2012年05月10日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

さくらインターネット:12年3月期業積は増収減益


■減益となるも、前回公表した予想数値を全て上回る


さくらインターネットホームページ データセンター専業大手のさくらインターネット<3778>(東マ)は25日、12年3月期の決算説明会を開催した。
 同社代表取締役社長田中邦裕氏は、会社概要、決算概要、中期経営計画の総括、今後の展望の順で話を進めた。
 「1996年12月にレンタルサーバサービスを提供する会社として創業しました。現在はデータセンターサービス全般を手掛けています。マザーズ市場には2005年に上場しました。データセンターサービスには、当社データセンター内にお客様のサーバをお預かりするコロケーションと、当社サーバをネットワーク上で利用できるホスティングの2つのサービスがあります。当社では双方とも提供しています」と会社の概要を説明した。
 続いて、12年3月期業積の説明があった。12年3月期業積は、売上高91億64百万円(11年3月期比6.8%増)、営業利益8億73百万円(同28.7%減)、経常利益8億8百万円(同32.3%減)、純利益5億56百万円(同2.8%減)と増収減益であったが、前回公表した予想数値は全て上回る結果となった。

■石狩データセンターの運用コスト等により減益となる

 「引き続き増収傾向にありますが、昨年11月に新設した石狩データセンターの運用コスト等が発生し、12年3月期は減益となりました。しかし、節電対策などが功を奏し、前回公表した営業利益の予想数値から、約1億円の上振れとなりました。第4四半期会計期間の業績でみると、データセンターへの設備投資が増加し、減価償却費が増えたため、売上総利益は前四半期より減少しましたが、石狩データセンターの開設に係る広告宣伝費等のコストがピークアウトしたことなどにより、営業利益は前四半期から増えています。なお、石狩データセンターは昨年11月より稼動しているため、第3四半期の減価償却費は2か月分で、第4四半期は3か月分となります」。

■専用サーバサービスの売上は回復傾向

 次にサービス別売上高の説明があった。
「ハウジングサービスは、兄弟会社である日商エレクトロニクスからの受注もあり、第3四半期に売上が伸びました。専用サーバは、11年3月期の第4四半期をピークに売上減が続いています。今年2月末に石狩データセンターの特色を生かした、コストパフォーマンスと即応性に優れたサービスへと完全リニューアルしました。その結果、3月から回復の兆しが見え始めています。レンタルサーバーやVPSは、引き続き成長しています。その他サービスも伸びていますが、昨年11月より提供を始めた『さくらのクラウド』にアクセス障害が発生し、この3月から料金を課金できない状態となっています。この障害が発生していなければ、12年3月期の売上高はもう1,000万円強の加算があったと見込んでいます。現在、6月までに料金課金ができるよう、復旧作業に取り組んでいます」。

■自己資本比率は1.9ポイントアップして24.6%

 貸借対照表の資産合計は、111億41百万円(同13億31百万円増)となった。内訳は、流動資産31億99百万円(同15億15百万円減)、固定資産79億41百万円(同28億47百万円増)。流動資産の減少は、石狩データセンターの建設工事代金の支払によるもの。固定資産の増加は、石狩データセンターの新設や堂島データセンターの設備強化による有形固定資産の増加のため。
 負債の合計は、84億2百万円(同8億77百万円増)。内訳は、流動負債39億86百万円(同3億2百万円増)、固定負債44億16百万円(同5億75百万円増)。負債の増加要因は、石狩データセンターの取得に伴う借入債務やリース債務の増加による。
 純資産の合計は、27億38百万円(同5億13百万円増)となり、自己資本比率は1.9ポイントアップして24.6%となった。
 
