2011年05月24日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アールテック・ウエノの前11年3月期業績は増収大幅増益を達成


■Amitizaの売上高は1,940百万円(同46.7%増)と大幅増収

アールテック・ウエノのHP 創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ<4573>(JQS)は、19日に前11年3月期決算説明会を兜町平和ビルで開催した。
 前期業績は、売上高4,204百万円(10年3月期比1.0%増)、売上原価1,349百万円(同0.7%減)、売上総利益2,855百万円(同1.9%増)、販管費1,856百万円(同10.5%減)、営業利益998百万円(同37.0%増)、経常利益1,006百万円(同37.4%増)、純利益1,248百万円(同87.2%増)と増収大幅増益を達成した。
 最終利益が営業、経常利益の伸びより更に一段と伸びたのは、1,000百万円の和解金を特別利益として計上したことによる。
 事業別の売上高は、レスキュラ2,184百万円(同17.2%減)、Amitiza1,940百万円(同46.7%増)、医薬品の研究開発支援サービス80百万円(同60.7%減)。Amitizaは大幅増収となった要因は、在庫が減少したことが要因。
 バランスシートでは、流動資産が6,878百万円(同1,507百万円増)と大幅に増えている。この要因は、田辺三菱製薬から受取和解金及びSMR社へのライセンス等により現預金が4,741百万円(同1,545百万円増)と大幅に増えたことによる。固定資産は1,615百万円(同57百万円減)とほとんど変わらず。純資産は7,235百万円(同1,076百万円増)。自己資本比率は85.2%と健全な状態。
 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローは1,819百万円。投資キャッシュ・フローは、△2,756百万円となった。これは3カ月を超える定期預金2,700百万円が投資とみなされるため。財務キャッシュ・フローは△200百万円。現金及び現金同等物の増加額は△1,154百万円となり、現金及び現金同等物の期末残高は2,041百万円となった。

■Amitizaは在庫調整が終わるので、今期も増収を見込む

 今12年3月期業績予想は、売上高4,239百万円(前期比0.8%増)、営業利益1,146百万円(同14.7%増)、経常利益1,158百万円(同15.0%増)、純利益752百万円(同39.7%減)を見込む。最終利益が大幅減益となるのは、前期の和解金が消える影響。
 事業別売上高予想は、レスキュラ2,068百万円(同5.3%減)、Amitiza2,070百万円(同6.7%増)、医薬品の研究開発支援サービス100百万円(同25.4%増)を見込んでいる。レスキュラは、今期に新規の薬品が出てこないため減少率は少ないと見ている。Amitizaは、在庫調整が終わるので、今期も売上が伸びると見ている。
 同社は、東京に本社を置き、神戸市に研究所、兵庫県三田市に研究所と工場を持っている。
 医師の視点から経営を考えるということを経営理念としている。具体的には、医師の目線で医薬品開発・販売を行う分野特化型のグローバルな医薬品会社を目指している。分野は、眼科、皮膚科に特化している。
 現在、医薬品開発の重点は、量から質へ移行している。例えば、生活習慣病といった大衆を対象とした医薬品の開発から、アンメット・メディカル・ニーズと言われるいまだ満足のゆく治療法が無い医療領域への対応が急がれている。
 07年8月30日に厚生省が出している「新医薬品産業ビジョン〜イノベーションを担う国際競争力のある産業を目指して〜」を引用すると「バイオテクノロジー等を基幹技術とし、創薬を目的とした企業型研究開発企業である医薬品ベンチャーは、我が国においてはまだ存在感が目立ったものではないが、欧米では不可欠な存在となっており、我が国においても新技術・創薬シーズ創出の担い手としての役割が今後期待される」と述べているように、今後日本での創薬ベンチャーの活躍が期待されている。
 薬品大手は、生活習慣病をターゲットとしていることから、アンメット・メディカル・ニーズの新薬開発は、同社のような創薬ベンチャーの活躍に期待がかかっている。

