2012年11月21日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

アールテック・ウエノ:レスキュラ(R)は下半期に米国での再上場を見込む


■第2四半期累計業績はほぼ計画通り

 アールテック・ウエノ<4573>(JQS)第2四半期累計業績は、売上高18億33百万円(前年同期比2.1%減)、営業利益3億6百万円(同44.4%減)、経常利益3億2百万円(同44.8%減)、純利益2億10百万円(同40.1%減)と減収大幅減益となっている。減益の主な要因は研究開発費が4億84百万円となり前年同期と比べ1億66百万円増加したためである。

 セグメント別の売上高を見ると、医薬品の製造販売事業は17億38百万円となっている。内訳は、レスキュラ(R)6億57百万円(同17.4%減)、AMITIZA(R)10億80百万円(同3.9%増)。医薬品の研究開発支援サービス事業は94百万円(同154.0%増)と大幅増収。

 通期計画に対する進捗率は、レスキュラ(R)33.9%、AMITIZA(R)46.3%、医薬品研究開発支援サービス56.4%となっている。レスキュラ(R)、AMITIZA(R)の進捗率が低い。しかし、レスキュラ(R)については、下半期に米国での再上場を見込んでいることから、売上の拡大が予想される。また、AMITIZA(R)についても、下期で日本の販売が承認されていることから受託製造による売上の拡大が見込まれている。そのため、同社ではほぼ計画通りに推移していると見ている。

 バランスシートの資産合計は、88億9百万円(前期比5億20百万円減)となっている。内訳は、流動資産72億32百万円(同3百万円減)、固定資産15億77百万円(同5億17百万円減)。固定資産の減少要因は、米国のスキャンポ社の株価評価額が5億51百万円減少したことによる。負債合計は11億42百万円(同91百万円減)、純資産は76億66百万円(同4億28百万円減)。その結果、自己資本比率は86.8%と0.2ポイント改善している。

 今期通期の業績予想は、売上高44億32百万円(前期比9.4%増)、営業利益6億18百万円(同41.9%減)、経常利益6億23百万円(同41.9%減)、純利益4億5百万円(同40.4%減)と増収ながら研究開発費が増加するため減益を見込んでいる。

■短期間での成長が見込まれるAMITIZA(R)カプセルの受託事業

 その様な状況の中で、代表取締役社長眞島行彦氏は今後の成長戦略について説明を行った。

 最も短期間での成長が見込まれるのがAMITIZA(R)カプセルの受託事業である。スキャンポ社が、今年6月に日本での製造販売承認を取得したのに続き、9月には英国での製造販売承認を取得したことから、米国、EU地域、日本・アジア・オセアニア地域における独占的製造供給権を保有しているアールテック・ウエノの受託製造売上高の増加が見込める。

 今年10月30日付の薬事日報の電子版で、米国スキャンポ社の上野隆司CEOは、「ようやく米日欧の事業体制が整ったことから、慢性特発性便秘症治療薬AMITIZA(R)のグローバル展開に乗り出し、世界全体ではピーク時で年間売上高500億円、国内では100億円以上の売上が期待できる。そのため、国内第1号製品であるAMITIZA(R)の大型化を目指す。」と語っている。その後、欧州全域での販売体制を構築するために大きな投資が必要になるため、前段階として英国を皮切りに、販売エリアを順次拡大していく計画。

 この様に、AMITIZA(R)の受託事業の拡大に伴い、同社の売上高予想も、13年3月期の44億30百万円から、徐々に拡大し、19年3月期には60億円近くまで伸びるとみている。

■世界初の網膜色素変性治療薬オキュセバ(TM)が売上拡大に寄与すると予想される

 更に、創薬事業では、来期第3相臨床試験が行われる世界初の網膜色素変性治療薬オキュセバ(TM)(0.15%ウノプロストン)UF−021が今後売上拡大に寄与すると期待されている。もし、薬事承認が計画通りに進むと2016年から売上が見込める。この薬を必要とする患者数は、世界で100万人を超えている。日本でも約3万人の患者がいると見られている。しかも、日本での視覚障害原因の第3位が網膜色素変性であるため、患者の会からの早期開発、販売の要望書が2010年8月31日付で、当時の長妻 昭厚生労働大臣に提出されている。

 網膜色素変性治療薬オキュセバ(TM)の薬事承認が2016年に得られると、世界初の治療薬であることから、国内で年間20億円以上の売上が見込めるとしている。また、海外市場規模は約500億円と見ていることから、海外販売も視野に入れている。

■ドライアイ治療薬は15年のライセンス取得を目指す

 オキュセバ(TM)に続くのが、同社のドライアイ治療薬の遺伝子組換え人血清アルブミン製剤(RU−101)。来期米国で第1・2相臨床試験の開始に入り、有効性・安全性データを取得した後、2015年でのライセンス取得を目指している。この治療薬も世界初の生物製剤によるドライアイの治療薬である。

 市場規模は、世界で1,500億円あると見られている。過去5年間でドライアイ市場は急拡大し、約2倍に成長している。今後も年率10%の成長が見込まれている。

 現在治療薬としてあるのが、「抗炎症薬」、「保湿/水分補給薬」、「ムチン/水分分泌促進点眼液」の3種類。日本で承認されているのは、保湿/水分補給薬としてヒアルロン酸ナトリウムが処方箋薬として認められている。また、ムチン/水分分泌促進点眼液も処方箋薬として認められている。

 この様な状況で、同社が手掛けている遺伝子組換え人血清アルブミン製剤(RU−101)は、保湿、ムチン分泌による上皮保護、抗炎症と3つの効能を持つことから第4のドライアイ治療薬として優れた効果を持つと期待されている。

 以上の成長戦略による今後の売上拡大の計画は、AMITIZA(R)の受託事業の拡大に伴い2016年までに55億円を目指し、その後3年間で網膜色素変性治療薬オキュセバ(TM)の売上が積みあげられ、2019年には80億円近くまで伸びると見ている。更に、その後、ドライアイ治療薬の遺伝子組換え人血清アルブミン製剤(RU−101)の売上が加わることから今後急成長を見込んでいる。


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