2013年05月30日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

日本マニュファクチャリングサービス:大幅増収で営業・経常利益共に大幅増益


■主力のEMS事業が好調で、他の事業をカバーし、増収大幅増益となった

 日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)は、前13年3月期決算説明会を実施した。

 前期13年3月期連結業績は、売上高388億69百万円(前年同期比22.1%増)、営業利益3億87百万円(同54.1%増)、経常利益5億64百万円(同112.0%増)、純利益2億35百万円(同82.6%減)と大幅増収で、営業・経常利益共に大幅増益となった。最終利益に関しては、前年TKRとの経営統合で負ののれん益を特別利益として11億円計上した影響によるもの。

 過去4年間の売上高の推移をみると、10年3月期112億24百万円、11年3月期206億75百万円(前年同期比84.2%増)、12年3月期318億32百万円(同54.0%増)、13年3月期388億69百万円(同22.1%増)と急拡大している。

 事業別の売上高、セグメント利益を見ると、IS(インラインソリューション)事業は95億39百万円(同2.0%増)、△78百万円(前年同期△3百万円)と増収ながら、赤字幅拡大。国内の事業は黒字であったが、海外の立ち上げ費用が先行したことから赤字幅が膨らんだ。

 CS(カスタマーサービス)事業は、23億86百万円(同17.8%減)、1億19百万円(同49.4%減)と減収減益。減収となったのは、既存事業の修理台数の減少に加え、新規案件を獲得できなかったことによる。

 GE(グローバルエンジニアリング)事業は、6億12百万円(同2.5%減)、25百万円(同400.0%増)と売上は横ばいであったが、コストを削減したことで増益。

 EMS(エレクトロニクス マニュファクチャリング サービス)事業は、263億33百万円(同39.0%増)、3億20百万円(同2033.3%増)と大幅増収増益。

 全体的には、主力のEMS事業が好調であったことから、他の事業の減収減益をカバーし、増収大幅増益となった。

 負債に関しては、流動負債、固定負債ともに減少し、全体で125億38百万円(同2.6%減)となった。総資産は190億61百万円(同1.9%増)、そのうちの純資産は65億24百万円(同11.7%増)と2ケタ増となったことで、自己資本比率は前年末比1.8ポイントアップの19.7%と財務面での健全化が進んでいる。

■今期14年3月期連結業績予想は2ケタ増収大幅増益を見込む

 今期14年3月期連結業績予想は、売上高450億円(前期比15.8%増)、営業利益8億20百万円(同111.5%増)、経常利益10億円(同77.1%増)、純利益5億円(同112.3%増)と2ケタ増収大幅増益を見込んでいる。

 今期売上高に関しては、前期比61億30百万円の増収を見込んでいる。その内訳は、国内IS事業で16億91百万円の増収、海外IS事業の初年度の売上高として16億80百万円増、CS事業1億76百万円の減収、GE事業2億68百万円の増収、EMS事業26億67百万円の増収を見込んでいる。

 事業別の売上高、セグメント利益は、国内IS事業112億30百万円(同17.7%増)、1億10百万円(前期△78百万円)、CS事業22億10百万円(同7.4%減)、1億95百万円(同63.9%増)、GE事業8億80百万円(同43.8%増)、50百万円(同100.0%増)、EMS事業290億円(同10.1%増)、4億65百万円(同45.3%増)。なお、海外IS事業については売上高16億80百万円、上期は引き続き投資コストが発生するが、下期で黒字化を見込んでいる

 今期より、海外のIS事業がスタートすることで、地域別の売上高比率は、日本49%、中国31%、ASEAN20%となり、売上高比率において初めて海外が国内を上回る見込み。

■日系企業のASEANシフトが進む中、進出支援事業も進める

 前期に引き続き、今期も好業績が予想される。代表取締役社長小野文明氏が現在の事業状況について語った。

 「現在中国は人件費の高騰もありますし、政治的な問題も含んで、以前の状況とは変わってきています。そのため、中国へ進出している日系企業のASEANへのシフトが進んでいます。製造業においては、特にベトナム、タイへシフトする企業が多くなっています。しかし一方で、中国からアセアンに行きづらい面もあります。何故なら中国は一気通貫の生産システムを構築しているからです。中国政府はこれまで、完成品メーカーの技術だけでなく、それに伴う部品メーカー、下請け等に対しても誘致活動を進めてきました。その結果、国内で一挙に生産できる体制が構築されました。これに対して、アセアン各国は、後工程だけが優先されていますので、前工程ですとか、それに伴う部品メーカーの進出は遅れています。今盛んにタイとベトナムで求められているのは、中小のメーカーを呼ぶための優遇措置を充実させてほしいということです。中小の会社を海外に呼ぶには、インフラ、もしくは、人の手配、土地、建物に対するコンサルティングがとても難しい状況です。これをサポートしていきながら、我々は、人材を有効活用していくことで、アセアンへの進出を手助けできます。そのため、技術を持った中小企業にもこれから我々は活動を行っていきます。」とアセアンへ進出する企業への進出支援事業も進める。

■日系企業の要望に応えることができる唯一の企業

 更に、中国に進出している日系企業の生産現場については、「我々は20年前から日系メーカー様の製造現場で製造請負、派遣をしています。その実績・ノウハウをもとに現在、我々は中国の製造現場でもその実績・ノウハウを活用し製造現場を管理しています。日本で行っていることと同じことを実践しています。グローバルな生産体制の構築に対しては、当然"人"が伴うものですから、人、モノ、金、ノウハウといったものが、日本と海外でサプライチェーンとして繋がっている状態でなければなりません。その様な状態を作り上げられるのは当社だけだと思っています。企業名は申し上げられませんが、日本で我々が引き受けた生産現場と連動して海外の生産の手伝いをして欲しいということで契約をいただいているお客様もいらっしゃいます。これからこういった案件が増えてきて、それに伴い中国での在籍数が増えているのが今の状況です。また、当社の製造現場の管理者層が中国に駐在し、中国のお客様の生産現場に入って、生産管理会議、品質保全会議等に参加しています。これができる企業は当社だけです。このようなことを海外に進出している日系企業は切望しています。」と日系企業の要望に応えることができる唯一の企業であることを説明した。

■政府系人材サービス会社を子会社化し、人材調達力は一挙にアップ

 更に、3月に発表しているように、中国の無錫市濱湖区の政府系人材サービス会社である無錫市濱湖人力資源服務有限公司を子会社化したことで、中国での人材調達力は一挙にアップしている。今後の事業展開のうえで大きなアドバンテージを獲得したことになる。

 また、ベトナムについては、国会副議長(前労働大臣)グェン・ティ・キム・グァン氏と会談を行い、技術者派遣スキーム、アセアン諸国での事業展開について協議していることから、今後の事業展開も一層スムーズにゆくものと思われる。

 更に、海外だけでなく、国内の大企業が事業構造改革の一環で切り離す事業を同社が引き継ぐといった案件もでてきているようだ。同社グループとしてのメリットは、事業を引き継ぐことで新しい技術を獲得し、活用して、新規顧客を開拓すると共に、新規技術分野に進出する等事業領域の拡大が可能となる。

 以上のように、同社の派遣・請負事業は、国内、海外を問わず拡大していくことから、事業展望はますます明るいものとなっている。

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