2013年05月20日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

マーベラスAQL:前期は大幅増収で、営業・経常利益共に大幅増益を達成


■3月期末配当を1250円に上方修正したことで、645円の大幅増配となる

 オンラインゲームの開発を主力とするマーベラスAQL<7844>(東1)は13日、前13年3月期決算説明会を開催した。

 同社は11年10月に、旧マーベラスエンターテイメント(MMV)、旧AQインタラクティブ(AQI)、旧ライブウェアの3社が経営統合したため、前年同期との比較はできないが、MMVとAQIの単純合計との比較で見ると、前13年3月期連結業績は、売上高175億79百万円(前年同期比22.0%増)、営業利益23億29百万円(同62.0%増)、経常利益23億25百万円(同65.0%増)、純利益19億19百万円(同49.0%減)と大幅増収で、営業・経常利益共に大幅増益を達成した。純利益に関しては、前期において合併による負ののれん発生益22億円を計上した影響で、大幅減益となったが、実質は増益。

 四半期毎の売上高、営業利益の推移をみると、第1四半期30億16百万円(同9.8%増)、2億78百万円(同6.4%減)、第2四半期48億88百万円(同20.5%増)、8億27百万円(同551.1%増)、第3四半期42億39百万円(同22.8%増)、6億10百万円(同32.0%増)、第4四半期54億35百万円(同30.6%増)、6億14百万円(同11.4%増)と売上高については、全ての四半期で前年を上回っている。営業利益については第1四半期を除いて増益となっている。統合したことで、経営の効率化が図られたといえる。

 セグメント別の売上高、営業利益を見ると、オンライン事業72億69百万円(同18.7%増)、6億65百万円(同59.2%減)、コンシューマ事業70億59百万円(同38.7%増)、18億19百万円(同466.6%増)、音楽映像事業32億56百万円(同1.6%増)、7億38百万円(同34.9%増)とオンライン事業が思わぬ大幅減益となったが、コンシューマ事業が大幅増収増益でカバーした。

■コンシューマ事業は閃乱カグラシリーズの連続ヒット等で大幅増収

 オンライン事業に関しては、売上高はタイトル増加により増収となった。しかし、利益面については、中止プロジェクトの費用化により大幅な減益となった。タイト別では、5月リリースの「一騎当千バーストファイト」が主力タイトルとして成長した。11月にリリースした「閃乱カグラNewWave」も好調に推移した。一方で、スマートフォン向けの「スーパークリエイターシリーズ」等については不採算であったことからサービスの中止となり、資産の一括償却費用を計上することになった。

 コンシューマ事業の売上高は閃乱カグラシリーズの連続ヒット、「ルーンファクトリー4」、「フェイト/エクストラCCC」、「朧村正」共にシリーズ最高の本数を獲得したことから大幅増収となった。また利益面については増収効果により、大幅増益となった。

 音楽映像事業は、売上は堅調に推移した。タイトルとしては、「プリキュア」シリーズがテレビアニメ・劇場版ともにヒットし、CD販売、DVD・BD販売、興行収入が好調であった。また、ミュージカルの「テニスの王子様」の公演、イベント、DVD販売も好調であった。舞台では「弱虫ペダル」の公演チケットが即日完売するほど人気を呼んでいる。利益面については、大幅増益を確保した。

 以上のように、好業績であったことから、配当については、当初1000円を予想していたが、普通配当200円、一部上場記念50円を加え、1250円に上方修正した。前年が605円であったことから645円の大幅な増配となる。

■今期はオンライン事業の大幅増収増益が見込まれる

 今期14年3月期連結業績予想は、売上高200億円(前期比13.8%増)、営業利益29億円(同24.5%増)、経常利益28億90百万円(同24.3%増)、純利益17億70百万円(同7.8%減)を見込んでいる。

 セグメント別の売上高、営業利益予想は、オンライン事業98億円(同34.8%増)、18億10百万円(同172.1%増)、コンシューマ事業66億円(同6.6%減)、14億20百万円(同22.0%減)、音楽映像事業36億円(同10.5%増)、7億10百万円(同3.8%減)と今期はオンライン事業の大幅増収増益が見込まれている。

