2009年06月23日
バルクホールディングス:創業者の村松澄夫社長に近況を聞く
バルクホールディングスの村松澄夫社長に聞く
 バルクホールディングス<2467>(名セ)は、持株会社となって2年超。グループ企業3社が「コンサルティング事業」と「マーケティングリサーチ事業」の2つの柱事業において機能し始めた。特に、個人情報保護に対する社会的なニーズの高まりで『プライバシーマーク』を取得する企業が増加。新規取得のための支援と取得後の継続支援が増加。また、企業の事業戦略見直し等についてのコンサルティングも引き合い活発。リコー出身で同社創業者の村松澄夫社長に近況を聞いた。

■ますます高まる個人情報保護の『プライバシーマーク』、取引の際の必須条件に

――まず、グループの概要をお願いします。

 【村松社長】 平成19年(2007年)3月1日に持株会社化しました。グループ企業は3社あります。事業戦略コンサルティングを手がける『アトラスコンサルティング』、情報セキュリティ支援・システムの構築・内部統制構築支援・インターネットリサーチ・商品企画支援などを行う『バルク』、そして、データベース構築を手がける『日本データベース開発』です。

――バルクホールディングスの事業別(セグメント)としてはどのような構成ですか。

 【村松社長】 大きくは2つの事業です。「コンサルティング事業」と「マーケティングリサーチ事業」です。09年3月期では、「コンサルティング事業」が全体の28.0%、「マーケティングリサーチ事業」が72.0%です。

■新規取得支援と取得後の定期研修等支援で強さ発揮、新商品『e-ラーニングシステム』を発売

――コンサルティング事業の状況からお願いします。

 【村松社長】 「コンサルティング事業」を分野別で分けますと、「情報セキュリティコンサルティング分野」、「内部統制コンサルティング分野」、「事業戦略コンサルティング分野」があります。とくに、情報セキュリティ分野では、最近、社会的に注目されている『プライバシーマーク』があります。平成17年(2005年)4月の個人情報保護法の施行を契機に需要が大きく増加し、プライバシーマークの取得企業が約1万社、ISO27001の取得企業が約3000社となりました。当社グループは、企業がプライバシーマークを取得する際の新規取得支援と取得後の継続支援を手がけています。なかでも、新商品の当社独自のe-ラーニングシステムは将来性のあるシステムです。「V STUY」による教育・研修支援、取得後の改善事項に対応した監査支援、定期的な審査・更新の支援を提供しています。年1回、義務化されているプライバシーマークの教育・研修について、事務など現場の業務を軽減するもので携帯、パソコンからの利用を可能としました。

――個人情報の問題は、紙面等で取り上げられない日が珍しいくらいですね。

 【村松社長】 そうです。プライバシーマーク認定を取得することは顧客、企業、取引先など、いずれにとっても非常に大きいメリットがあります。顧客にとっては、安心できるWebサイトの利用、個人情報提供への警戒感の払拭、カード決済などの安心度の向上。取引先には信頼できる企業の選択基準となり、安心して情報を提供できます。企業側にも企業イメージの向上、個人情報保護マインドの向上、個人情報の事故に対する安全管理などのメリットがあります。とくに、最近ではプライバシーマークを取得していることが、取引や入札の条件となっています。OECD(ヨーロッパ)とのビジネスでは条件となりつつあります。

■得意のマーケティング調査でも『企業の事業戦略コンサルティング』が引き合い活発

――「コンサルティング事業」の中の、事業戦略コンサルティングについてはどのような内容か、少しお願いします。

 【村松社長】 「マーケティングリサーチ事業」でアンケート調査により収集された人間の"感性データ"を分析する、当社独自の『感性投入による意志決定手法』を用いたコンサルティングです。100年に一度といわれる不況において、企業収益の悪化から、事業戦略や商品戦略を見直す企業が増えています。特に、昨年のリーマンショック後あたりから、かなり忙しくなっています。

――もうひとつの柱の「マーケティングリサーチ事業」は。

 【村松社長】 マーケティング戦略については、潜在ニーズを発掘する調査や消費者の購買行動把握の調査などを『バルク』のマーケティングリサーチ事業部が担っています。その消費者心理を?み、方向性から最適な戦略立案を、事業戦略コンサルティングを手がけるグループの『アトラスコンサル』と2社で協力して行っています。また、重点施策の1つである「収益構造の改善」として、ホームページを活用したプロモーション活動による新規顧客の獲得、商品パッケージの開発に取り組んでいます。

■図書館関連ビジネスの受注も拡大、来期に黒字転換目指す

――図書館関係のお仕事も増えているそうですが。

 【村松社長】 グループの『日本データベース開発』で手がけています。大学等の図書館の事務関係一式をアウトソーシングで受注します。有名な私立大学からの大型受注が獲得できました。また、『バルク』内に経営革新シテム事業部を立ち上げました。システム構築の際のソフト開発を従来の半分のコストでやれるものです。期待のもてる商品です。

――先行きに期待がもてるお話です。業績での黒字転換も期待できそうですが。

 【村松社長】 09年3月期は減損処理で当期損益において4億5100万円と赤字が膨らみました。今期は保守的にみて9000万円程度の赤字を見込んでいますが、来期には黒字化を目指して頑張ります。