2009年07月13日
海外旅行大手H・I・S経営企画室主任中川憲一氏に「09年夏休み海外旅行」を聞く
■「09年夏休み海外旅行は16%増」と好調

 景気低迷で消費者の「内ごもり」が言われて久しい。しかし、そうしたうっぷんを晴らすかのように、今年夏の海外旅行は大きい伸びが伝えられている。特に、大型5連休の9月は前年を5割も上回る伸び。海外旅行大手のエイチ・アイ・エス<9603>(東1)の経営企画室:主任・中川憲一氏に今年の夏休み海外旅行を聞いた。


■新規予約者数5月落ち込みも、6月から回復

――今年夏の旅行の予約状況はいかがですか。「減少見通し」を出されたところもあったようですが。

 【中川主任】 そうですね、 その会社さんは、7〜8月での数字ということで5%台の減少だったと思います。当社は7月18日から9月30日までの出発日を対象に、『2009年夏・夏休みの海外旅行動向』として発表しています。7月1日現在の集計(予約)では前年に比べ16%増と2ケタの伸びです。

――今年前半は厳しい状況だったと思いますが。

 【中川主任】 昨年からの原油価格上昇で燃油サーチャージ(割り増し料)に加え、世界での新型インフルエンザの発生で、特に今年のゴールデンウィーク以降の新規予約の落ち込みは厳しい状況でした。6月からはインフルエンザ前の水準に回復です。

――7〜9月の3ヶ月の中で、特に、目立っている月はありますか。

 【中川主任】 9月ですね。19日(土)から23日(水)まで5連休ということがあります。「9月出発の予約」については、既に今年1〜4月において前年同期の倍以上、旅行需要が低迷した5月時点でも50%増でした。現時点で前年比55%増です。このように、9月については早い段階から予約が混み合っています。

■ファミリーに人気のビーチ、気楽に行けるアジア、燃油サーチャージ無料のヨーロッパ

―地域では、どのあたりが人気でしょうか。

 【中川主任】 1位はホノルル(08年は3位)、2位ソウル(同1位)、3位グアム(同2位)、4位バリ島(同8位)、5位バンコク(同4位)、以下、台北、上海、パリ、香港、ロンドンの順です。ファミリーに人気のビーチ、気軽に行けるアジア、燃油サーチャージ無料化で値ごろ感の出たヨーロッパなど、まんべんなくランクインしたのが特徴です。

――御社の場合、若い層の方々が多いと思いますが。

 【中川主任】 そうですね、当社は20〜30歳代がメインで、特に30歳代の方が多いですね。韓国は夏休み以外でも年間を通して人気がありますが、特に、最近の円高効果もあります。一時は、1万円を韓国・ウォンに交換した場合8万ウォン程度でしたが、最近では13万ウォンです。現地でのお得感があります。

――「パリ」が8位に入っていますが、昨年の順位はどうでしたか。

 【中川主任】 昨年は14位でした。燃油サーチャージが最大で往復6万6000円かかっていました。今年はサーチャージが無料となった効果が大きいと思います。パリのほか、ベストテンにランクインしたロンドンも人気となっています。当社が『ルーブル美術館貸切見学』、『バッキンガム宮殿特別貸切観光』などの特別企画をご用意したことが評価されていると思います。

――早くも来年の「上海万博」企画を出されましたが。

 【中川主任】 2010年5月13日〜同7月15日の木曜・土曜出発で、往復航空券にEXPO入場券、ホテル、観光・食事がついて4日間で3万9800円の企画です。7月1日に売り出したところで、当社の新宿本店限定扱いです。まだ、上海万博自体がそれほど知られていませんので、これからです。

――ほかに、なにか参考となることがあればお願いします。

 【中川主任】 8月が狙い目ですね。8月は、「混み合って希望の日程で旅行できない」というイメージがあります。今年は比較的希望の日程で旅行がしやすくお得な商品が登場するなど、価格的にも日程的にも8月は狙い目です。

――ありがとうございました。