリカの常識なのです。ところが日本にはそのような機能がないのですね。自衛隊にも無いし、都道府県にも無い。予算の一部を補助するだけで備蓄するという考えは無いのです。ですから、このような仕事をやっている我々は、これをきっかけに社会のために500セットは寄付しようと、もし必要でなかったら返していただいて我が社で備蓄し、いつでも使えるようにしておく。何かあったら、うちのお客さんに限らず、どこのお客さんでも使えるようにしておこうと、これをきっかけに吸引器と蘇生バッグの公共的なサービスパークを作って世の中のために役立てるようにしました。この行動に対して厚生労働省は非常に評価してくれました。またピンポイントで在宅患者様に届けるために厚生労働省で把握している全部の在宅患者にたどり着くように支援して欲しいということで、在宅看護協会など末端の組織を持っているところを紹介してもらい、在宅の患者様に吸引器、蘇生バッグを届けています。
3月から9月まで継続して行っています。必要であれば継続していきます。必要でなくなったら返していただき、我が社で備蓄していこうという考えです」と緊急時の危機管理と東日本大震災での同社の具体的な活動を詳しく説明した。
 同社では阪神大震災でもバイク50台を購入し、在宅患者に無償で吸引器を届けるなど、同社であればこそ出来る社会貢献を積極的に行ってきている。その際に経験したことを記録に残し、会社の危機管理対策継承・改善・新ビジネス、サービス開発につなげる努力をしている。また危機管理の結果は人事評価に反映させ、人材の育成に努めている。
 このほか売上が前期比で2.5倍伸びている高機能患者シミユレータ、より確実に気管内挿管ができるビデオ硬性挿管用喉頭鏡、低体温療法分野の新商品アークティックサン5000といった、これから同社の売上の牽引役となる商品についての詳しい説明も行われた。
 緊急時では最も弱い在宅患者の救済に最善を尽くす企業として、社会的に評価されるべき企業といえる。