2011年05月16日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

生化学工業は前11年3月期連結業績の決算説明会を開催


■震災の復旧費用として9億3200万円を特別損失として計上

生化学工業のHP 生化学工業<4548>(東1)は、前11年3月期連結業績の決算説明会を5月13日に開催した。
 説明会の冒頭に、3月11日に発生した大震災の被害状況について説明が行なわれた。
 茨城県高萩市の高萩工場で、製剤機器および製品倉庫の一部に損傷が出たが、3月23日には製品在庫の出荷を再開した。また、インフラの復旧に伴い4月11日に第4製剤棟が稼働し、4月29日までにすべての製剤棟が生産を再開している。医薬品原体工場の久里浜工場(神奈川県横須賀市)には被害はなかったことから、3月14日より通常の生産を行っている。しかし、宮城県気仙沼市にある子会社の三陸加工は、津波の被害により、現在でも事業再開のめどが立っていない。そのため、他の供給先から原料調達量を増やし、コンドロイチン硫酸の安定供給に対応している。
 前11年3月期連結業績に対する震災の影響は、復旧費用として9億3200万円を特別損失として計上している。今12年3月期業績については、節電等で影響が出る場合には速やかに開示する方針。

■アルツは販売数量増が薬価引き下げの影響を上回り増加

 前11年3月期連結業績は、売上高271億1700万円(10年3月期比1.8%減)、営業利益35億3300万円(同30.9%減)、経常利益41億5900万円(同18.7%減)、純利益24億5100万円(同31.4%減)と減収減益。
 売上減の要因としては、海外の売上減、薬価改定、円高、マイルストーン型ロイヤリティー収入を営業外収入として計上した等の影響が挙げられる。
 医薬品の売上高は、211億8400万円(同2億2100万円減)。しかし、国内の売上高は6億5300万円増と好調であった。製品別の販売状況を見ると、アルツは販売数量増が薬価引き下げの影響を上回り増加した。オペガンは、販売数量は増加したものの、薬価引き下げにより微減。ムコアップは、内視鏡手術の浸透が進み増加した。
 一方、海外の売上高は、8億7500万円の減収となった。その要因は、マイルストーン型ロイヤリティー収入の計上区分変更による影響が約3億円、円高の影響が約2億6000万円あった。米国では、一部民間保険会社の償還厳格化と円高の影響で減収となった。中国では、現地での販売が伸びて増収であった。
 機能化学品の売上高は、59億3300万円(同2億7800万円減)。試薬・診断薬は、円高の影響や国内売上の減少で、3億5700万円の減収。一方、医薬品原体は、ヒアルロン酸の増加により7900万円の増収であった。
 営業利益は、15億7700万円の減益となった。原価は1300万円の減少。国内の販売数量増があったが、第4製剤棟の減価償却費等が減少したことが要因。販管費は10億9100万円増加して、131億300万円(同9.1%増)となった。SI−6603の国内治験費の一括費用化と試作関連費の増加による。しかし、その他の経費は減少した。
 純利益については、11億2300万円減少した。その理由は、マイルストーン型ロイヤリティーの収入は5億6700万円増加したものの、震災による復旧費用や土地の減損損失により9億3200万円、資産除去債務費用過年度分5100万円計上したことで、特別損失が9億8400万円となったことによる。

■今12年3月期連結業績予想は増収大幅増益を見込む

 今12年3月期連結業績予想は、売上高280億円(前期比3.3%増)、営業利益48億円(同35.9%増)、経常利益51億円(同22.6%増)、純利益33億円(同34.6%増)と増収大幅増益を見込んでいる。期中の平均レートは1ドル83円前後。
 売上高については、国内医薬品は、引き続きアルツが順調に増加する予想で、前期比10億2300万円増を見込んでいる。海外も、中国、イタリアでの現地販売好調に加え、前期からの出荷繰り越しもあり、前期比1億9200万円増を見込み、医薬品の売上高は前期比12億1500万円増を見込んでいる。
 試薬・診断薬については、海外売上高は増加するものの、研究用試薬事業廃止により前期比4億4000万円減を見込む。医薬品原体はヒアルロン酸の増加が見込まれ前期比1億700万円増を予想しているが、機能化学品の売上高は前期比3億3300万円減を見込む。
 営業利益については、前期比12億6600万円の増益を見込んでいる。販売数量の増加を第4製剤棟の減価償却費の減少などで吸収することから売上原価は約3億円減少すると見ている。また、研究開発費は8億2300万円減少する一方で、販売関連費用等その他の費用が増加するため、販管費は約1億5000万円減少にとどまると見ていることが要因。
 純利益については、為替差損は減少するものの、マイルストーン型ロイヤリティー収入が減少するが、震災による特別損失の影響も減少することから前期比8億4800万円の増益が予想されている。