■さくらの専用サーバを2月の下旬に発表

 第4四半期の主なトピックスとして、以下の説明があった。
「新サービスのさくらの専用サーバを2月末よりサービスの提供を開始しました。専用の物理サーバを最短10分で提供するという、これまでにない即応性を備えた新しいタイプのサービスです。クラウドは、納品スピードが速く、専用サーバよりも安価でありますが、性能面、セキュリティ面で懸念されるお客様が多いことから、性能面、セキュリティ面でアドバンテージのある物理サーバを、あたかもクラウドのように利用できるサービスとして開発しました。このサービスは、石狩データセンターを供給拠点としていますので、低価格かつ優れた拡張性や柔軟性といった石狩データセンターのメリットを最大限組み込んだサービスとして提供しています。その結果、減少傾向であった専用サーバの売上高もようやく上向き始め、2月末からスタートしたにもかかわらず、利用中件数は4月9日現在で249件となっています。
 また、さくらのVPSを3月29日付でリニューアルしました。従来の料金で倍以上のサーバスペックを利用できるため、多数の利用申込をいただいており、現在は6,000件弱の利用中件数となっています。その内、約2,500件は旧プランを解約して乗り換えられた方で、残りは新規のお客様です。このリニューアルにより、新規のお客様が大きく増えています。当サービスが売上の柱になることを期待しています
 4月より、リモートハウジングの提供も開始しました。このサービスは石狩データセンターで、ハウジングサービスが利用できるサービスです。石狩データセンターは、3万キロワット(1軒当りの一般家庭消費電力の1万軒分)の非常に巨大な電力施設を持っています。また、広大な拡張スペースもあり、都市型データセンターではサーバを追加したくても設置できない、電力が足らないといった状況を根本的に解決することができます。距離が離れているため、お客様が直接作業に行くことが出来ないといった問題点がありましたが、当社で機器の設置やメンテナンスなどの物理作業を請負させていただくサービスもご用意しました。自由度の高いハウジングサービスを安価で利用できる他、すぐに増設できる拡張性や柔軟性をご評価いただいており、上場企業をはじめ既に数件の成約があります」

■新中期経営計画を発表

 データセンター市場は、引き続き拡大傾向にあるものの、競争環境は厳しさを増しており、データセンター事業者の成長スピードも二極化しつつある。
 モバイルデバイスの利用者やWebアプリケーションの流通量が急増し、市場は拡大傾向にある。また、企業のIT資産に対する意識が変化し、ITアウトソーシングへの需要も増加している。また、東日本大震災の影響もあり、BCP(事業継続計画)、DR(災害復旧)といった需要も増えている。
 一方、顧客のIT投資コストの削減要求に加え、海外事業者の参入もあり、マーケットプライスは低下傾向にある。さらに電気料金の値上げや原油価格上昇といった影響もあり、事業環境は厳しくなっている。
 その様な状況の下、同社の新たなアクションプランでは、石狩データセンターを活用したサービス展開、大口顧客向けサポート体制の確立、新たな競争優位性の獲得の3点を掲げている。
 石狩データセンターを活用したサービス展開については、リモートハウジング、さくらの専用サーバ、さくらのクラウドといったサービスを提供し、コストパフォーマンス、柔軟性、拡張性において、提供サービスの優位性を高めている。
 大口顧客向けのサポート体制については、「これまで大きなデータセンターが無く、大口のお客様が他社の大きなデータセンターに移るケースがありました。しかし、石狩データセンター完成後は大口のお客様のご要望に応えられる体制が出来ました。今後は、各お客様が抱える課題や要望に応えていくことで、大口顧客を増やしていきます。そしてお客様が成長されても、ずっと当社を使っていただけるようなサポート体制を整えていきます」と語っている。
 新たな競争優位性の獲得に関しては、「これまで当社は、都市型データセンターや大容量ネットワークなどを強みとしていましたが、それらはすでに過去のものであると認識しています。石狩データセンターは、都市型データセンターでは真似のできないコストパフォーマンスと拡張性、柔軟性を持っています。そして、サービスラインナップも拡充し、データセンターサービスであればどのサービスでも、さくらインターネットで対応出来る体制となりました。月々100円のサービスから、100万円、1000万円のサービスまで、お客様の事業ステージやIT戦略に応じたサービス提供が出来るようになっています。インフラについて最適化を突き詰めてまいりましたので、今後は優れたコストパフォーマンスは維持しつつ、自由度を高めたサービス提供に努めることを考えています。既存の競争優位性を磨くと同時に、新たな競争優位性を3カ年で獲得していきます」とこれからのアクションプランを説明した。
 これらのアクションプランを進めることで、13年3月期業績予想は、売上高98億円から102億円(6.9%増から11.3%増)、営業利益7億50百万円から9億50百万円(同14.2%減から8.7%増)、経常利益6億80百万円(同15.9%減から1.4%増)、純利益4億円から5億円(同28.1%減から10.2%減)と事業環境の変化が激しいことからレンジを持った数値で発表している。
 今後の業績は、石狩データセンターの設立により、利益面では減価償却費が嵩むことから減益も見込んでいる。しかし、将来的には、同業他社を圧倒する競争力を持ったことにより、同社の優位性は揺るがないといえる。

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