2013年12月4日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

ケンコーマヨネーズ:円安による原材料価格の高騰を跳ね返し、第2四半期は当初予想を上回る増収増益


■分野別業態別対策の立案・実行、同社グループの持つ機能の相乗効果により、好調に推移

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)は、今期第2四半期決算説明会を11月21日に開催した。

 第2四半期決算概況、中期経営計画W(フォース)2012−2014、今期14年3月期通期業績予想の順で説明が行われた。

 同社が属する業務用食品業界の動向は、外食産業においてはやや厳しい事業環境継続しているが、量販店やコンビニエンスストア等の中食市場に関しては堅調に増収傾向にある。

 そのような環境に加え、円安による原材料価格の高騰も懸念材料であった。しかし、同社では、分野別業態別対策の立案・実行、同社グループの持つ機能の相乗効果により、好調に推移した。その結果、当初予想を上回り、売上高289億51百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益16億55百万円(同3.8%増)、経常利益15億61百万円(同2.0%増)、純利益9億10百万円(同17.8%増)と増収増益を確保した。

 今期の取組は、外食産業については、分野別業態別対策の強化に努めると共に、ホームページを営業ツールとして活用し、各業態のニーズや季節に合ったメニュー、料理法を紹介したことで、市場全体としては売上が減少しているが、同社の売上は増加している。

 CVSについては、タマゴ加工品を中心とした新規採用が増加したことで、売上は伸びている。

 量販店への取組としては、ポテトサラダやパスタサラダ等の主力商品などの増加したことに加え、春から夏にかけて小袋ドレッシングの新シリーズの販売を開始した。

 パン業界に向けては、甘系フィリングや世界のソース・サラダ等新規製品や既存のマヨネーズが増加した。また、ベーカリー向けの講習会も実施する等積極的に展開したこともあり、業界全体の売上が低迷する中、同社の売上は拡大している。

 給食業界への取組としては、現場の求める汎用性の高さや簡単オペレーションの実現を意識した提案をした。

 事業別の売上高は、調味料・加工食品事業(サラダ類、総菜類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品)242億9百万円(同4.2%増)、総菜関連事業等(フレッシュ惣菜<日配サラダ、総菜>、グループ内生産受託)41億54百万円(同14.4%増)、その他(サラダカフェ、海外事業)5億87百万円(同12.8%増)と全事業で増収となった。

 セグメント別利益は、調味料・加工食品事業13億60百万円(同7.6%減)、総菜関連事業等3億31百万円(同90.6%増)、その他△1億17百万円(前年同期△17百万円)と穀物の高騰と円安による影響から主原料のオイルや鶏卵価格が上昇し、主力の調味料・加工食品事業は減益となったが、一部製品は価格改定を進めると共に工場の稼働率アップや活動経費の削減等を実施することで吸収し、全体では当初予想を上回る増益となった。

■中国での事業は、来年度中に単月の黒字を見込む

 第2四半期の決算説明に引き続き代表取締役社長炭井孝志氏による「中期経営計画W(フォース)2012−2014」市場演出型成長戦略の展開について詳しい説明が行われた。

 グローバル企業になるについて、「原料調達から販売に至るまで、国内だけにとらわれず各分野とも海外を意識した動きをしています。2005年中国の東莞のサラダ工場、2012年に杭州のマヨネーズ、ドレッシング、ソース類の工場で開始し、中国市場に進出していますことはご案内の通りでございます。ここで新たに2013年4月より原料調達や生産営業体制を見直し、合弁パートナーのグループ企業のみならず、現地のファーストフードやベーカリーに販売を拡大しております。合弁企業そのものが中国で外食産業のお客様でもあります。その他に地場のユーザーさんに商品を注力して販売していきたいと思っています。2013年4月より、ケンコーマヨネーズ流の手法で指揮をとりながら日本流の経営を浸透させたことで、売上は上昇基調であり、来年度中には単月の黒字を見込んでいます。売上金額は17億円を目指しています。