 事業別の取組として、オンライン事業では、モバイルコンテンツに最大注力する一方で、これまでのブラウザゲームの強みを維持していく方針。タイトルとしては、2月に「ブラウザプロ野球NEXT」、4月「コインサーガ」を立ち上げている。5月11日には「ブラウザキングダムライジング」を発表した。品質の優先を厳選したタイトルをリリースすると共に、制作費の投資効率向上を図りながら、ヒットタイトル創出に挑戦を続ける計画。

 コンシューマ事業は、家庭用ゲーム機向けソフトは、人気IP(知的財産)のシリーズ作品を中心に少数厳選で展開する方針。また、自社のIPの創出に向けて、企画・開発を継続し、受託開発も継続展開する。新たな試みとしては、「ポケモントレッタ」事業の最大化を計画している。今後の予定としては、「ヴァルハラナイツ3」を5月23日、「ポケモントレッタラボforニンテンドー3DS」を8月10日に発売する。

 音楽映像事業では、10年目を迎える「プリキュア」シリーズは、今期も音楽・映像商品の主力として展開する。ミュージカル「テニスの王子様」は10周年を迎え、事業規模を拡大する。更に、舞台の「弱虫ペダル」等の新シリーズを積極的に展開する。

 以上の取組を行うことで、今期業績予想の達成を狙う。

■今後はスマートフォンが間違いなく拡大

 現在の事業環境について、代表取締役社長許田周一氏は、「オンライン市場において、今後はスマートフォンが間違いなく拡大していきます。PCは多少縮小傾向でありますが、ただタブレットPCという言われ方もしていますので、横ばい傾向といえます。また、モバイルについてはスマートフォンが日本、北欧、新興国を問わず拡大していくとみていますので、今期もチャレンジしていきます。コンシューマ事業については、家庭用ゲームは新型のハイエンドマシーンが出回ることもありまして、回復傾向にあるとみています。アミューズメントに関しましては、厳しい市場になってきます。キッズアミューズメントということで見れば、まだまだ成長余地があるといえます。音楽・映像事業に関しましては、音楽ソフトは、パッケージは回復傾向にあります。配信のほうは縮小傾向にあります。映像ソフトは、DVDが大きく縮小しています。ただし、ブルーレイの拡大ということと、消費者をセグメントし、そちらにあった製品づくりをすることで、まだまだ収益をとれる余地は十分にあると思っています。」と語った。

■フラッグシップタイトルの創出に全精力を挙げる

 今期の取組としては、「まず第一に、フラッグシップタイトルの創出であります。マーベラスAQLといえばこのタイトルというような代表的なタイトルを早く作ることであります。このことに関しては、全精力を挙げていきたいと思っています。またそれが出ることによりまして、水平展開事業を拡充することで、本当の総合エンターテイメントといえると思います。しかし、そういうタイトルが出るまでもなく、閃乱カグラ等水平展開していく事業もありますので、こちらの事業拡充も図ってまいります。また、モバイル事業の拡充については、ブラウザのタイトルは強いので、確実な収益を上げながら、スマートフォンにチャレンジしていく計画です。海外事業の強化につきましては、スマートフォンの拡大、スマートフォンの廉価版が出るということも含めまして、欧米に限らず東南アジア、それと周辺国にうまくコンテンツを展開していくことになります。こちらにつきましては、すぐに営業所を出すということではなくて、パートナーを探しながらうまく展開していきたいと思っています。最後になりますが、開発力に関しては、我々はブラウザ型、コンシューマにつきましては、手前味噌でありますが、非常に開発力のある会社だと思っています。しかし、昨年失敗したように、まだまだ技術力というよりは、マーケッティング力といいますか、こちらのほうが必要になってくると思います。昨年はいい勉強をさせていただきましたので、その点を生かしまして、開発力をさらに向上させて、皆様方がびっくりするようなそのようなタイトルを出していきたいと考えています。」と語った。

 同社は幅広い領域に事業を展開する総合エンターテイメント企業としての強みを生かし、多彩なエンターテイメントコンテンツをあらゆる事業領域において様々なデバイス向けに展開することができることに同社の優位性がある。今期も二ケタ増収、大幅増益を見込むように、順調に推移するものと思われる。

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