2013年05月22日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

アールテック・ウエノ:前13年3月期業績は2ケタ増収も研究開発費膨らみ減益


■AMITIZA(R)は日本での販売が承認されたことから大幅増収

 何かと話題が豊富で、株価も急騰している創薬ベンチャーのアールテック・ウエノ<4573>(JQS)の前13年3月期業績は、売上高45億52百万円(前年同期比12.3%増)、営業利益7億84百万円(同26.2%減)、経常利益8億90百万円(同17.0%減)、純利益5億61百万円(同17.4%減)と2ケタ増収ながら研究開発費は臨床試験が進んできたことにより12億80百万円(同40.6%増)と膨らんだことから減益となった。

 売上高の内訳は、レスキュラ(R)18億11百万円(同6.8%減)、AMITIZA(R)25億92百万円(同27.9%増)、医薬品の研究開発支援サービス1億48百万円(同78.7%増)であった。

 レスキュラ(R)はダウントレンドが続き減収となったが、AMITIZA(R)は日本での販売が承認されたことから大幅増収となっている。

 バランスシートは、資産合計が5億90百万円増加して99億19百万円であった。純資産は81億91百万円で、自己資本比率は82.3%であることから、財務状況は引き続き健全そのもの。

 前期は、2ケタ増収でありながら臨床試験が進んできたことから研究開発費が膨らみ利益面を圧迫することになったが、AMITIZA(R)は日本での販売が承認されたことで、今期フルに貢献することから、売上拡大が期待できる。

■今期14年3月期業績予想は増収増益

 今期14年3月期業績予想は、売上高49億91百万円(前期比9.6%増)、営業利益9億71百万円(同23.8%増)、経常利益9億74百万円(同9.4%増)、純利益6億33百万円(同12.7%増)と増収増益を見込んでいる。

 売上高の内訳は、レスキュラ(R)14億30百万円(同21.1%減)、AMITIZA(R)34億10百万円(同31.6%増)、医薬品の研究開発支援サービス1億50百万円(同1.4%増)。

 レスキュラ(R)については米国での今期の売上高を1億円円程度しか見込んでないことから、今期もダウントレンドは変わらないとみている。一方のAMITIZA(R)は日本でも非常に好評であることから3割以上伸びるとみている。

 配当については、好業績が予想されることから、1,000円増配の4,000円を予想。

 なお、5月14日にプレスリリースしているように、7月1日を効力発生日として、1対200の株式分割を実施し、単元株式数を100株とする。投資金額が現在の2分の1となることから、株式の流動性がさらに高まるものと予想される。

 同社は、新規医薬品の研究開発、医薬品の製造・販売、医薬品開発支援及び受託製造サービスと3つの事業を展開している。

 今年2月21日にリリースしたように、レスキュラ(R)点眼液は米国で上市されている。米国でサンプル品を配布して、医療現場で使ってもらい、結果が良ければ処方に切り替わることになる。現在サンプルは行き渡っていて、徐々に処方箋が出てくる状況である。

■AMITIZA(R)の売上増もあり2017年3月期に売上高60億円を予想

 医薬品の製造・販売、医薬品開発支援及び受託製造サービスに関しては、メインとなるのはAMITIZA(R)カプセルの受託製造である。AMITIZA(R)は慢性特発性便秘症の薬として2006年に米国で初めて上市された。09年スイス、12年日本と英国で承認された。また、非癌性オピオイド誘発性便秘症の適応拡大としても今年4月30日に米国で承認されたことで、市場と適応の両面で拡大している。

 同社は全世界における製造権を所有している。そのため、市場が拡大するとそれだけ同社の売上高が伸びることになる。便秘症の患者数は日本だけでも2,000万人の患者がいるが、便秘薬としては、国内で32年ぶりの新薬となる。

 今期はAMITIZA(R)の売上増もあり、売上高49億91百万円を見込んでいるが、今後もAMITIZA(R)カプセル受託製造の売上が着実に拡大する見込みで、2017年3月期には売上高60億円を予想している。

■今後売上のけん引役はウノプロストン(UF−021)点眼液と遺伝子組み換え人血清アルブミン(RU−101)

 同じように今後売上のけん引役として期待されているのが網膜色素変性治療薬のウノプロストン(UF−021)点眼液(製品名:オキュセバ(TM))とドライアイ治療薬である遺伝子組み換え人血清アルブミン(RU−101)である。

 網膜色素変性は進行性の夜盲、視野狭窄を主な症状とし、失明に至ることがある。日本での患者数は約3万人で、世界中では約100万人いるといわれている。しかし、現在まで、この疾患に対する有効な治療法は確立されていない。

 そのため、治療薬として高薬価が期待され、国内の年間売上高は、ピーク時で20億円前後が見込まれる。

 既に同社のウノプロストン点眼液(製品名:オキュセバ(TM))は、科学技術振興機構(JST)からの資金援助(最大20億円)もあり今年3月から第3相臨床試験を開始している。今後順調に進むとすると2016年には承認が取れ、販売がスタートすることになる。科学技術振興機構(JST)への補助金申請件数は17社あったが、同社のみが選択された。

■新薬の開発が順調に進むとすると、同社の2021年3月期の売上高は100億円を超える

 ドライアイ治療薬の遺伝子組み換え人血清アルブミン(RU−101)については、今年4月に米国FDAからIND(臨床試験実施申請)の承認を取得した。5月に米国で第1相/2相臨床試験を開始。順調に有効性、安全性のデータが取得できたら、ライセンス供与を行う計画。

 市場規模はグローバルで1,500億円とみている。しかも過去5年間でドライアイ市場は約2倍に成長していることから、今後も年率10%の成長が見込まれる。

 順調にゆくと2019年でマイルストーン収入を得て、20年には上市を計画している。

 このように、新薬の開発が順調に進むとすると、同社の2021年3月期の売上高は100億円を超えるものと予想される。

 創薬ベンチャーでありながら、自己資本比率82.3%と財務内容は健全そのもので、今期も増収増益を見込み、さらに今後の成長が期待できる新薬の開発が進んでいることから、同社の展望は明るいといえる。

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