2012年10月23日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

ピックルスコーポレーション:キムチ、惣菜等が好調で過去最高の売上高を達成


■第2四半期業績は、2桁増収ながら減益、第1四半期の野菜高騰が響く

ピックルスコーポレーション ピックルスコーポレーション<2925>(JQS)は18日、今期13年2月期第2四半期決算説明会を開催した。

 代表取締役社長荻野芳朗氏は、第2四半期決算概要、通期業績予想、外部環境と今後の主な施策について語った。

 第2四半期連結業績は、売上高126億81百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益5億87百万円(同18.7%減)、経常利益6億30百万円(同18.9%減)、純利益3億74百万円(同15.7%減)と2桁増収ながら、第1四半期に原材料である野菜が高騰したことから減益となった。

 売上高については、キムチ、惣菜、仕入商品(漬物)の売上が伸びたことにより、過去最高の売上高となった。

 利益については、原料野菜の仕入価格が第1四半期に高騰したことと、労務費の増加などにより減益となった。原料野菜の価格について前期同月を100とした場合、3月、4月、5月の価格は171、148、102と第1四半期では全ての月で前年同月を上回った。しかし、6月、7月、8月は、65、77、74と大幅に下回っている。白菜についても、3月、4月、5月は120、132、110と前年同月を上回ったが、6月、7月、8月は97、98、97と僅かであるが下回っている。

■量販店・問屋等の売上が最も伸びる

 品目別売上高は、浅漬・キムチ57億91百万円(前年同期比15.1%増)、惣菜21億7百万円(同30.9%増)、ふる漬3億34百万円(同1.0%減)、漬物44億48百万円(同9.4%増)となっている。浅漬・キムチ、惣菜の売上が順調に伸びている。

 販路別売上高は、量販店・問屋等95億28百万円(同18.7%増)、コンビニ19億4百万円(同7.1%増)、12億48百万円(同0.8%増)と全ての販路で拡大しているが、中でも新規のスーパーマーケットとの取引が増えているため、量販店・問屋等の売上が最も伸びている。

■新規の取引が増えたことで、運搬費が増加

 販管費については、運搬費11億96百万円(同15.9%増)、人件費6億56百万円(同5.3%増)、広告宣伝費1億33百万円(同17.9%減)、減価償却費25百万円(同2.5%増)、その他3億55百万円(同3.6%増)となり、全体では23億67百万円(同8.2%増)。新規の取引が増えたことで、運搬費が増加している。

 連結貸借対照表の資産合計は、143億73百万円(同10億92百万円増)となっている。内訳は、流動資産52億97百万円(同9億87百万円増)、固定資産90億75百万円(同1億4百万円増)となっている。流動資産の増加要因は、預金、売掛金の増加による。

 流動負債は53億96百万円(同7億61百万円増)、固定負債は24億18百万円(同54百万円増)となり、一方の純資産は65億58百万円(同2億76百万円増)。その結果、自己資本比率は45.6%となった。

■契約栽培の野菜については、放射性物質の検査を実施

 最近の新しい活動としては、放射能汚染の野菜を使用しないようにするため、契約栽培の野菜については、放射性物質の検査を実施している。また、北海道でO157による集団食中毒が起きたことで、全国2,000ヶ所以上の浅漬製造施設で立入り調査が行われ、全体の90%弱で指導が必要という報道があったが、同社グループでは従来から実施していたため、問題はなかった。更に、厚生省は、浅漬を製造する際の原材料殺菌方法などの新たな指針を作成し、11月から実施するように指導しているが、同社では従来から実施している内容となるため、新たな設備投資等の負担は発生しない。

■7月から川越達也オススメキムチの販売を開始

 今期2月期連結業績予想は、売上高239億円(前期比10.7%増)、営業利益9億80百万円(同0.3%減)、経常利益10億65百万円(同0.2%減)、純利益5億95百万円(同0.6%増)を見込んでいる。

 売上に関しては、7月から川越達也オススメキムチの販売を開始していることから、浅漬・キムチの売上高115億68百万円(同11.5%増)と2ケタ増収を見込んでいる。惣菜も35億円(同34.4%増)と順調に拡大すると見ている。古漬は6億37百万円(同4.3%減)、漬物81億95百万円(同3.2%増)を予想している。

