■前期はかろうじて増収を達成
消費者と小売店両方のパネルを持つ市場調査の最大手であるインテージ<4326>(東1)は、東京証券取引所のアナリスト協会で、前10年3月期決算説明会を開催した。11日に発表しているように前10年3月期連結業績は、売上高345億2600万円(09年3月期比0.5%増)、営業利益32億5600万円(同1.9%減)、経常利益32億2300万円(同2.8%減)、純利益16億7900万円(同2.8%減)と増収ながら減益であった。
同社代表取締役社長田下憲雄氏は、前期の決算内容、今後の成長戦略、事業計画の順で説明を始めた。「前期はかろうじて増収を達成しました。リーマンショックの影響から厳しい環境でしたが、昨年10月に中国の聨恒(レンコー)という会社を買収したことで、売上が加わったことによるものです。しかし利益は若干下回りました。計画数値も未達に終わっています。
聨恒の買収には1年以上かかりましたが、海外で成長していくためには必要だと認識していましたので買収を行ないました。
上半期だけを見るとリーマンショックの影響があり、カスタムリサーチの市場は厳しいものがありました。そのため、予算を締めましたが、下期から回復が始まり、下期だけを見ると増収増益でした。今期に入っても下半期の状況が引き続いていますので、今年の上半期は計画通りの数値を達成できると思っています。
業界全体では、前期は95%から100%の間ではないだろうかと思っています。調査会社はリーマンショックの影響を受けました」と前期を振り返った。
■市場調査・コンサルティングの売上高は234億9000万円(同1.7%増)
セグメント別売上高は、市場調査・コンサルティング234億9000万円(同1.7%増)、医薬品開発支援55億8000万円(同4.8%増)と共に増収であったが、システムソリューションは54億4000万円(同7.8%減)と経済環境悪化の影響を受けた。
主力の市場調査・コンサルティングの売上高の内訳は、パネル調査145億3000万円(同2.1%増)、カスタムリサーチ89億5000万円(同1.0%増)と共に伸びている。
セグメント別の営業利益は、市場調査・コンサルティング26億4000万円(同9.7%減)、医薬品開発支援4億6000万円(同22.1%増)、システムソリューション1億4000万円(09年3月期1000万円)であった。
市場調査・コンサルティングが減益となったのは、パネル調査のリニューアル投資を行なったことによる。
医薬品開発支援の大幅増益は、CROのデータマネジメント・解析業務の増収効果とSMOの利益率改善による。
システムソリューションの大幅増益は、不採算事業からの撤退、経費削減と人件費の最適化による。
■顧客接近力、インサイト到達力、情報評価力の向上に努める
同社では、リーマンショック後の事業環境は、新秩序形成に向けた変化が加速していて、元の状態には戻らないと捉えている。例えば、これまで主流であった新聞、雑誌広告は減少して、インターネットの広告が取って代わってきている。企業も国内での設備投資よりは、海外事業に積極的な投資を開始している。
また、以前と違い、あらゆるサービスの費用対効果が厳しく問われる時代となっている。そのため、「消費者の本当の姿を知りたい」というニーズも増している。そこでActionable Insight(施策決定に役立つ情報)が必要とされる。
同社は今年、創業50周年を迎えたが、2010年度の基本方針として、「知の時代」のプロフェッショナルとなるため、次の50年のために、事業基盤の構築と人材育成を掲げている。
そのため、同社のコア・コンピタンス(他社には真似の出来ない核となる能力)である顧客接近力、インサイト到達力、情報評価力の向上に努めるとしている。
■新しい消費者情報体系の構築、12年1月に50,000サンプル規模として再編統合
今期の重要課題としては、パネル調査分野の更なる成長、カスタムリサーチ分野の競争優位の確立、海外事業の基盤整備と拡大の3項目を挙げている。
まず、パネル調査分野を成長させるための施策として、SLI(全国女性個人消費者パネル)の10,000サンプルを今年4月に40,000サンプルの新データに切り替えている。
また、新しい消費者情報体系の構築を行なうために、personal eye(個人消費者パネル)の5,000サンプルを20,000サンプルまで増やし、今年7月よりSCI−personalとしてデータの提供を開始する。更に、SCI(全国消費世帯パネル)の12,000サンプルと併せ、ゆくゆくは12年1月に50,000サンプル規模として再編統合する計画。
このようにして、サンプル数の飛躍的拡大を行なうと共に、インターネットの双方向性を活用して商品情報、店舗情報の照会、何故購入したのかといった付帯調査の実施を行なう一方で、収集する情報項目も拡大する。その結果、ブランドマーケティング・店頭マーケッティングの新しい展開を実現し、消費者の意思決定分析の精度向上を図る。
■早期に中国調査市場でのトップ10入りを目指す
カスタムリサーチ分野の競争優位を確立するために、インターネット調査の工程短縮による効率化を図る。更に、基幹集計エンジン切り替えによる業務処理能力アップと高速化を進める。また、パネル調査とカスタムリサーチの対応組織の融合を進め、業界の理解、顧客課題の理解を深めることで、インサイト(施策決定に役立つ情報)提供のスピードアップを図り競争力優位を確立する。
海外事業の基盤整備と拡大については、マネジメントの現地化を積極的に推進し、ローカル・インサイトの提供を事業拡大の最大の武器にする。
中期目標として、海外事業の連結売上比率10%を設定、早期に中国調査市場でのトップ10入りを実現するとしているが、5月にグループ4社(現地事務所含む)をSOHO東海広場に集結している。トップ10に入るには1億元の売上が条件となるが、グループ4社の今期の売上は1億元に届くと予想されることから、今後の情報収集も加速度的に進むものと期待されている。また、東南アジア、インド、その他地域でM&Aを含む積極展開を図る計画。
今11年3月期連結業績予想は、売上高372億2900万円(前期比7.8%増)、営業利益33億9900万円(同4.4%増)、経常利益33億5900万円(同4.2%増)、純利益18億8200万円(同12.1%増)と増収増益を見込む。
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