2014年6月13日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

ラクーン:14年4月期連結売上高は初めて100億円を超える


■新規事業のクラウド受発注ツール「COREC」を3月より開始

 ラクーン<3031>(東マ)は11日、14年4月期の決算説明会を開催した。

 同社は、アパレル・雑貨分野のBtoB電子商取引サイト「スーパーデリバリー」の運営を主力として、締め支払い決済「Paid」サービスや「売掛債権保証」など周辺分野にも事業領域を広げ、質の高い会員小売店と出展企業の獲得、利便性の高いサービス提供などで客単価や稼働率の向上に取り組んでいる。

 一方で、新規事業として14年3月からクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始。利用企業の業種や規模を問わず、すべてのBtoBにおける受発注をWeb一元管理できるクラウド受発注ツールである。基本機能は無料で、効率的に受発注を行うための機能(有料プラン)をキャンペーンとして14年8月末まで無料で提供する。利用企業の業種や規模に縛られない「Paid」サービスや「売掛債権保証」に続くサービスとして事業を拡大する方針。

 また、14年3月には連結子会社で売掛債権保証事業を展開するトラスト&グロースが宅建ブレインズと業務提携した。宅建ブレインズの居住用家賃保証サービス「宅建ハトさん保証」の新商品である事業用家賃保証サービスの保証業務を、トラスト&グロースが4月から開始した。従来から展開している企業の販売先に対する売掛債権保証サービスに加えて、売掛債権保証とは異なる企業与信に関するノウハウを蓄積して業容拡大に繋げる。

 更に、5月27日、「スーパーデリバリー」のサイト内に什器や梱包資材のみを扱う「什器・資材市場」を新設した。「スーパーデリバリー」では、ニーズの高い商品の専門コーナーを設置することと、通常の会員プランと異なり、「什器・資材市場」の利用に関しては審査を簡易化し会費を無料とすることで、新たな業種の会員獲得と取引機会の拡大に効果があると見込んでいる。什器・梱包資材業界の大手メーカーである店研創意やササガワ、アニマートなど合計6社が新設されるコーナーで一斉に販売を開始する。

 この様な状況の中で、14年4月期連結業績が発表された。売上高は102億45百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益2億47百万円(同36.6%増)、経常利益2億48百万円(同40.8%増)、純利益1億23百万円(同7.8%減)と増収で、営業・経常利益共に大幅増益であった。

 売上高は前年が7.6%の伸びで、今回4.6%増と少し伸び悩んでいるが、初めて100億円を超えた。利益面については、売掛債権保証事業は人件費が増加したが、それ以外の販管費は抑制したことに加え、利益率の高い売掛債権保証事業の売上が伸びたことにより大幅な増益となった。

 最終利益については、ソフトウェアの減損損失17百万円を特別損失として計上したことと、繰越欠損金がほとんどなくなってきたことで、税負担が通常となり、法人税等調整額84百万円を計上したことで減益となった。

 主力であるEC事業の業績は、売上高98億78百万円(同4.1%増)、セグメント利益1億42百万円(同12.8%増)であった。ラクーン単体の人件費を中心に販売費及び一般管理費が抑制されたことで、売上の伸びに比較して利益の伸びが大きかった。また、3月下旬から開始した新規事業のクラウド受発注ツール「COREC」の4月期末ユーザー数は384社と好調な出足である。

 売掛債権保証事業の業績は、売上高5億01百万円(同18.7%増)、セグメント利益71百万円(同100.6%増)と大幅増益となった。好業績に伴い、保証残高は46億88百万円(同27.1%増)と大幅に増加している。

 スーパーデリバリーは堅調な成長を継続する一方、その周辺事業に進出している。今期15年4月期連結業績予想については、売上高106億円(前期比3.5%増)から109億円(同6.4%増)、営業利益2億75百万円(同11.3%増)から2億85百万円(同15.4%増)、経常利益2億70百万円(同8.9%増)から2億80百万円(同12.9%増)、純利益1億45百万円(同17.9%増)から1億55百万円(同26.0%増)と増収2ケタ増益を見込んでいる。

 新しい経営理念、新規事業等について、代表取締役社長小方 功氏は次のように語った。

 「会社として節目を迎えましたので、"企業活動を効率化し便利にする"という経営理念に変えました。弊社の場合今年創業21年になります。余談ですが、最初の7年間は一人の従業員も雇わず、私一人でやっていました。その間、経営者としての考えが未熟でしたので、良く世間を見て、経営者としての考えを身につけ、ビジネスモデルを見つけるまでは社員を雇わないと決めていました。ところが機も熟しましたので、丁度7年目に30名ほど採用しました。今やっている流通を変えるスーパーデリバリーを中心としたビジネスは、彼らと一緒に作ってきました。立ち上げた時に集まった人たちは、現在でも十数名残っています。彼らは今ではEコマースの専門家に育っています。日本において、Eコマースの歴史は非常に浅いです。アメリカやヨーロッパのどこにも無い唯一無二の新規性のある、Eコマースのビジネスモデルをゼロから作り上げることは非常に難しいことです。創業時からビジネスに携わってきたこの十数名が我々にとって最大の経営資源になります。今回4つ目のビジネスモデルになりますが、CORECを開始しています。我々の事業領域は、中小企業のインフラであるBtoBに特化していること、Eコマースの決済における専門知識を今後も培っていくこと、そこからははみ出さない。そのため、"企業活動を効率化し便利にする"という経営理念に刷新しました。従って、何年かに1回は、新規事業を増やしていくつもりです。」と語った。

 事業は着実に拡大し、スーパーデリバリーに次ぐ、第2の主力事業である売掛債権保証事業も収益に貢献している。さらに、4つ目の新規事業であるクラウド受発注ツール「COREC」もスタートしたことから、今後の事業拡大に拍車がかかることが予想される。

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