 インドネシア事業につきましては、2013年7月に工場が完成し、竣工式を行いました。ハラル認証も取得し10月には現地生産を開始しております。まずは家庭用の小袋タイプのマヨネーズの生産を行い、合弁相手先のネットワークを活用して販売をしてまいります。並行して、独自で販売してまいります1キログラム入り業務用についても生産を開始し、外食産業を中心に販売をスタートしています。2014年度には売上高5億円を目指す予定です。

 また、マヨネーズ、ドレッシングを中心とした輸出事業も確実に伸びてきています。2013年9月現在、アジア15か国、ヨーロッパ6か国、オセアニア2か国、北米3か国の合計26の国と地域に輸出をしています。タイやシンガポールの食品展示会には、展示ブースを設けて出展し、他の国についても問屋さんのブースに出展する等、認知度向上を図っています。展示会に出展することについて拍車がかかりましたのは3.11以降相手国からの要望事項が厳しくなり、要望事項に確実に答えて提出したところ、相手側の対応も積極的になり、一挙に売上が伸びてきたのが現状であります。」と語った。

■新工場『静岡富士山工場』は来年4月より本格稼働

 「積極的な事業領域の拡大を進めるため、静岡県富士市に新工場『静岡富士山工場』の建設を進めています。建設地は、富士山フロント工業団地、敷地面積11,286坪、投資金額45億円です。新工場のコンセプトは『たまご製品の連続一貫生産体制』、『安全・安心・高品質の実現』、『新技術・新製法の導入と工程改善』、『見学者専用通路の設置』の4つであり、生産品目は厚焼き卵、錦糸卵、スクランブルエッグ、だし巻き卵、オムシート等の卵加工製品です。生産数量は、年間6,000tを目指しています。スケジュールについては、順調に工事も進んで、来年2月までに工場を完成させ、来年4月の本稼働を目指しています。当工場では原料から製品までの一貫したラインでの生産体制を検討しています。西日本工場などでもポテトサラダの一貫ラインの成功例がございますが、泥つきのじゃがいもから製品までの一貫ラインを作ったことで品質、食感、コスト等で他社と差別化をしました。生産工程を一挙に短くすることで、品質が高まり、それがお客様に大変評価されたという事実がございます。そのパターンを静岡富士山工場でも再現したいと思っています。

■小型タイプのロングライフサラダの生産を再開

 また、小型タイプのロングライフサラダの生産を開始しています。小型タイプのロングライフサラダというのは、以前実施しましたが、その当時のニーズは少なかったので細々と継続していましたが、最近になって需要が拡大していますので、再度スタートしました。最初はアッパーグレードの量販店さんをターゲットとした商品づくりを行う予定です。一挙に拡大するのではなく、じっくりと育てていこうと思っています。また、ソースについては、世界のソースという切り口でシリーズ化を進めています。サラダも同様に世界のサラダシリーズという展開を進めてまいりたいと思っています。」と事業領域の拡大の現在の状況について語った。

 このほかに、「サラダ料理」の確立・情報発信を行い市場演出型企業としての戦略を実践、サラダカフェブランドの推進・浸透、人材育成、体制強化についても説明が行われた。

 今期通期連結業績予想は、売上高555億円(前期比1.8%増)、営業利益27億20百万円(同2.1%減)、経常利益25億80百万円(同0.2%増)、純利益14億20百万円(同0.8%増)を見込んでいる。

 アベノミクスにより景気回復が期待されるなかで、急激な円安もあり原材料の急騰と厳しい環境ではあったが、企業努力により、当初予想を上回る第2四半期決算を達成した。急激な為替環境の変化にも対応できる、機敏な動きができる体制を構築しているといえる。更に、業務用マヨネーズからスタートしたビジネスは、惣菜、サラダ、ソース、卵加工製品と多岐にわたる商品を作り出し、国内はもとより海外へ向けた市場拡大を図るなど今後の成長が期待できる。来期より、静岡富士山工場が稼働することも業績への追い風といえる。

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