2011年05月30日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

ピーアンドピーの前期は減収ながら大幅増益


■高付加価値、高利益率のSPO案件の売上が拡大

ピーアンドピーHP 販売・営業支援事業のピーアンドピー<2426>(JQS)は、16日に前11年3月期決算説明会を兜町平和ビルで実施した。
 11年3月期連結業績は、売上高214億7800万円(10年3月期比2.1%減)、売上総利益40億5100万円(同1.7%増)、販売管理費35億700万円(同2.8%減)、営業利益5億4400万円(同45.1%増)、経常利益5億4100万円(同43.5%増)、純利益2億6700万円(同3.98倍)と減収ながら大幅増益を達成した。
 減収となった要因は、東日本大震災の影響で、3月開催予定の中国人訪日旅行客対応セミナー開催の中止、訪日サービスの中止、更にイベント、キャンペーン案件の中止・延期、クライアント店舗の休業及び営業時間の短縮等が挙げられる。
 大幅増益となった要因は、高付加価値、高利益率のSPO(セールス・プロセス・アウトソーシング)案件の売上が拡大したことと、不採算事業部門の終了による。更に、リバイバルプランの継続により、販売管理費が減少したことも大きな要因となっている。
 取扱別商材売上高は、SPOサービス116億8000万円(同5.1%増)、ストアサービス19億9100万円(同19.4%減)、人材サービス59億9800万円(同2.6%減)、棚卸サービス18億700万円(同17.3%減)とSPOサービス以外は全て減収であった。
 SPOサービスは、PPR(ピーアンドピーレポーティングシステム)等を活用し、放送通信分野で売上を拡大した。
 ストアサービスは、流通系クライアントの業績が不振であったことから、各種案件が縮小したことで、減収となった。
 人材サービスは、コールセンター業務のニーズは活発であったが、一般事務派遣に対する企業のニーズは低下。
 棚卸サービスは、小売、流通企業の業績不振の影響により外部棚卸委託ニーズが低下していて、一部では内製化の動きも出てきた。

■3月に販売・営業支援系企業の代表として経団連に加盟

 前期の重点トピックスとして、高付加価値SPOサービスの積極展開、グループリバイバルプランの継続、新規サービスの開発、2011年3月日本経団連への加盟、新スローガン、キャラクターの立ち上げが挙げられる。
 SPOサービスに関しては、請負化が進んでいる移動体通信分野において、同社独自のPPRを活用したSPOサービスを積極的に提案し、多くの大型案件を獲得している。
 グループリバイバルプランの継続については、不動産賃料等を始とした各種契約料金の見直し、不採算拠点の閉鎖、グループ内での人員の配置見直しを行った。その結果、販売管理費は前々期の36億700万円から35億700万円と1億円の削減に結びついた。
 新規サービスの開発としては、デジタルサイネージサービス、モバイル販促サービス、中国人訪日旅行客対応セミナー、訪日ツアー紹介サービス、外国人向けの販促支援サービス、商品サンプリング・市場導入支援、現地企業に対する棚卸サービス等同社ならではのサービスを開発している。しかし、中には震災の影響でストップしたものもある。
 10年10月には、新スローガン「ともに変える、ともに変わる。ForYour Vision」とオリジナルキャラクターを立ち上げ、知名度のアップを図ると共に、クライアントとよりよい変化を遂げる経営理念を再認識することをスタッフに促している。
 11年3月には、日本経団連より、販売・営業支援系企業の代表として参加するように要請を受け、経団連への加盟となった。同社が加盟したことで、販売・営業支援業界の社会的活動が一定の評価を受けたといえる。

■今12年3月期連結業績予想は増収増益を見込む

 今12年3月期連結業績予想は、売上高228億円(前期比6.2%増)、売上総利益43億800万円(同6.3%増)、販売管理費37億1800万円(同6.0%増)、営業利益5億9000万円(同8.4%増)、経常利益5億9000万円(同8.9%増)、純利益3億円(同12.0%増)と増収増益を見込む。
 東日本大震災の影響については、自粛ムードによる販促キャンペーンの減少、生産量減少に伴う商品不足によるキャンペーンの縮小、海外インバウンド事業の再開の遅れなどが心配されているが、同社では6月頃には回復すると見ている。
 今期の市場環境について、継続審議となっている「労働者派遣法改正」に関しては、同社にとってメリット、デメリットがあるが、現在、PPRを用いたSPOサービスを提案し、請負案件を多数獲得している。そのため、改正案が可決されても影響は軽減されると見ている。
 モバイル市場については、携帯電話の販売は飽和状態になっているが、国内市場におけるスマートフォン比率は2015年には台数の半分を超える見込である。そのため、同社では、スマートフォンの拡販のために、販売チャネルの強化、スキルの高いスタッフの増員、売場の増強が必要と見込んでいる。モバイル販売に強みを持つ同社にとっては強いフォローの風といえる。
 デジタル・家電市場については、エコポイント需要の反動による売上の落ち込み、積極出展や商品価格ダウンなどの影響も加わり、厳しい環境が懸念されると見ている。そのため、売場全体としての販促提案の強化が必要となる。例えば、地デジ、ブルーレイディスクレコーダーへの切り替えの対応、省エネ家電、家庭用太陽光発電装置の需要増等が見込まれる。販売提案については、同社の得意とするところである。
 ストア市場に関しては、収入の伸び悩みによる低価格・節約志向、穏やかなデフレ状況の継続により厳しい状況が続くと予測される。その様な状況で、昨年に引き続きネットスーパーのエリアが拡大すると見ている。同社は、ネットスーパーについてはワンストップソリューションを提供できる業界唯一の企業であり、コールセンター、ピッキング、配送に必要なスタッフを揃えている。
 人材サービス市場については、企業の雇用状況は厳しく、一般事務をはじめとして事務派遣業界は更に厳しい状況と見ている。しかし、ネットスーパー、通販市場は拡大傾向にあることから、コールセンター案件の需要は増大すると見ている。そのため、コールセンターのスタッフ需要は旺盛と見込まれる。

■6月に台湾ファミリーマートの店頭を活用したテストマーケティングサービスを開始

 そのような市場環境の中で、2012年3月期の重点施策として、攻めの営業への変革、今後の柱となる新事業の開発、売上500億円を目指すための基盤強化と3つの施策を掲げている。
 攻めの営業への変革については、同社が開発したPPRを利用したSPOサービスの拡大で、販売促進にかかかわる全ての分野をワンストップに支援し、サービスを拡大する。
 新事業の開発に関しては、東アジアへ事業展開を計画している企業に対する支援サービス。既に18日に台湾ファミリーマートの店頭を活用したテストマーケティングサービスを開始することを発表している。マーケティングにより、売れ筋商品を把握し、販売の支援を行なうというもの。台湾伊藤忠、台湾ファミリーマート、ファッションガイド3社と共同で展開する。6月頃より開始する予定。
 もう一つは、Web SPOサービスの第一弾として、メーカーと消費者をつなぐサイトを近日中に公開する予定である。
  更に、売上500億円を目指すために、積極的なM&A、事業提携を推進していく。

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