■「Gel−One」は11年中の上市を目指す

 今後の業績に大いに貢献していくと期待されている「Gel−One」のFDA承認取得について説明が行われた。11年3月22日(米国現地時間)に認証を取得。同社では、11年中の上市を目指すとしている。
 「Gel−One」の特徴は、スパルツが複数回の注射が必要であるのに比較し、1回の注射で疼痛抑制効果を示すことである。
 米国では、2025年まで65歳以上の人口は、年率3%以上で増加すると予想されている。そのため、今後もヒアルロン酸関節注射市場規模は拡大すると予想。2010年の市場規模は6億3500万ドルと推計されている。今後年率9.0%で増加すると見ている。
 現在の米国における変形性膝関節症の患者数は、潜在患者1億2500万人、顕在患者1500万人と推計されている。一部民間保険会社がコスト削減を推進していることから、単回投与製品のニーズが向上すると見ている。同社では、先行しているスパルツと共に、患者に治療の選択肢を提供することで売上を拡大していく方針。

■プラスチック容器の投入等によりアルツの市場シェアは53.4%と0.9ポイントアップ

 一方国内のアルツの状況は、11年3月期の市場規模は前年期比で6.6%伸びている。プラス要因としては高齢者の人口の増加と疾患啓発活動の継続実施が挙げられる。マイナス要因としては、震災の影響で3月に一部物流機能が停滞したことである。
 その様な状況で、アルツの医療機関への納入本数は8.4%増加している。先発品としてブランド力の向上、プラスチック容器の投入により市場シェアは53.4%と0.9ポイントアップしている。そのため、薬価引き下げの影響が−7.7%あったものの数量増でカバーし増収であった。
 今12月期の予想では、市場規模は7.0%拡大し、アルツの納入本数は8.0%増加すると見ている。そのため、引き続きブランド力を活かした営業活動を推進し、マーケット拡大を上回る増加を目指すとしている。
 海外医薬品の販売状況は、11年3月期は前年比15.4%の減収であった。米国の現地販売は8.1%の減収、輸出は19.7%の減収、その他の地域への輸出0.8%減であった。今期予想は前期比6.0%増収を見込んでいる。
 オペガン(ヒアルロン酸を主成分とする白内障手術の補助剤)の販売(医療機関納入本数ベース)の市場規模は、高齢者人口の増加に伴い白内障手術件数が増加していることから11年3月期で前年比2.7%拡大している。そのため、オペガンの納入本数は1.9%アップした。今12年3月期については、マーケットは2.5%伸びると見ている。オペガンは競合対策や製品特性を活かした販売戦略に注力し、市場拡大並みの増加を目指す。

■Gel−One米国上市を機に更なる事業拡大も

 同社では10年3月期を初年度とする中期経営計画(3ヶ年計画)を発表している。重点課題として、日本市場(アルツ・オペガン)での売上成長、Gel−One米国上市、米国以外の地域(中国等)での売上増加、機能化学品事業(生化学バイオ・ACC)の売上増加、スパルツの肩の適応症追加の5つを挙げている。今期が最終年度であるため、これまでのそれぞれの進捗状況について説明された。
 日本市場(アルツ・オペガン)での売上成長については、アルツについては予定を上回るペースで推移している。一方オペガンについても増加基調であり、市場シェアが拡大している。
 Gel−One米国上市については、FDAの承認を取得し、年内の発売を目指す方針。
 米国以外の地域(中国等)での売上増加、に関しては、中国は順調に推移している。イタリアについてはまずまずといったところ。
 機能化学品事業(生化学バイオ・ACC)の売上増加は、ACCが3期連続で黒字化をしているので、順調といえる。一方、12年3月期で研究用試薬事業を廃止し、医薬品原体、LAL試薬に集中する。
 スパルツの変形性肩関症の適応症追加については、11年3月にFDA申請を取り下げた。
 大震災という突発的な事件が発生したものの、被害は軽微であり、しかも念願のGel−One米国上市が今期中に実現する見通しであり、主力製品アルツの売上も引き続き拡大していることから、今期は増収大幅増益を見込む。Gel−One米国上市を機に更なる事業拡大も期待できる。

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