■同社は321件の特許を取得し、特許の数では他社を圧倒

 1985年以降2008年までに発売された新薬の数は、年々少なくなっている。また、大手製薬が自社だけで創る新薬の割合は少なくなっていて、バイオベンチャーとの連帯強化が進んでいる。
 創薬ベンチャーというと上場しても何年間も赤字決算が続くのは当たり前という状況であるが、同社のように黒字決算を継続しているところもある。「金を儲けて自社の力で開発していく方針です」(同社代表取締役社長真島行彦氏)と方針を示している。事業計画の中で重要視しているのが特許戦略といえる。
 07年以降上場企業と特許件数を比較すると、A社16件、B社31件、C社7件、D社12件、E社16件である。ところが、同社は321件の特許を取得し、他社を圧倒している。同社の特許に関する考え方は、研究開発における特許取得はもちろんであるが、製造に関しても特許を取得している。この製造に関する特許は他のバイオベンチャーには見られないことである。
 同社は3分野に絞った事業を展開している。まず、対象領域を眼科、皮膚科にフォーカスし、新規薬品の研究開発に取り組んでいる。
 更に、自社で開発した世界初のプロストン系緑内障治療薬レスキュラ(R)点眼液0.12%の製造・販売を行っている。
 また、医薬品開発支援及び受託製造サービスも行っている。現在は、Amitiza(R)カプセルの受託製造を行っている。

■レスキュラ(R)点眼液は販売方法を変更し、韓国、台湾で販売

 主力商品であるレスキュラ(R)点眼液の販売戦略としては、国内では販売を開始してから16年経過しているため徐々に売上が減少している。そのため海外戦略を立て収益拡大を図りたいと考えている。韓国、台湾でもレスキュラ(R)点眼液0.12%を販売しているが、昨年の3月30日にプレスリリースを発表しているように、販売方法を変更し、同社が直接販売委託することで、売上を伸ばす計画。米国においては、一時レスキュラを販売していたが、現在はストップしている。しかしスキャンポ社の子会社であるSPA社が再上市するので、米国での販売が開始する。また、緑内障、高眼圧症の治療薬として開発中のウノプロストンに関するライセンス契約をスイスのSMR社と締結している。
 Amitiza(R)カプセルについては、米国のスキャンポ社が昨年10月に日本での製造販売承認を申請したことから、12年度には日本での製造販売の可能性も出てきた。同社は、日本・アジア・オセアニア地域における独占的製造供給権を保有している。そのため、受託製造は拡大する見込み。
 更に、スキャンポ社は今年1月に、ルビプロストン(製品名:Amitiza(R)カプセル)の第3相臨床試験を米国及び欧州で開始したことを発表している。ルビプロストンはオピロイド誘発性腸機能障害(OBD)治療薬として開発中の薬品である。現在、FDA(アメリカ食品医薬品局)が承認したOBD治療に適応する経口薬品は無い。同社は、北米地域における独占的製造供給権を保有している。

■臨床試験に入っている新薬はライセンスアウトが可能で、ライセンス収入、ロイヤリティ収入が見込める

 現在同社が進めている新薬開発のターゲット領域は、アンメット・メディカル・ニーズ領域、オーファンドラッグ(希少疾病医薬品)領域、アンチエイジング領域、生活改善薬領域。
 アンメット・メディカル・ニーズ領域には、重症ドライアイ、糖尿病白内障、アトピー性皮膚炎、糖尿病神経障害といった病気がある。同社では、重症ドライアイの治療薬としてRU−101、糖尿病白内障の治療薬としてRTU−007、アトピー性皮膚炎の治療薬としてRTU−1096、糖尿病神経障害としてRTU−1096を開発中である。
 オーファンドラッグ領域には網膜色素変性という病気があるが、同社ではUF−021という新薬を開発中である。
 アンチエイジング領域では、男性型脱毛症の治療薬として、RK−023を開発中、市場規模は1000億円といわれている。生活改善薬領域では睫毛貧毛症の治療薬としてRK−023を開発中である。市場規模は500億円。
 新薬の開発状況を見ると、非臨床の新薬は、糖尿病白内障(RTU−007)、アトピー性皮膚炎(RTU−1096)、糖尿病神経障害(RTU−1096)でこれから臨床試験に入る。臨床試験に入っている新薬は、睫毛貧毛症(RK−023)、重症ドライアイ(RU−101)がフェーズ1、男性型脱毛症(RK−023)がフェーズ2前期完了、網膜色素変性(UF−021)がフェーズ2完了。臨床試験に入っている新薬はライセンスアウトが可能であり、ライセンス収入、ロイヤリティ収入が見込める状況である。
 創薬ベンチャーとしては、レスキュラ(R)点眼液0.12%、Amitiza(R)カプセルに続く新薬を開発中であることから、新薬の開発を進め、国内外の製薬企業へライセンスアウトすることで、今後の業績の拡大が予想される。
 大手製薬メーカーが手掛けない、アンメット・メディカル・ニーズ領域で独壇場を築くことで、事業基盤は更に強固なものとなる。

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