 販管費は、45億6百万円(前期比3.8%増)を見込んでいる。内訳は、運搬費22億84百万円(同12.0%増)、人件費13億17百万円(同1.1%増)、広告宣伝費2億51百万円(同10.3%減)、減価償却費43百万円(同15.7%減)、その他6億8百万円(同8.1%減)。

 設備投資は、10年8億78百万円、11年9億97百万円、12年3億16百万円と、関西工場の建設で、10年、11年は設備投資が膨らんだが、前期は大幅に減少した。今期12年は全国の各工場の増改築を行うことから7億34百万円と前期に比較すると増える見込み。また、13年には広島県に新工場の建設を計画しているため、10億円と増加する見込みであるが、広島工場の建設後は、ほぼ設備投資は一巡することから大きな設備投資の計画は現在のところない。

■年間400億円以上の売上を目指し、市場シェアの10%を取る

 漬物業界の市場規模は、野菜漬物製造出荷額は3,859億円(工業統計2012年1月発表)、一方食品新聞が今年8月に発表した漬物品目別推定出荷額は3,400億円となっている。同社では、約3,700億円と推定している。

 品目別の割合は、浅漬29%、キムチ21%、梅干等13%、沢庵等14%、刻み漬4%、福神漬3%、姿物1%、菜漬3%、酢漬9%、その他3%となっている。ひところ多かった沢庵が減少し、浅漬、キムチが主流となっている。

 漬物業界での売上ランキングトップ3は、1位ピックルスコーポレーション215億円、東海漬物176億円、秋本食品137億円となっている。ピックルスコーポレーションの全体に占めるシェアは6.5%。荻野芳朗社長は「年間400億円以上の売上を目指し、市場シェアの10%を取る」ことを目標に掲げている。

 商品開発戦略としては、今期は7月に「川越達也オススメキムチ」を、9月には「川越達也オススメカクテキ」、「川越達也オススメ辛口キムチ」を発売した。また、10月末には「川越達也オススメ韓国キムチ」の販売を予定している。更に、コラボレーション商品としては、6月から販売したピザーラとのコラボ商品「ご飯がススムイタリアンキムチ」、福山醸造とのコラボ商品「なまらうまいキムチ」がある。9月には、「ワインとチーズとピックルス」の販売を開始した。ミックスピクルス、スタフドオリーブ、ミニトマトピクルスの3種類。ボジョレーヌーボの時期の売上拡大が期待されている。10月からスタートしている新商品では、「ご飯がススムキムチふりかけ」がある。

■惣菜製品の取り扱いを拡大するために、10月に東洋食品のM&Aを実施

 お惣菜では、ナムル、セロリ、ふろふき大根、オクラ、そら豆、サラダの既存商品の継続的な改善を行う一方で、商品ラインナップの強化に努めている。特に、ナムルの売れ行きは順調で、年間6億円となっている。更に売上を拡大するために、スーパーマーケット等の店舗のコーナーで韓国フェアを開催し、ビビンバ丼の材料として提案営業を促進している。

 また、惣菜製品の取り扱いを拡大するために、10月に東洋食品のM&Aを実施した。前期の売上高は2億40百万円であった。一時は売上高6億円まで伸びたが、営業が問屋任せであったことから半減している。そのため、同社では、グループの販路を活用し、売上の拡大を図り、倍増の5億円を目標としている。

 以上の取り組みを行うことで、今期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画の連結売上高、営業利益は、13年2月期239億円、9億80百万円、14年2月期247億円、10億50百万円、15年2月期255億円、11億円を計画している。

 販売エリアについては、中国・四国地区、九州地区に注力し、これまで手薄であったエリアでの販売強化に努める。販路については、スーパーでの売場拡大を図り、これまでほとんど扱ってもらえなかった精肉売場、麺売場等でも販売できるようにする。商品開発については、漬物・惣菜以外にも注力し、新商品の開発に努めるとしている。

 ナショナルブランドの「ご飯がススムキムチ」を突破口として、新規取引先の拡大が進んでいることから、全国展開が順調に進んでいる。同時に、生産設備の増強にも注力しているため、総合的に経営体制の強化が実現している。また、東洋食品をM&Aしたことにより、惣菜の売上伸びることから、今後も、業界のトップとして一層の事業拡大が進むものと期待される。

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